GW明け、久しぶりに入院しました。
15年ぶりで、前の入院生活は忘れていましたが、主治医の沙織が昔を思い出させてくれました。
当時、某医療系の漫画に触発され、医師の大変さを痛感する中、ちょうど研修医が来た時期でもあり、指導医と一緒に患者に挨拶回りをしていました。
その中の沙織が、私に最初のライン取りに苦慮し、何回か失敗。
指導医がたまりかねて交代しようとしたものの、私が「アドバイスだけで手出し無用」とキッパリ言って、きちんと出来るまでさせました。
当然翌日は腕は真っ青。
それを見せ、失敗を減らせるよう、これを思い出しながらいっぱい練習しろよとか言ったら、号泣しながら謝意と感謝されました。
その後もなるべく私に付かせるように指導医に依頼し、手術の立会いもさせ、1週間の入院生活が終わり、沙織は退院時には、また号泣しながら深々と礼をされて見送られました。
そして、最近の健診で別の病気が発覚し、紹介で地元の総合病院に入院することが決まり、事前の説明で担当医と顔合わせ。
部屋に入ると女医さんで、「O崎さん、久しぶりです!」と言われ、最初は分からずに答えられずにいたら、「◯◯病院で、研修医の時にお世話になった□□沙織です!」と言われ、やっと気付きました。
結婚されて苗字が変わり、当時はボブ・ショートが、今はロングで雰囲気が変わってて、一見しただけじゃ分からないはずです。
昔話しをしてたら、横の看護師さんが「いつも言ってた恩人って、O崎さんだったんですね(笑)」と言ったら、沙織は恥ずかしそうにしてました。
長々と昔話ししてたら、後もあるだろうからと、私から切り替えるように言い、説明を受け、その後は別担当のとこや事前検査に回り、最後にまた沙織に会って帰って、入院日を迎えました。
相部屋希望でしたが、「ベッドが空いて無くて」と個室に。
途中まで沙織も同伴でしたが院内スマホが鳴り、離れたら、前の説明時に同伴してた看護師さんが「これ、沙織先生の根回しよ」と教えてくれ、病院都合ってことで個室料金も不要とのことでした。
着替えて再度検査があり、夕飯が済んで落ち着いた頃に私服の沙織が来て、「もう上がりなんで」と言い、しばらくお話しを。
あの時、研修医初日でどうなるか不安でしかなかった中、私の叱咤激励や、特に研修医がまずしない、手術の第二助手を沙織にさせるよう、私が主治医に懇願し、立たせてもらったのが、凄い自信になり、今に繋がっていますと言い、私は軽く良かったなぁとだけ返したら、沙織は私の手を握り締めながら、また泣いていました。
私は、「患者の前では泣くな。心配になるかも知れん。ただ、今の沙織の涙は俺にとっては成長の証しで、宝だよ。」と言い、沙織は黙って頷くのを見たら、堪らず沙織を抱き寄せ、頭を撫でてやり、沙織は「O崎さん、厳しくもあったけど、中身は凄く優しくて、私好きです。」と言って顔を上げたらキスしてきました。
しかし、沙織もアッと思ってたか、「ゴメンなさい、じゃ」と言って、部屋を出ました。
翌日はオフだったようで顔は見ず、翌々日に、「あの時はゴメンなさい。」と言ってましたが、私は「俺もの前は、素顔で居ていいぞ。」と言ってやると、沙織は「ヤメてよ、また泣いちゃう」と言って、出ていきました。
入院4日目に、予定通りに手術が決まり、翌日に実施。
沙織の施術で無事成功しました。
麻酔から目が覚めると、沙織が見ていて、繋いでいた手をより強く握り締められていました。