揺れるミニバン…。
でも、運転席に人影は見えない…。
違和感のある車…。
仕事をサボってショッピングセンターの立体駐車場で昼寝をしてた俺は無理な体勢で寝ていたせいもあり、腰の痛みで目が覚めたんだ。
シートを戻しカップホルダーのペットボトルのお茶を取ろうとしたした瞬間、俺は一瞬何かの違和感を覚えたんだ。
俺が車を止めたのは店舗への連絡通路が無い階。
その為、同じ様にサボリーマンが数台いるだけで、車はほとんど止まってない。
そんなすっからかんの駐車場で、グレーの営業車らしき車と黒の自家用車らしき車が、ポツンと隣同士に止められてたんだ。
少し離れてるとはいえ昼間…。
2台ともガラスのスモークはさほど濃くなく、車内は陽の光で透けて丸見えだった。
斜め後方に止めている俺の車の位置からは、自家用車の後部座席に一人の頭が見えただけだったんだ。
俺は一瞬俺と同じで昼寝でもしてるのかと思った。
でも…何かがおかしい…。
この胸に引っかかるモヤモヤは何なんだ…。
地味に自家用車が揺れている。
俺は、もしかしてあの頭の人…こんな昼間から車内で一人でしている最中なのかと頭をよぎったんだ。
その瞬間、俺はあの見える頭の人物は男性なのか女性なのか物凄く気になり始めたんだ。
いや、女性であってくれっ!そんな願望が芽生え始めたんだ。
しかし、俺の位置からでは男性か女性かを判別する事は難しそうだ。
でも…気になる。どうしても知りたい!!!!
俺はイチかバチかと、かけに出た!
一旦車を動かしたんだ。駐車場を一周してベストポジションへと車を止めてやったんだ。
見える!見える!丸見えだ!!!!!
後部座席の人物が丸見えだ!!!!!
少しシートを倒し、向こうからバレない様に後部座席の頭の人物をしっかり確認したんだ。
「…………。」
俺の淡い期待はいづこへ…。
目に飛び込んできたのは営業マンらしき男性だったんだ。
「営業マンの自己発電」
そんなもの見て何が楽しい…。
盛り上がってた俺の気持ちは一気に覚めたんだ。
でも、まだ何かが引っかかる…。
俺は良く考えてみたんだ。
何故?
営業マンが平日のそれも昼間に自家用車に何故一人で乗ってる?
自家用車の隣には営業車…。
自家用車の後部座席に営業マンが一人…。
自家用車は少し揺れている…。
何故?何故?何故だ!?!?!?!?
俺の頭の中は?だらけになったんだ。
もう一度自家用車の後部座席を目を凝らして良く見てみたんだ。
「!!!!!!!!」
窓枠から何かが上下に動いてるのが見えたんだ。
俺の頭の中は全てが繋がったんだ。
見える頭は一つ。
でも、もう一つの頭は……そう!上下運動してるんだ!!!!
「きたぁ~!!!!!!!」
最中だったんだ!
だから見える頭は一つで車が少し揺れていたんだ。
俺の盛り上がった気持ちは一気に最高潮へ!
つづく。