出会ったのは俺が22、マーコが21の夏だった。
どちらも独身で、それぞれにパートナーがいた。
俺は当時、本命彼女の他にセフレが3人いたが、来るもの拒まずで一夜の関係を持った相手は数が多過ぎて名前すら覚えていなかった。
自分でも、何がよかったのかわからないが、それまでにもそこそこモテ期はあり、いま振り返ると当時は3度目のモテ期だったようだ。
マーコとの出会いはただの同僚でしかなかった。
急接近したのは晩秋。
宴会のあと独り行きつけの店で呑んでたら、店の常連女にマスター経由で逆ナンされてホテルへ直行。
出すもの出したら、その他は面倒なだけなので早々に帰宅した。
マンションはオートロックなのに、EVを降り廊下を歩き出したところで、うちの玄関前にしゃがみ込んでる奴がいた。
しゃがんだまま寝てた女がマーコだった。
なぜ、家を知ってる?
なぜ、オートロックをスルーできた?
なぜ、ここにいる?
さっぱりわけがわからず、?マークが頭の上に並んでたが、それよりも気温も低く寒さが身にしみてきだした時期。
起こす為に肩をポンポンと叩くと、その衣服は冷え切っていた。
部屋へあげて、風呂に湯を溜め入るように促した。
部屋が温まるまでには時間がかかる。
風呂で体温を上げなければ風邪をひくと判断しての行動であって下心は微塵もなかった。
マーコは、可愛らしさはあったが俺好みのタイプではなかったのと、出すものも出してきてた為だろうか、全くその気はなかった。
風呂あがりに砂糖多めのホットミルクを渡すと
バスタオル一枚のマーコは、嬉しそうに受け取った。
同僚とはいえ、プライベートな会話をしたこともなく、ほとんど何も知らない相手。
泊まりたいというので、布団は一組しかないけどというと一緒がいいとの返事。
隣に寝られると自然に腕枕をしてた自分が、後から笑えた。
会話をすることもなく睡魔に引っ張られるように眠りに落ちて間も無く、キスを誘うマーコの行動が感じられた。
来るもの拒まずが、身についていた俺は朦朧としながらもkissを受け入れた。
少し厚めの唇が心地よく、夢の中のような意識で身体に力が入らない。
完全にマグロになってる俺の全身を時間をかけながらkissしていくマーコ。
本当に頭から足まで、全身だった。
浅い眠りの中で、マーコの「好き!」…「好きッ!…」
という言葉が聞こえている。kissは止まることなく、俺の身体を何周もしていた。
手の指も、足の指も、一本につき何度もkissをしてくる。
身体は一部分を除いて寝ている。頭は辛うじて記憶を残す程度に働いているが、睡眠と覚醒の境をいったりきたり。
一部分だけが、やる気満々に勃起しだした。
マーコの手が唯一元気になったものを擦る。全身へのkissは止まらない。
そんな感覚は初めてだった。
半分以上跳んでる意識の中で、全身から心地よさが溢れ出していた。
一部分だけギンギンの俺を口にして舐めまくる。
舐めまくりながら、手で扱く。さらに他方の手が届く限りの場所を摩る。
俺の口は、気持ちいいと発するのが限界。
マーコは俺にまたがり、自ら導き入れた。
腰を振り、悶えだすマーコ。
1度、2度、3度とオルガに達しているマーコ。
入ったままのインターバル。
時間がたっても萎えさせないマーコのテク。
射精感が込み上げてきた頃になってやっと完全に覚醒した俺。
身体も動くようにはなっていたが、そのままマーコに身体を預けていた。
出るぞと予告したが、マーコはグラインドをやめない。
マーコの息遣いにシンクロしていた俺は一緒に昇りつめた。
自身が始めから最後まてま、マグロだったことは初めての体験で新鮮だった。
完全覚醒した俺は、抜かずの2発目に入った。
結局、マーコの中に3発出し終えたときには外は明るくなっていた。
抜こうとすると、マーコはそのままがいいと望み、繋がったまま2人は眠りについた。
その日から、マーコは押し掛け女房的に家にきては、家事をして、俺にマッサージをして、セックスもして、居座るようになった。
半同棲生活が三年たった頃、俺はセフレ達とも別れ、マーコとも別れを決意した。
情は、大きなものに育っていたが、セフレ以上恋人未満にしか感じていなかった俺は、これ以上ダラダラの関係はいけないと想ったからだった。
本命彼女はいたものの、マーコを振ってしまった俺なのに喪失感でいっぱいだった。
振ってしまったことへの後悔。
マーコの献身的なまごころを踏み躙ったことの罪悪感。
なにより、ぽっかり空いた俺の心は、埋まらないまま時が経っていった。
そのマーコとの別れの日、約束した10年に1度の再会。
今回が2度目だった。
正確にいうと、実は別れから3年目、7年目、12年目にもマーコに望まれ逢っている。
合計5度目の再会ではある。
10年サイクルの時は、どちらも泊まりがけでの再会。
今回は、2泊3日での逢瀬だった。
互いに子を持つ親となり、配偶者もいる仲となっている。
いまから10年後は、また逢えるのだろうか。
もしかしたら孫を持つ身になっているのかもしれない。
普段は一切、連絡もとっていない。
別れた場所、別れた日時での再会は、当日その時にならなければ逢えるか、どうかわからない。
もしも、当日逢えなければ、それまでで10年約束は消滅することになっている。
これは、別れた時に作ったルールだ。
逢いたくなければ、行かなければよい。
待ち合わせ場所に相手が来なかった場合は、後追いはせず亡くなったものと思うこと。
そして、その場所に花を添えて、自分の気持ちに区切りをつけることとしてある。