会社の同僚、池辺さんは48歳。
俺は33歳でお互い営業だ。
歳より若く、明るい池辺さんはムードメーカー。
池辺さんには高校2年の息子がおり、この子供がバイク事故を起こしたと勤務中に電話が入った。
慌てる池辺さんに上司は許可をするからすぐに帰れと話し、池辺さんのフォローは俺がする事になった。
三日程の有休を取り、池辺さんは出て来た。
息子さんは手首の骨折位で問題無く入院しているとの事に皆ホッとした。
「よしきさん有り難うね~」
「いえいえ、特に問題も無かったし大丈夫ですよ」
そんな会話をしつつ通常の業務へと戻った。
ある程度お互いをフォローする為に三人一組でチームになる。
誰かが都合が悪く出勤出来なくてもお客様を待たせない様にだ。
会社の飲み会でもやはりこの三人が集まり易い。
最終的にはバラバラになっても最初の席はお互い近くに居る。
酔いが回り、バラバラになり会話を楽しんでいた。
何の話題からか上司の悪口へとなると、いつの間にやら池辺さんが俺の斜め後ろにくっ着く位近寄っていた。
「!だよねっ!!あたしもそれが嫌なのよっ!」
と顔を真っ赤にした池辺さんが相槌を打ち、話しが盛り上がった所で時間が来た。
「そろそろお店出ま~す!二次会行く人はあっちに集まって下さい!」なんてここで帰る人、二次会組と分けられた。
俺は帰るつもりでいたので帰る組に混じっていた。
「よしきちゃん!帰んの?皆でカラオケ行くから行こうよ!」
普段からテンションが高いが、今日はお酒もありかなり高い。
俺は帰ろうとしたが、たまにはと食い下がられて着いて行く事にした。
「あれっ?皆さんは…」既に移動した会社の人が見当たらない。
「大丈夫!あたし知ってるから!いつもの所に居るよ!」
池辺さんが知ってるから問題無いからとカラオケ屋に二人で向かった。
……居ない
「マジすか?」
正直俺は来なきゃ良かった…と内心思った。
しかも会社支給の携帯番号しか知らない。
勤務時間外は殆どの人が電源オフだ。
案の定掛けても留守電、もしかしたら建物の中は電波が入らないのかも…。
池辺さんは知ってる私用の携帯番号へ掛けていたがやはり繋がらないらしい。
近くのカラオケ屋にもやはり居ない。
「ゴメ~ンよしきさん!」
池辺さんにも焦りが有るが携帯が繋がらなければ意味が無い。
「どうしましょう、帰りますか?」
俺の提案に池辺さんは、私達でカラオケ行こうか?と誘って来た