飲食店が建ち並ぶ筋から一本外れた道を腕を組んで歩く。
そこは飲食店とは違う明かりが艶めかしく光り輝いている。私の腕に手を組んでいる女性は、中学校の数学教師。
普段はインテリっぽく、なかなか学校でも話し掛けにくい雰囲気の女性だった。服装も地味で何の色気も無かった女性だったが、懇親会の席で遇々隣り合わせになった。
最初は私も流石にマズいなぁ、と思ったが話を進める内に見かけとは違うかも?と思い始めた。
懇親会も終わり二次会へと流れる時に彼女を誘ったら、遠慮がちでは有るけれど従って参加をして来た。
彼女のご主人も教師をしていて、今は小学校の校長をしているとの事、そのご主人も今日は忘年会で温泉に行って帰りは少し遅くなっても平気と話す。
二次会も終わり最後にカラオケに、と言う話を断り私達は並んで歩き始めて、そこの通に出た。
恥ずかし気に顔を伏せ歩く彼女、私は訳もなく軽い興奮を覚え、つい口から
「少し酔いを覚ましましょうか?」
と言ってしまう。
私に腕を組む彼女の手がピクッと動き
「覚ますって?」
彼女が聞いて来る。「前に見える場所で暫く休みませんか」彼女は顔を伏せたまま
「いけませんわ、私達がこんな所に入っては、それに奥様にも悪いし」
「私の方こそ、娘がお世話になってる先生に、こんな事を言い出すなんて本当に申し訳ないです、それに先生にもご主人がおられるのに、でも今の言葉は本気ですから」
「駄目ですよ私みたいなおばあちゃんを、からかったりしたら」
私達は、ゆっくりと歩き互いに、ここに入る正当性を考えていた。
私は数メートル先の入り口に向かい組んだ腕を引き寄せるように、さらに道路の端に寄った。
彼女が軽く私の腕を引き止めようとする、私は入り口が近づくと彼女の腕を引きグッと半ば強引に足を踏み込んだ。
諦めたように従う彼女は小さなロビーで私の肩の後に顔を隠す仕草、素早く部屋を選びエレベーターに乗り込む。
彼女は誰かに出合わさないかと怯えた表情、扉が開き狭い廊下を歩き部屋ランプが点滅している部屋に入る。
彼女は少し安心したかのように、大きな溜息を漏らした。
「私は返事してないのに強引なんですね」
彼女の言葉を遮るようにコートのまま彼女を強く抱き寄せた。
あっと驚きの表情をみせ、少しの間見つめ合う、更に彼女が何か言おうと唇が動いた瞬間に私は彼女の唇を塞いだ。
「酔いを覚ますだけって言ったのに」