授業の合間にスマホを覗く。返信が届いている。
相手がインフルエンサーであり恋人でもないため当たり前だが、いつも凛花がノータイムで返信をしていたからいつも凛花が待っている側だ。落ち着かない時間を過ごさずに済むのは嬉しい。
もちろん、「宗くん」を待たせて駆け引きしようだなんて微塵にも思っていない。
『宗くん、ありがとうございます…。宗くんの前では、本当の私を隠さないで出せるの。とっても嬉しいです。今、授業の間です。この後部活いってきます。』
どちらが好き、どちらが大事と比べられるものではないが、「宗くん」とメッセージを交わすようになってから凛花の優先順位は明らかに変化した。
それは行動にも現れていて、前は彼氏や友人からのSNSメッセージ返信が優先になっていたのに、今は裏垢を頻繁に開いて「宗くん」とのやり取りに夢中になっている。
「宗くん」からのやり取りを始めた直後に撮った動画を最後に本垢の更新が止まり、ライブ配信もしていない。メッセージ返信すら優先順位が下がり、やや遅くなってしまっている。
凛花本人だけでなく、周りも気付かない程度に…じわりじわりと凛花の生活や人間関係が侵されていた。
実際に会うわけじゃないから。ただのメッセージのやり取りだから。相談に乗ってもらっているだけだから。
そんな言い訳を免罪符に、彼氏に隠れてメッセージを送り合うこの関係を凛花は無意識に正当化してしまっている。
あくまでインフルエンサーだから。
数千人のフォロワーのうちのひとりだから。
でも、凛花の心はそう思っていなくて、既に「宗くん」に囚われてしまっているのだけれども。
【おはようございます。ありがとうございます。
念のためなのですが…今週はリアルが忙しく、基本的に返信できるのは朝のこの1回あるかないかと夜になると思います。
宗次郎さんの可能な範囲で、気長にお付き合いいただけると嬉しいです。】
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