「アシスタントも、ですか?」
峰先生の言葉に子犬を思わせる様に目を丸くする果歩。
(そうすれば……プライベートは私が独り占めになるって事だ…)
承諾をする他に答えはない。
「直にこちらへ…着替えも……ですか。」
急展開にその日々を浮かべてみたがまだ峰先生の情報が少なすぎる。
(全て収集しよう、頭の中に…)
その姿、仕草、香り、癖、唇の動き、丸ごと刻み込もうとする。
「決めて良いですよね、編集長には電話します。」
目の前で直電するとかしこまった会話で
「………はい、そうです、担当を外さないで下さいませ。
是非是非、お任せ下されば。
今よりもっと我社に協力して頂けるよう尽力致します。」
チラチラと峰先生を見ながら照れくさそうに微笑む。
「先生の邪魔はいたしませんので。パジャマでウロウロしたりとか。」
軽く冗談を言い上機嫌だ。
しかし、同時に果歩の中で『もうひとつ』が芽吹く。
尊敬、憧れと愛ではない形。
模索していたが掴めそうな気がする。
『正式な担当として確定したら…、さっそく私の小説の感想を聞いていきたいね…。』
ああ……それは…一般的に述べるか、本当の感じたものを言うか…
果歩は峰先生に賭けてみる事にした…
こんなジャンルを惹かれる様に書ける方だ。
珍しくも無いだろうと…。
「先程の…途中までの作品でよろしいですか?……
…………申し上げますね……
女に嫉妬致しました。」
息を整え言葉を選ぶ。
峰先生の顔は見ず俯きながらメトロノームのリズムの様に話し始める
「私に経験がある訳では無いのですが…内にあるモノを引き出されるきっかけがあった事、それを上手く利用した男。
女は幸せだったのでしょう。
拷問の仕方も良かったですね。
女は性的に痛みには強いです。
本格的な革で皮膚が切れる様な物も甘美と感じる者もいるでしょう。
但し『お仕置』の名のついた痛みは別物です、あれは飴だと思います。
目的の自白をさせれば良かったのに男は『お預け』をした。
壊れて行く女は………
羨ましかったです………」
そこまで言うと峰先生の顔をそっと見る。
果歩の額に汗が滲んでいる。
太ももをもじもじさせている。
ショーツが濡れている…。
果歩は出口の無い檻の中で自ら首輪を嵌めに鳴いた。
※元投稿はこちら >>