ゆかりは、大学を卒業してようやく手に入れた通知を握りしめながら、会社の指定する健康診断クリニックに向かった。
スーツのスカートを整え、鏡で髪を直す。
「これで社会人だ……やっと普通の人生が始まる」
採血はあっという間だった。
白衣の看護師が無表情に針を刺し、赤い血がチューブを伝う。
ゆかりは少し痛みを堪えながら、窓の外の桜を眺めていた。
春。新しい始まりの季節。
結果が出るのは1週間後。
普通の健康診断なら、問題ないはずだった。
1週間後。
会社の総務から、突然の電話。
「ゆかりさん。健康診断の結果について、至急お越しいただけますか。……重要事項です」
声のトーンがいつもと違う。
冷たく、事務的で、同情すら感じられない。
人事部の会議室に通されると、そこには白衣の医師と、数人の制服姿の職員が待っていた。
テーブルの上には、ゆかりの名前が書かれた封筒。
そして、遺伝子検査の結果用紙。
医師が淡々と読み上げる。
「家畜遺伝子群(KL-13型)の陽性反応を確認しました。
この遺伝子保有者は、生まれた時点で家畜として認定されるべき個体です。
行政のデータベース照合により、出生時のスクリーニング漏れが判明。
ただちに家畜登録手続きに移行します」
ピアスとか平気ですか?家畜らしい姿に変えたいなぁ
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