「んっと…」
数分間椅子に座っていた胡伯は徐に立ち上がり、読んでいた書籍を持ち本棚がある方へ歩いて行った。
《人文》
そう標識が掲げられた列。
何か人間について書かれた哲学的なものだろうか。特異性のある自身と向き合うべく、ここに入り浸っているのだろうか。
活発で明るいイメージのある渡会は図書室とはあまりマッチしない。どちらかと言えばすぐに校外へ出て友達と遊びに行く様な雰囲気があるからだ。
意外と繊細で思慮深い性格なのかもしれない。
「…えっと…どこだっけ………あ、あったあったw」
クックッ…グウッ!…
五段ある中の内、二段目が置き場の様。
普通しゃがんで入れる高さの筈が、渡会は豪快にお尻を突き出し直立姿勢で前屈みになっている。両足も大きく開いたまま…
…女子ならああいった姿勢はほぼしないだろう。
本能的に下品と感じるだろうし、増してやスカートを穿いていれば尚更。
「ン‥」
本を戻し終わると渡会は続けて同じ棚にある書籍を見始める。
人差し指で指しながらスライドし、好みの本を探している様だ。
?
…やはり広い…
両足の幅が、やけに広いのだ。
女子なら精々肩幅といったところを、渡会はまるで仁王立ちする男子の様に大きく開いた両足で本を探しているのだ。
トランスジェンダー…
やはり噂は本当なのだろうか。
確かに見た目は女子そのもの。寧ろ美少女と言っても過言ではない顔立ちに、大きく膨らんだ胸とスラリと伸びた手足…
しかし、どこか男っぽいのだ。振る舞い、腰つき、雰囲気…それらがどこか女子とはズレている…
それでいて、服装はスカート…
盗撮の標的にされる女子だが、渡会の場合はどうなるのだろう。
男なら、普通は狙われる訳はないだろう。
…しかし、あれほど大胆で無防備なら……狙えば成功確率はかなり高いのではないだろうか?
「…これにしよ……んっと…」
カッ!
渡会は次の書籍を棚から摘まみ出すと、右足を近くにあった脚立の上に乗せて読み始める。
右足を逆L字にして男の様な恰好で読み耽っている…
【ありがとうございます。
短い時間でよくあれだけ書かれますね。】
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