時間を告げるタイマーの音に落胆の色を顔に浮かべたメイ…吉田からの「延長」というワードに思わず顔を上げた。
考えてもいないことだったのだろう…プレイの途中なら、その流れで時間を延長することもあるだろうが、吉田とは会話だけ…時間が来れば話をやめればいいだけのことだ。
(この子…こんな簡単な計算も…)
料金などを説明し2時間延長した場合の料金を吉田に告げようとするが、包帯が巻かれた指を使い悪戦苦闘…小学3年生でも出来るはずの計算だった。
(いったい何歳の時からここで…)
当然の疑問が湧く…メイの話によれば18歳になるメイが最年長…ということは…
(だとしたら…酷い…いくらなんでも酷すぎる…)
吉田の胸が傷んだ…歳派のいかない少女が道具のように扱われる世界…何よりも当のメイがそれを当たり前のように受け入れてしまっていることが悲しいと思った。
「うん…じゃあ…180分までで…」
あまり持ち合わせは多くなかったが、なんとか足りる金額…痛い出費ではあったが、この少女をまた暗い穴に突き落とすようなしたくなかった。
「あつ…それから…ご主人様っていうのはやめてくれる?吉田でいいから…ご主人様って呼ばれると何か落ち着かなくて…」
メイは、少し戸惑いながらも「吉田さん…」と口にした。
メイは改めて座り直すと笑顔を見せる…巻かれた包帯が痛々しく思えたが、それは本当に嬉しそうな笑顔だった。
2人は話を続けた…吉田のどんな話にもメイは何度も頷き耳を傾けくれる…ちょっとしたことに驚いたり関心を示してくれる。
人との会話がこれほど楽しいと思ったことはなかった。
「あつ…そうだ…ちょっと待ってて…たしか…まだ残ってたはずなんだけど…あっ…あったあった…」
仕事の話をしている途中、吉田は何かを思い出したように鞄の中を漁った。
「これ…初めて俺の考えたものが商品化されたやつ…ボールペンなんだけど…」
3本かセットになったボールペンを吉田はメイに手渡した。
「この先っょについてる猫の尻尾をノックすると芯が出て、猫の鼻を押さえると芯ぎ引っ込むだ…これ…あげるよ…」
おはようございます。
いずれは、他の客との場面のやり取りのパートも入れていきましょうね。
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