「はいっ!準備はバッチリです…っ。うふっ、うふふっ!」
すこぶる上機嫌で大袈裟に頷き、満面の笑顔でアレクを見つめ返した。
あれから半月ほど、毎日のように精液を求め続け、アレクと行為を重ねていった。
膣でもすぐにイけるほどではないが、セックス中に一回はイけるようにもなってきた。
アレクに少しずつ仕込まれ、自ら腰を振ることもあり、テクニックを身につけつつもあった。
それは全て、今日この日のため。
ザーメンミルク…、もとい薬のおかげで、体調が良くなっており、ここ暫くのサリーナは健康体に近い状態だった。
アレクが用意した庶民衣装に身を包み、スカーフで髪を纏めた格好で馬車に乗り込み、プラプラ足を前後させている。
「ザーメンミルクは本当に凄いですっ!これだけの効能があるなら、生命の素になるというのも全然不思議ではありませんね。…そんな、粗末だなんて…。厚い生地で丈夫、実用的なお着物ですし、色味も控えめで落ち着いていて、とても可愛らしくて気に入りました…っ。へ、変じゃないでしょうか…?」
二時間ほどの馬車の移動も、サリーナが話しかけ続け、長い旅路も心なしか早く着いたような気がした。
「わあっ、わあ…っ!アレクっ、お囃子の音がここまで聞こえてきますっ!まだ遠くなのですよね?街全体が祭りに包まれているのですねっ」
ぐいぐいアレクの手を引き、足早にはしゃぐサリーナに慌ててアレクが日傘を差す。
「…あっ、見てくださいアレクっ。お花屋さんにあるあの花は、本来この季節には咲かないものなのです。つまり、温度や湿度などを完璧に管理した、店主様の努力の賜物ということですね。」
「うふふっ、見て見てっ、アレクっ!鴨が列になって歩いていますっ。鴨さん達もお祭りに行くのでしょうか?」
「…失礼。貴方はお父、ぁ、いえ、レイウス公についてどのようにお考えでしょうか?…はいっ、そうですよねっ!レイウス様はとても聡明で民想い。世界一の名君ですっ!…あわわっ、アレク…?まだお話が…っ」
祭りに早く行きたい気持ちもありつつも、初めて訪れた街で興味を引くものがたくさんあり、都度足を止めてしまう。
常にキョロキョロ楽しそうなものを探し、ついにはアレクが目を離した隙に父について聞き取りを行い始め、正体がバレてはまずいと、アレクに手を引かれて引き離されてしまった。
「…はい、はい…。うぅ、ごめんなさい…。お父様が民にどう思われているのか、直接聞いて見たかったのです…。…それにしても、先ほどからすごく視線を感じるのです。服の着方は私も勉強しましたが、間違ってはいないはずなのに…。似合っていないのでしょうか…?」
街民と同じような衣装だとしても、整った顔立ちや気品ある立ち振る舞い。顔がいい女が歩いているというだけで、どうしたって視線は集めてしまうほか、衆目の中での行動に慣れていないサリーナは無邪気に跳ね周り、たわわな胸元が揺れているのもまた、異性の視線を集める原因にもなっていた。
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