咲夢さん、こんにちは。
『じゃあ咲夢打ち合わせ行ってくるね。そんなに遅くならず夕方には帰れると思うけど…セキュリティしっかりしてるマンションとはいえ、あのコンビニ店員みたいな例もあるし、戸締りだけはしっかりと。。』
玄関まで送りに来てくれた咲夢の唇に唇を合わせ、玄関から出ていく将。
『〇〇社か……電車で30分位か・・・』
〇〇社に入り、会議室前まで案内されると
『ありがとうございます。』
そう、案内してくれた社員にお礼を言って、
『<トントン。>山神です。入りますね。』
そう言ってドアを開けた途端、女性が飛びついてくる。
声・言葉から察するに城井茉依のようだ。
『城井君なんでここに……』
そう言う将の言葉を聞いていないのか、マイマイはもう一人の女性と口論を始める。
『(えっ、この声はまさか中嶋君……)』
横を見ると、中嶋恭恵の姿が。
『城井君離れてくれるかい。』
そう言って何とかマイマイを引きはがすと、中嶋恭恵が睨みつけている。
それには構わず
『〇〇さん、ちょっとこっちに。』
隣に来た担当者に
『ちょっと廊下に、いいですか。』
そう言いドアを開ける将。担当者はマイマイと中嶋恭恵に一言声をかけると、一緒に廊下に。
声を潜めて
『〇〇さん、なんで中嶋君がいるの?君が、今回の案件は中嶋君は関係してないって言うから、受けさせて貰ったんだよ。』
<誠に申し訳ありません。今回の案件山神さんが担当なさるってことを、一覧で見ちゃったみたいで、押しかけて来たんですよ。>
『彼女がいるんじゃ、申し訳ないけど今回の仕事は降りさせてもらいます。先日のレセプションパーティーでの件、忘れちゃいませんから。それはそうと、もう一人の女性、あれ城井茉依さんですよね?彼女がどうしてここに?』
<中嶋は帰らせますので、今更降りるとか言わないでくださいよ……山神さん、城井さんとご面識がおありで。彼女CASTLEブランドの専属モデルなんですよ。何でも親会社の城井建設の社長令嬢みたいで…>
『ふーんそうなんだ…こっちは文句も言えないから、中嶋君の事だけは、お願いしますよ。』
会議室のドアを開けると、まだ言い合いを続けていたマイマイと中嶋恭恵が、一斉に視線を向ける。
<山神さぁん…あーし山神さんと仕事ができて嬉しいよ。山神さんなら着替えの場面見てもいいよ。>
<こ、この小娘、自分の言ってること分かってるの。あんたみたいなおこちゃまには、山神さんが靡くわけ…>
<小母さん知ってる?あーしと山神さんの婚約者咲夢っちとは同級生、同い年ってわけ(笑)この一事だけみても、まだ私の方が分があると思わない?>
<くっ……>
担当者が二人の口論に割って入る。
<はいはい、そこまでそこまで。中嶋さん以外は、皆席に着いてください。中嶋さんはお茶を三つ持って来て下さい。>
<どうして私が……それに三つって。>
<この案件の担当は私です。私の言うことにさっきから逆らってばかりですので、お茶を持って来たら、引き取ってください。>
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