澄香がドアを開けると、目の前には柚月はいたものの、奈緒子の姿はなかった。
キョロキョロする澄香を見て
「もしかして、佐々木さんのこと?ここまで一緒に来たんだけど、澄香を待ってる間に管理人さんから連絡が来て、先にいっちゃったわよ。」と解説する。
管理人、その名前を聞くだけで澄香は少し嫌な気持ちになるほど、生理的に苦手意識を持っていた。それは柚月も同じだったはずで、二人でいるときは『管理人』とか『あのキモい管理人』とか呼び捨てにしていたはずなのに、柚月が管理人を『さん』付けで呼んだことに少しひっかかったものの、
「それじゃ、私たちも行こっか」と柚月に声をかけられると、その疑問はすぐに些細なこととして消えていっていた。
二人でエレベーターに向かって歩き出すと、柚月も澄香と同じ格好をしていたのだが、シャツの生地が薄いのか、柚月が派手な赤いブラをつけているのが丸分かりであった。
ほぼ素っぴん状態で、Tシャツにスパッツという他の部分からは大きなギャップがあるブラがいやらしさを醸し出していた。
以前、柚月と話してるときに
「下着?昔のやつはみんな捨てちゃったよ。家族くらいにしか見られないし、安い地味なやつで十分よ」と笑いながらしゃべっていた柚月の姿が頭を過るが、同じように派手な下着を着けていたこともあり、何も言えずにエレベーターに乗って会場まで移動する。
会場に着くと、すでに何人か先に来てるらしく、すぐに人の姿は見えないものの部屋の奥から声が聞こえてくる。
入り口にテーブルとその上にタブレットが2台置いてあり、そばには『参加してくれた方はタブレットに名前を書いてください』と書かれた紙が置いてあった。
二人は並んでタブレットに名前を書いて『参加』のボタンを押すと、
またタブレットの画面が点滅し
『ヨガは動きやすい下着姿で行わなければならない』
という文字が写し出される。
澄香は、『えっ?』と一瞬思考が停止していたが、隣の柚月はそうするのが、当然のようにTシャツを脱ぎ始めていた。
戸惑う澄香を見ながら柚月は
「あれ?どうしたの澄香?下着姿にならないの?ヨガを下着姿でやるなんて常識だし、他の奥様方もそうしてるよ」と奥を指差しながら表情を変えずに話してくる。
柚月が指差した先には、それぞれ派手な下着を身にまとった女性が、そうしてることが普通のようにおしゃべりをしたり、ヨガの準備をしていた。
そんな光景に戸惑う澄香の後ろから
「あら、来てくれて嬉しいわ長野さん。」と奈緒子の声が聞こえたため、振り向くと同じように派手なエメラルドグリーンのランジェリーを着こなしている奈緒子が立っていた。
奈緒子がタブレットを手に取り顔を近づけると、ピアスからの洗脳電波により、また澄香の意識が飛ぶ。一瞬ではあるものの、さっきの一瞬よりは確実に長い時間であった。
「堀田さんも、他の奥様方もみんな下着姿になっているでしょう、長野さん?ヨガは下着姿でやるのが当たり前だから、みんなそうしてるのよ。長野さんも早く下着姿になってヨガをやりましょう」と言いながらタブレットの文字をもう一度見せつける。
【先に来てる奥様方全員につき、タブレットの文字だけで下着姿になった方もいれば、澄香のように戸惑っていたが奈緒子に洗脳電波を浴びせられて下着姿になった方もいる状況です(全員が全員、柚月ほどに洗脳が進んでないという意味です)】
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