ショッピングモールの地下駐車場に着いた。
あの人が車を停めて
車のエンジンを切った時だった。
「今日はどんな下着をつけてきたの?」
あの人がサングラスを外して聞いてきた。
薄暗い車内で私をまっすぐ見つめる目は、
嗜虐的に爛々と輝いている。
「黒のブラとショーツです」
照れ笑いをしながら答えた。
「見せてごらん、まずはブラから」
あの人が優しい口調で言った。
辺りを見回す。誰もいない。
今なら……。
私は恐る恐るノースリーブサマーニットの
裾を捲り上げた。
「偉いね、じゃあ次はショーツだ。
ニットの裾は口で抑えるんだよ」
あの人に言われるがままにする。
フレアスカートを捲ると
肢体に生暖かい空気がまとわりつく。
「ほら足も開かないと」
もじもじしながら足を開く。
恥ずかしい。頬が仄明るく灯りそうなくらいに。
「よく出来たね」
あの人は満足そうな表情を浮かべると、
デジカメのシャッターを切った。
羞恥心と焚かれたフラッシュで身体の芯が熱くなる。
それがどんな風に使われるか想像すると余計に。
「それじゃあ、行こう」
写真を撮り終えると、あの人は先に車から降りて
助手席側のドアを開けてくれた。
私はあの人にエスコートされて地上階に出る
エレベーターに乗った。
二人きりのエレベーター。
そこであの人は「これからだよ」と囁いた。
期待、不安、羞恥心。
色々な感情が頭の中で
溢れた私はどうしていいか分からず、
首を傾げながらあの人を見つめ、手を握った
ショッピングモールの一階に着いた。
地下駐車場とはうってかわって明るく、
客の賑わう声やそこかしこから流れる
店内放送によって活気に満ちている。
「ゆーなちゃん」
あの人が自分のiPhoneを見せてきた。
最新のiPhoneの画面には
「トイレでブラとショーツを脱いできなさい。脱いだやつは手渡しすること。ただし、嫌ならやらなくていいからね」と書かれていた。
視線をiPhoneからあの人に移すと、
あの人は悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「意地悪」と言って肘で腹をつつきたくなったが、
未知の行為への好奇心と身体の疼きには抗えず、
トイレの個室に入った。
さっと脱いで出ようと思ったが、
ショーツだけは脱ぐのには時間がかかった。
膝上丈だからふとした拍子に
すべてが開けっぴろげになってしまうと思うと
不安になってしまうのだ。
「嫌ならやらなくていいからね」
あの人の言葉が頭をよぎったが、
結局、未知の行為への好奇心と
身体の疼きが不安を上回った。
私は何食わぬ顔をしてトイレの個室から出ると、
あの人の所へ戻って、
バックまに入れていたブラとショーツを手渡した。
あの人はわざとらしく時間をかけて鞄にしまう。
「早くしまって欲しいです」
恥ずかしさと誰かに見られてはいないかという
ドキドキに耐えられなくなって言った。
あの人は私の反応を見て
より一層嗜虐心を強くしたのか、
意地悪く口角を上げて
「今、どんな気持ち?」と聞いてきた。
私は頬が紅潮していくのを感じながら
「ちょっと開放感があって恥ずかしいです」
としか言えなかった。
※元投稿はこちら >>