「遠山さん…は、第三診察室ですね…。

そのまま奥へお進みください。
担当は影山先生です。」

検診に訪れた入学前の生徒を受付で担当看護師が対応する。
詳細は告げられておらず、正式な入学の為の基準も明確にはされていない。

「あ、すいません。
お母様は待機室の方でお待ちください。

時間はかなりかかる恐れがあります。
外出等はご自由になさってくださって結構ですので…。」

今どき珍しい、先々の安定までを約束するほどの有名私立中学。
毎年10％を切る合格率の難関校。

何とか入試を突破しても、入学前検診で問題がないことを確認できなければ入学できないという噂。
それも担当医によって内容が変わり、その内容については一切の口外を禁じられている。

発覚すれば即退学もあり得ると言われており、何があっても入学後、それ、を口にする生徒はいない。
結果として、影山を含む３人の校医は望むままの検診を行っているとかいないとか…。

影山信夫　37歳
校医歴は約10年を数え、校医の中では一番の古株。
黒い噂が聞こえなくもない男だが、理事長や校長との関係も深く、必要以上に余計なことを言おうという者はいない。


「遠山さんですね…？
担当の影山です…、入学試験突破、おめでとう。

検診が無事に終了した晴れて入学だからね？
落ち着いて、進めていこうね。」

言葉尻とは裏腹に身体つきをチェックする視線が全身を這い、どこか不気味にも見える微笑みを浮かべている。



【宜しければお相手ください。

容姿、体型、性格や性癖など少しプロフィール的なところを頂けますでしょうか？
服装もお願いできればと思います。

NGな展開や行為も合わせてお願いいたします。】

「はい、よろしくね。
ちゃんとご挨拶ができて偉いね…？さすがうちの中学に入学できそうというだけあるね。」

緊張がひしひしと伝わってくる。
入学前、検診とは言っても確定はしていない以上、少女の制服は通っていた小学校のモノ。
まだまだ幼く、少し発育が見え始めたくらいの身体つきに男は疼きを感じながら、

「緊張しなくても大丈夫。
ちゃんと先生の言われた通りにできれば、よっぽどのことがない限り春から通えるからね…？」

ぽん、ぽんと緊張を解すように軽く頭を撫でて笑みを浮かべる。
白衣を身に纏った、杏菜から見れば少し大柄に見える男。

「少しお話をしてからちょっとずつ検診に入っていくね…？
遠山…杏菜ちゃんだね…。

勉強は何が得意かな…？
小学校で好きな男の子はできたかい…？」

と、何気ない話題。
そして男の子についての話などを交えていく。

異性への興味の度合いを確認するような質問を交えながら、少し長い検診が始まっていく。