2024/03/17 01:12:35
(7l8KLnHa)
二階の寝室から隣の家の窓を眺め、そこからどうしていいのかわからない私は、夫から知らされたとあるサイトを開き、状況を説明すると指示を請うように書き込んでしまう。
「こんな事で誰かから指示なんて…。」
夫から見せられた時にもそんな世界が有るはずがないと信じていなかった。
サイトの中の出来事や書き込みなどは造られた世界で現実のもののはずがないと…。
それでもそのサイトの力に頼ってしまうほどに私は無知で、寝室に来てはみたものの何をしていいのかわからずにサイトに書き込みを…。
「誰も反応なんてしてくれるはずないわ…。」
造られた世界であると疑っている私にとって、そのサイトの存在そのものがAVなどの作り物と変わらないものだった。
しばらくベッドに腰掛けたまま窓の外を眺める。
相変わらず隣の家の窓にはぼんやりとした明かりが灯り、時折人影が動いているように見えた。
フワッとした薄いグレーのワンピース。その裾がベッドの上に広がり、スマホを持つ手を包み込むように…。
サイトにコメントを書き込んでから窓を眺めて過ごす時間。どれほど時が流れたのだろう。
「こんな事をしても…。」
作り物の世界と考えていたサイトから力を借りようとした事…。
夫にドタキャンされた腹いせにと二階に上がってきた事…。
色々な後悔が私の寂しさを助長するかのように、孤独感が強く心を締めつける。
ゆっくりと立ち上がる私の足元に手にしていたはずのスマホが音を立てて落ちる。
いつの間にか手から離れワンピースの広がる裾の上に置かれたスマホが立ち上がる動作で引き落とされた。
「あっ…。」
小さく呟きスマホを拾い上げると、コメントしたところにレス1の文字が見える…。
「えっ!?誰かが書き込んだって言うの…!?」
あり得ない事だと思った。作り物の世界の中に私の言葉に反応があるはずがないと思っていた。
再びベッドに腰をおろすと、誰ともわからない相手からのコメントを開く。
「なっ…何を言っているの!?我が身を欲望の中にって…私に…欲望なんて…。」
そんなものは私には無い。そう言いかけて言葉を失ってしまった。
夫に言われた通りあの言葉。それを聞いた時から何度となく夫の言葉通りに行動する自分自身を想像していたのだから。
現実には無理なことと考えていても、妄想は私の中の何かが私を蝕むように大きく膨らんでしまったことも事実。
「そっ…そうよ…。本当に誘惑するなんて事…あるわけない…。
そうね…少しだけ淫らな振り…。そのくらいなら…新伍さんを裏切る事にもならないわよね…。」
思い悩む時間はそれほど必要としなかった。何度も思い浮かべた行動が私の中で少しだけハードルを低くしていたのかもしれない。
コメントの通りサイドテーブルの明かりを灯し、ベッドに上がり脚を左右に大きく開いていく。
≪こんなに早くコメントってもらえるんですね…。夫への腹いせ…それもあるかもしれません。
私が誰だかバレなければ…サイトってそう言うところですものね?
言われた通り少しだけ淫らな振りをしてみてもいいのかしら…そんな気分になってしまいました。
今はサイドテーブルの明かりを灯して、ベッドの上で外に向かって脚を開いてみました。
薄いグレーのワンピースの裾が捲れ上がり、膝から太ももを滑り降りてきてしまいました…。
薄いピンク色のパンティが…明かりに照らされてしまって…。部屋の窓ガラスが鏡のように淫らな振りをする私の姿を映し出しています…。≫
そんなコメントを上げると、ワンピースの裾の中に手を差し込み、太ももを撫でるように指先を這わせながら隣の男の子の事を想像します。
「そう…これは…振りなの…。淫らな振りで…城島くんを誘惑してみてるの…。
私を見たら…城島くん…興奮してくれるかしら…。
いいのよ…私を見て…興奮していいのよ…。」
目を閉じ、太ももを這い回る指先の刺激に神経を尖らせる。
ゆっくりと太ももを滑り、下着にまで辿り着くとクロッチを柔らかくなぞった瞬間、身体がビクンと跳ね上がってしまう。
≪今…隣の男の子を誘惑するように…指先はパンティをなぞっています…。
隣の男の子に…覗かれている事を想像しながら…。彼が私を見て…興奮してくれるか…考えながら…。
そう…これは…夫への当てつけ…。夫が私を放っておくから…こんなに淫らな事を…。隣の男の子を…誘惑しちゃうなんて妄想を…。≫
目を閉じた私の頭の中には、カーテンの隙間から覗き見る城島くんの姿が思い浮かんでいる。
見られているのに…覗かれているのに…。
こんなに淫らな姿を見せつけるような行動をする私は妄想と現実の境目が曖昧になり始めていた。