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癒しを求める者

投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
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2020/01/30 09:55:47 (h9.aqU59)
相手がMでもSでも、男に「抱かれたい」と言われるのは、女冥利に尽きるもの。

調教師を標榜していると、孤独な人から妻子のある人まで、私を口説いてくる。

昨年の納会で契約したカレも、その内の一人。

先日、一緒に温泉旅行へ行った帰り道で、カレに病気の事を打ち明けられた。

元気そうに見えたカレの身体の中には、命を脅かす病魔が宿っていて、来月から手術を含めた治療が始まる。

年上で、これまで多くのオンナ達を泣かせてきたSのカレが、
「恐い」
と年下の私に弱音を吐いた。

手術の事、治療の事、その後の事に怯える一人の男。

一昨年前に離婚した妻子に報告する前に、私に告白してくれた。

カレは、親の介護や子育てに忙しい元嫁に、病気を告げる事を躊躇っていた。

ガンを医師に宣告されたカレは、私に「抱かれたい」と思って、心を入れ換えた。

Sは「抱く側」であって、相手に「抱かれたい」と言うのは許されない。

離婚した後も、数多のオンナを抱いたカレは、それでも満たされない欲望を、私にぶつけてきた。

「抱いて欲しい」

Sの私とは、生涯縁の無い相手と思ってた人の告白に、心が揺れた。

オンナの前では威張ってばかりだったカレは、ぎこちなくMらしく服従してみせた。

ご褒美に抱いたら、カレの腕が痛いぐらい力強く、私を抱き締めてきた。

「恐いよ、怖いよ、」

大の大人が、不安を口にして、私に甘えてきた。

カレの涙や鼻水やヨダレで、私の胸はベタベタになったけど、私は怒らなかった。

ただ、完治する奇跡を祈って、私はカレを抱いた。

泣きたくなるほど気持ちは高まっていたけど、私は涙を見せなかった。

我慢した。

カレと別れて、一人になるまで、泣くのを我慢した。

我慢した分、溢れ出る涙は止まらなかった。

今にして思えば、オシッコも一緒。

一頻り泣いて、涙を出し切ったらスッキリした。

元嫁と、ヨリを戻すようにアドバイスしたりして、励ます言葉をメールにして送った。

カレからの返事は、感謝に溢れた言葉が綴られていた。

無事に退院して、元気になったら、カレを調教する約束も交わした。

カレも、それを喜んでくれた。

カレに与えた私の命令は、生きて再会する事。

私のS女人生の中で、最も重い命令になったけど、カレならきっと、私の命令を実行すると信じている。

それが私のプライド。

そう思いながら、カレの快復を私は祈る。
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投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/05 13:44:58    (xxS.PJE5)
彼の手術が始まった。

待ち合い室には、彼の両親や親戚も来ていたので、私は彼女の母親と一緒にいた。

随分と若いお母さんは、私の母親と同世代。

18歳で彼女を出産したという。

そんなお母さんが、80過ぎの男性と夫婦なんて、違和感を感じた。

私が、その話をすると、お母さんは私を離れた場所に連れて行った。

お母さんは重い口を開いて、彼女の出生の秘密を話始めた。

旦那さんとの出会いは、彼女がまだ高校生の時で、当時は彼の息子(腹違いのお兄さん)と交際していたらしい。

二人は真面目に付き合っていたが、彼の父親に迫られて、殆どムリヤリの状態で関係が始まったらしい。

彼女の進学先が決まった頃に、彼女は彼のお父さんの子供を妊娠したという。

当時はバブルで景気も良くて、彼女の親とは問題をお金で解決したらしい。

彼の母親は、旦那が息子の彼女を妊娠させた事に怒って離婚。

ネトラレた息子も父親に反発して、母親と暮らし始めたらしい。

大学を一年休学して生まれたのが彼女だった。

彼女は家が裕福だったので、過保護な父親になついていた。

やがてお母さんの元カレだった息子も結婚したが、彼女が高校生になった頃に、不倫の関係が始まったらしい。

経緯を知らない娘から見れば、腹違いの兄と母親の関係は、近親相姦みたいな物。

ファザコンで箱入り娘だった彼女の生活は荒れて、外泊を繰り返していた。

それでも娘は大学を卒業して、父親の経営する会社に就職した。

生意気な社長令嬢だった娘は、仕事よりオトコを優先していた。

給料より父親のお小遣いの方が多かった娘は、働く事よりセックスに溺れて、SMの道に、のめりこんだ。

お母さんの話と彼女の話には、いくつか食い違いもあったが、お母さんの話を聞いて納得した。

なんで彼女がMになったのかも、何となく理解できた。

彼女の生い立ちの真相を知って、彼女の母親の告白を聞いていたら、あっという間に時間が過ぎた。

彼の手術が終わったらしく、彼女と彼の両親は、別室に案内された。

午後には両親と復縁した彼女だけが面会できるらしい。
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投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/05 23:07:56    (xxS.PJE5)
もう一日、休みを取って彼女に付き添うかと思ったが、その役目は彼女の母親に譲った。

互いに、過去に傷を持つ母娘なら、私より適任だろう。

麻酔から醒めた彼は、彼女を見てから、再び眠ってしまったらしい。

今夜は帰ってきた嫁に抱かれている夢を見るのだろう。

本当の治療は、これから。

薬の副作用や治療は、かなり苦しいらしい。

彼の苦しみに寄り添うのは、嫁の務めであり、それを支えるのは、子供や母親の役割。

彼には親も仕事の仲間もいるし、癒しになる存在がある。

退院したら、会いに行くかも知れないが、しばらくは静観するつもり。

今夜は寒くなるけど、すぐに春が来る。

まだ予断を許さない状況らしいけど、私に出来る事だけは果たした。

だから今は清々しい。

明日会社に持って行くレポートも仕上がり、私は眠る。


おしまい。
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投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/16 22:18:39    (tX2GqG1R)
バレンタインデーの翌日、彼の嫁が暮らすマンションに行った。

彼はまだ近親者しか面会できないので、子守りをしながら留守番をした。

彼と嫁、息子の三人に、一日遅れのチョコレートを持っていった。

「え?私まで貰って良いんですか?」
と言われた。

子育てをしながら入院している旦那に付き添う彼女に、私はご褒美をあげたかった。

献身的に奉仕するMは、男女に関係なく可愛い。

彼女が病院から帰ったら、三人で食べようと思ったチョコレートケーキも用意した。

旦那は、まだ病院食しか食べられないから、チョコレートは当分オアズケ(笑)

帰ってきた彼女に聞いたら、私のチョコを喜んでいて、食べるのを楽しみにしているらしい。

たかがチョコなんだけど、なかなか効果的に使えた。
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投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/19 12:09:40    (chbb.KYH)
「今日も、お疲れさま」
子供を寝かし付けてきた彼女を労うと、
「ありがとうございます。お嬢には色々と甘えてしまって、」
と彼女は恐縮した。

「旦那は順調?」
「お医者様は、順調って言ってるけど、主人が苦しがる時もあって、面会に行くのが辛かったりします」

「奥さんとしては、辛いよね?」

話をしながら、彼女をベッドに導いた。

彼女は、私の胸に顔を埋めてきた。

彼女の熱い息が胸の谷間に吹き抜けた。

「これから、どうしたら、」
と言った彼女は、声を詰まらせた。

不安なのだろう。

子供を抱えて、病の夫を支える妻は、私に弱音を吐いていた。

私は、彼女の頭を抱き締めて、話を聞いていた。

私には想像も出来ないぐらい辛いと思うと、つい貰い泣きしてしまった。

「ごめんなさい、わたし、お嬢にこんな愚痴を、」
と言うと、彼女は涙で濡れた目を擦って、私から顔を背けた。

意識的か無意識か知らないが、彼女は私を「お嬢」と呼んでいた。

私は、彼女の気持ちを察した。

こちらを振り向かせ、彼女の唇を優しく舐めた。

瞳を閉じた彼女は黙って私のキスを受け入れた。

唇を擦らせながら、舌を挿入すると、彼女も舌を絡ませてきた。

彼女の手が私の胸を揉む。

硬い私の胸は、揉まれると少し痛みがある。

でも、それは言わない。

私は下手な彼女の愛撫を、彼女にも返した。

「あぁ、あぁ、」
呻きをあげて、彼女のスイッチが入った。

揉みから撫でに変えてみたら、彼女も私の動きに合わせてきた。

温かい彼女の手のひらが、私のオッパイを心地よく撫でて行く。

彼女は甘えている。

そんな彼女を、私は可愛いと思っている。

私は抱いた男の嫁と、夫婦の寝室で淫らな事をしていた。


つづく
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