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癒しを求める者

投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
削除依頼
2020/01/30 09:55:47 (h9.aqU59)
相手がMでもSでも、男に「抱かれたい」と言われるのは、女冥利に尽きるもの。

調教師を標榜していると、孤独な人から妻子のある人まで、私を口説いてくる。

昨年の納会で契約したカレも、その内の一人。

先日、一緒に温泉旅行へ行った帰り道で、カレに病気の事を打ち明けられた。

元気そうに見えたカレの身体の中には、命を脅かす病魔が宿っていて、来月から手術を含めた治療が始まる。

年上で、これまで多くのオンナ達を泣かせてきたSのカレが、
「恐い」
と年下の私に弱音を吐いた。

手術の事、治療の事、その後の事に怯える一人の男。

一昨年前に離婚した妻子に報告する前に、私に告白してくれた。

カレは、親の介護や子育てに忙しい元嫁に、病気を告げる事を躊躇っていた。

ガンを医師に宣告されたカレは、私に「抱かれたい」と思って、心を入れ換えた。

Sは「抱く側」であって、相手に「抱かれたい」と言うのは許されない。

離婚した後も、数多のオンナを抱いたカレは、それでも満たされない欲望を、私にぶつけてきた。

「抱いて欲しい」

Sの私とは、生涯縁の無い相手と思ってた人の告白に、心が揺れた。

オンナの前では威張ってばかりだったカレは、ぎこちなくMらしく服従してみせた。

ご褒美に抱いたら、カレの腕が痛いぐらい力強く、私を抱き締めてきた。

「恐いよ、怖いよ、」

大の大人が、不安を口にして、私に甘えてきた。

カレの涙や鼻水やヨダレで、私の胸はベタベタになったけど、私は怒らなかった。

ただ、完治する奇跡を祈って、私はカレを抱いた。

泣きたくなるほど気持ちは高まっていたけど、私は涙を見せなかった。

我慢した。

カレと別れて、一人になるまで、泣くのを我慢した。

我慢した分、溢れ出る涙は止まらなかった。

今にして思えば、オシッコも一緒。

一頻り泣いて、涙を出し切ったらスッキリした。

元嫁と、ヨリを戻すようにアドバイスしたりして、励ます言葉をメールにして送った。

カレからの返事は、感謝に溢れた言葉が綴られていた。

無事に退院して、元気になったら、カレを調教する約束も交わした。

カレも、それを喜んでくれた。

カレに与えた私の命令は、生きて再会する事。

私のS女人生の中で、最も重い命令になったけど、カレならきっと、私の命令を実行すると信じている。

それが私のプライド。

そう思いながら、カレの快復を私は祈る。
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2
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/01/31 23:04:53    (9UgFxjp7)
今日は、彼が一般病棟に入院すると言うので、半休を取って病院へ行った。

病室は二人部屋。

パジャマ姿の彼は、入院手続きで疲れていたが、元気な様子で手術前とは思えないほど明るかった。

しばらく話をしていたら、彼は検査に呼ばれ、私は一人で部屋のテレビを見ていた。

「りなさん?」
と呼ばれて振り返ると、見覚えのある女性が、荷物を抱えて立っていた。

彼の元嫁だった。

「おひさしぶり。元気だった?」

つい、以前の癖で、タメ口を吐いてしまった。

彼女は以前、サークルで面識があって、私より10歳ぐらい年上だったけど、当時はM女だったので、その癖が口をついてしまった。

「やっぱり、りなさんだ」

修羅場になると覚悟していた状況だったけど、あまりに明るく親しそうに話しかけて来たので、不意を突かれた。

「うちの人は?」
「いま、検査へ呼ばれてる」

「お義父さんとお義母さんは?」
「ご両親は、お昼を食べて帰ったらしくて、私も会ってないよ」
と答えた。

気まずかった。

まさか、平日の午後に介護と子育てに忙しいはずの彼女が、元亭主の見舞いに来るとは、思ってなかった。

「ちゃん(彼の息子)は?」
「ママ友に預かって貰ってます」

彼の荷物を整理している彼女は、すっかり所帯染みていて、M女だった頃の艶は、微塵もなかった。

二人は離婚してから一年以上。

それなのに、彼女は今でも彼の妻であるかのように振る舞っていた。

「奥さんはいますか?」
若い看護婦が私達に声をかけて来ると、
「はい」
と言って、彼女は看護婦から書類を受け取っていた。

何かの保証人らしいが、同居してない人というので、私が書類に名前を書こうと思ったら、
「私でも構いませんよね?」
と言って、彼女は書類に旧姓で署名した。

本人自署の項目は、彼が戻ってから記入するので、看護婦は書類を置いて、出ていってしまった。

数年前は、旦那の見ている前で裸にされて、泣きながら輪姦されてるM女だったのに、すっかり奥さんをしていた。

「沢尻エリカって、りなさんと同じぐらい?」
「東出夫妻って、やっぱり離婚するのかな?」

テレビを見ながら、オバサンみたいな話題を楽しんだ。

帰ってきた彼は、私達を見て、驚いた顔をしていた。

「私、帰るね?」
と言って、立ち上がると
「ありがとうございました」
と彼女は、深々と頭を下げて、私を見送った。

家に帰ってから、彼女からメールが届いた。

私と話がしたいらしい。

明日の夜、面会時間が終わったら、彼女を迎えに行く事にした。

何を言いたいのか、想像するのも恐い。

色々と想定問答を巡らせて理論武装。

今夜は眠れないかも?
3
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/01 11:57:26    (yPiIcjQ/)
昨夜は夢見が悪かった。

彼の元嫁に呼び出されている事が、妙に気になっていた。

相手は結婚もして、子供もいるし、サークルも辞めてる元M女。

離婚してるし、危険は無いと思いながらも、彼女に会うのが恐い。

SMで結ばれた二人が、どうして離婚したのか、

見舞いで鉢合わせした私に、何の話があるのか、

全く予測さえできない。

彼女からメールで、彼の両親と会った報告が来た。

(何で?何で私に報告するの?)

ワケわかんない。

M女の考えてる事なんて、理解できない。

何の話をするのか知らないけど、その話を理解する自信がない。

ドタキャンしたい気持ちも募るが、行かなければ私の負けって感じがする。

もし、錯乱した彼女に襲われても、行くのは病院だから大丈夫、とか、子供もいるから、彼女もバカな真似はしないだろう、と自分に言い聞かせる。

今度の水曜日に大きな手術を控えている彼と、その元嫁。

昨夜から、その事ばかりで、頭の中はいっぱい。

久し振りに、護身用の道具を出した。

SMを始めたばかりの頃は、M男くんが恐くて、肌身離さず着用していた道具を装着したら、今度は逆にワクワクしてきた。

プレイに挑むような高揚感に、心が奮えている。

道具一式は、運転席の下のスペースに隠した。

臨戦態勢は整った。

胸騒ぎの週末。

来るかも知れない修羅場の準備に、なぜか期待で胸が奮える。
4
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/02 09:08:20    (Hp/bucoM)
夜の病院に着いた。

まだ面会時間があったので病室へ行くと、彼は夕食を食べていた。

元嫁は息子と、テレビを眺めていた。

「こんばんは」
と声をかけると、彼女は明るい笑顔で私を迎え入れた。

昨夜から点滴の始まった彼は、少し顔色も悪くなっていた。

元嫁も、疲れているのか、顔つきも窶れているように思えた。

息子は、他人の私に人見知りをして、ママにしがみついていた。

面会時間終了のアナウンスが流れると、元夫婦は手を握り、
「明日も来るからね」
と言って、別れを惜しんでいた。

二人をクルマに乗せて、家まで送った。

彼女は私に
「あがっていって」
と言った。

二人と夕食を共にして、彼女が息子を入浴させて、寝かしつけてる間、私はテレビを眺めていた。

「お待たせしました。」

バスローブ姿の彼女がビールを持ってきた。

「クルマの運転があるから」
と言って断ると、
「今夜は泊まっていって下さい」
と強い口調で言われた。

彼の様子を聞きながら、私は彼女の晩酌に付き合った。

一通り彼の話をしてから、彼女は私に
「主人と寝たでしょ?」
と聞いてきた。

バレてる予感はしていた。

二人は離婚しているし、彼女に文句を言う資格も無いし、私が責められる理由は無いと思って、納会での話も、彼と温泉旅行へ行った話も、全部彼女に話した。

彼女は相づちをうちながら、私の話を聞いていた。

話をしながら、私は地雷を踏んでる事を察していた。

離婚しているとは言え、タイプの違う女に、元亭主をネトラレた彼女の心境を考えていた。

(いつ怒り出すのかな?)
私は身構えていた。

話終えた後、彼女は私に、
「りなさんは、主人を愛してるの?」
と聞かれた。

「彼は素敵だし、好きだと思う」
と答えた。

愛してる、と言うのは避けた。
と言うより、私は彼をセフレとしか思っていない。

すると、
「私は、あの人の子供の母親です」
と言われた。

言葉が重かった。

彼女自身も、それを言って泣き始めた。

「ズルイよ、ズルイよ」

駄々をこねる子供みたいに泣いてる酔っ払いに、私は困惑した。

私にカラミ疲れたのか、少し眠そうにしていた彼女を、浴室へ連れて行った。

湯冷めして、風邪をひかせたら大変だと思っていた。

浴室には彼のバスローブもあったので、私も彼女と一緒に入浴する事にした。

「やだよ、やだよ、」

彼女は相変わらずグズっていた。

彼女を浴槽に入れると、すぐに大人しくなった。

浮力で彼女のオッパイがユラユラ揺れている。

彼女の軟らかい身体は、多くの男達に抱かれてきたM女の証。

Sの夫に愛されてきた証。

でも、それは抱かれても、男を抱いた事の無い女の証でもある。

抱いて貰ってきた旦那が入院している。

離婚しているものの、彼女は今も彼を愛しているらしい。

そんな健気なMを、可愛いと思っていた。

母親である彼女を、尊敬していた。

気がついたら、私は彼女とキスをしていた。

どうしてなのか、自分でも理解できない。

彼女もキスを返してきた。

元亭主を寝とった私に舌を絡ませてきた。

私達は敵同士。

女同士のSとM。

入院している彼を心配している私達は、なぜか二人で慰め合っていた。

「愛してる」
彼女に告白された。

私は答えなかった。

酔っ払いの戯言に付き合うつもりもない。

私は彼女の口を塞ぐようにキスをした。

酔っ払いに「愛してる」と言われるのが、不愉快に思えた。

私は彼女を愛していない。

愛しいとは思っているけど、

好きな男を心配しているのは私。

元嫁になんか、負けたくない。

不合理な葛藤が頭の中を巡り、シラフのはずの私も酔い始めていた。

彼の無事を祈るように
「お願い、お願い」
と呟く彼女と私は、祈るように抱き合った。


朝になり、先に起きた私は、彼女の寝顔を眺めていた。

昨日は、あれほど不安だったのに、恐れていた彼女と裸で眠り、彼女の温もりが、心地よくも思えた。

こんな朝は初めてだった。

目覚めた彼女は、びっくりして、裸のまま寝室を出ていった。

子供と鉢合わせしたらしく、彼女が必死に言い訳しているのが聞こえてきた。

可笑しかった。

彼女は、昨夜の事を覚えていないらしい。

彼女は、部屋に戻ると服を着始めたので、
「パンツを貸して」
と言ってみた。

他人にパンツを借りるのは、社会人になってからは初めて。

私は彼女のオバサン下着を履いた上にバスローブを羽織って、朝食を三人分作った。

子持ちの女と食べる朝食は、妙に家庭的だった。

今日は日曜日。

後で二人を病院へ送り届けたら、私も帰ろうと思う。
5
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/02 22:43:10    (Hp/bucoM)
色んな修羅場を経験した彼女も、今回の入院はショックだったらしい。

子供が授乳期を終えると、夫婦はSMから足を洗って、普通の夫婦になった。

性生活にはSM要素が入っていたが、日常的にはパパママと呼び合い、二人とも幸せだったという。

しかし、父親が認知症になり、母親が彼女の腹違いの兄と不倫した事などがあって、夫婦の関係にも影響が出た。

夫婦喧嘩が絶えず、そんな二人がSMをするなど出来なかった。

ノーマルな夜の営みはマンネリ化し、ときめかなくなったエッチに、夫婦の溝を埋める術は無かった。

子供の小学校入学のタイミングで夫婦は別居。

夫の短気で用意した離婚届で、夫婦は別れてしまった。

M女だった彼女は、主人だった夫に、別れてからも様々な要求をしていた。

イクメンなんて綺麗事も、彼は努めていたらしいが、元妻は自分を省みない元夫に苛立ちを感じていた。

そんな時に彼の病気が発覚した。

彼女は取り乱して、精神的に不安定になって、子供にも虐待をするようになった。

その頃に夫が相談した相手が、サークル仲間のS男だった。

彼も色々とアドバイスしたらしいが、元妻の暴走が止まらず、私が紹介された。

彼は元妻の暴走を止める為に、短絡的にM男になろうとしていたが、彼女は狂暴化してもM女。

ちゃんと手懐けてしまえば、元通りになるはずなので、私が女性の悦ばせ方を教えていた。

品の良いパートナーは、暴走した妻を調教(じゃじゃ馬ならし)できる。

しかし、彼の病魔は、私の計画を壊した。

結果的に今の所は、元夫の事が心配で、元妻も落ち着いていたが、命に関わる手術や治療に、彼女の心は壊れかけていた。

昨夜の晩酌は、彼女が妊娠してから、初めて飲むビールで、子育て中は一切口にしなかったせいで、すぐに酔っ払った。

今日も彼女は、子供を寝かし付けてから、酔っ払って私に電話してきた。

「助けて、」

と泣いてる彼女を、私は気休めの言葉で慰めるしかなかった。

今週、彼は手術の前に、アソコの毛を剃られて、全身麻酔の直前には看護婦さんに浣腸され、術後は、尿道に挿管される。

彼にとっては、初めてばかりの経験。

「旦那が癖になったら大変だね?」
って冗談を言ったら、電話口で吹き出す彼女の声が聞こえた。

術後は、しばらく接触も制限されるから、彼女は毎日、彼に会いに行く。

芯の強さは母親だからか、過酷な調教を経験してきたM女だからか、定かではないが、少し元気になったみたいで安心した。

笑えたら大丈夫。
6
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/03 08:29:57    (uSpR4dXl)
彼からメールが来た。

元嫁とヨリを戻す事になったらしい。

退院後は、彼女と子供のいるマンションで療養すると言う。

危険な手術を前に、ナーバスだった彼が、前向きになったのは、良いと思った。

明日は手術の準備で、色々とあって、奥さんを手伝って欲しいと言われた。

彼は奥さんに、私との事も告白したと言う。

その話をした後で、もう一度やり直したい、と言ったら、彼女は泣きながら、彼の申し出を受け入れた。

私は会社のPCで上司に休暇を申請した。

上司に呼ばれ、理由を訊かれたので、知人の介護を手伝う旨を説明したら、ボランティア休暇の手続きをして貰えた。

前例の無い家族以外の介護休暇だが、認めてくれた上司に感謝した。

今日から早帰りして、彼の家族を送迎して、明日と明後日は全休する。

貯まっていた有給休暇も、かなり消化できる。

明日は、彼のアソコの毛を剃るらしいが、看護婦から、
「奥さんが剃りますか?」
と言われたらしい。

道具は病院の物を使うらしいが、彼女が夫の毛を剃る様子が見たいと思った。

彼の、人生初の剃毛が見られると思うと、楽しみで仕方がない。

「写メを撮ってあげる」
と送信したら、
「絶対に来るな」
と言われた。

明日は、絶対に行く。

会社を休んで、絶対に立ち会ってやる。

と、心に決めた。
7
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/04 11:59:38    (7EUPcaaB)
会社を早引けした私は、一旦家に戻って荷物をまとめた。

クルマで1時間ほどかけて病院に着いた。

週明けのせいか、午後の外来には、マスクを着用した患者が多くいた。

入口で手を殺菌して、面会受付をしてから彼の病室へ行った。

ちょうど、彼の仕事関係の人が面会に来ていて、奥さんが相手をしていたから、私が子供の相手をしてあげた。

子供から大人まで100%マスクを着用している院内は、ニュースで見ていた外国みたいに感じた。

部屋に戻り、ベッドのカーテンを閉めると、子供のマスクを外した。

お父さんに甘える子供の姿が、何とも可愛らしい。

幸せそうな家族の時間は、面会時間終了のアナウンスで終った。

私達が帰るのを、ベッドで見送る彼は、涙ぐんでいるように見えた。

彼の表情に私はキュンとした。

マスクを外して病院のゴミ箱に捨てると、外の新鮮な空気が気持ち良かった。

車内で彼女から、子連れで面会できなくなる事を聞かされた。

子供と患者の安全を考えた感染予防らしいが、何だか切ない気分になった。

買い物に入ったスーパーで、半額になった見切り品を買い込んだ。

子供に食玩を買ってあげたら、凄く喜んでくれた。

安価な物で手懐けられる子供は、可愛いと思った。

玄関で、除菌スプレーを全身に振り掛けて、浴室へ向かった。

ウイルスを室内に入れないよう、3人で服を脱いで、シャワーを浴びた。

お尻の方で違和感を感じた瞬間、アソコからタンポンが抜けた。

「ひぃ!」
私が思わず悲鳴をあげて振り向くと、子供が私のタンポンの紐を持って、驚いていた。

「ごめんなさい」
すぐに母親が反応した。

「大丈夫」
って、私は答えたけど、経血に染まったタンポンを見た彼女の息子は、ショックだったらしい。

私でも、初めてタンポンを使った時は、自分のでも驚いた。

私は急いでトイレの汚物入れに、タンポンを捨てに行き、戻って彼の手を洗った。

「大丈夫?」
子供に心配された(笑)

すぐに弟の事を思い出した。

弟も血を見るのが苦手で、生理になると、いつも以上に私に気を遣っていた。

彼の母親はオロオロしてたけど、私が笑ってるのを見て、安心したみたいだった。

二人が先に出て行った後、私は指を使ってお湯で洗い流した。

古い胎盤の破片が、血に混じって排水口へ流れて行く。

浴室を出て、身体を拭いてから、新しいタンポンを挿入して、バスローブを羽織った。

浴室を洗い流してから出ると、半額で買ったお弁当を温めた匂いがした。

彼女が夕食の支度をしていたら、子供が
「ごめんなさい。痛くない?」
「りなちゃんも入院するの?」
と心配そうな顔で言われた。

どうやら、私がケガをしたと思ってるらしい。

なんとか説明しようと考えたが、男の子に上手く説明する言葉が浮かばず、
「大丈夫だから、心配しないで」
と言うしかなかった。

とんだハプニングになったけど、重苦しい空気だけは払拭できた。


つづく
8
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/04 15:36:28    (7EUPcaaB)
食後の歯磨きと洗顔を済ませて、私は寝室に、彼女は子供を寝かし付けに行った。

色々とあって、眠ろうとしたら、キッチンで物音がした。

彼女は缶酎ハイを片手に、料理を作っていた。

私は、彼女の手にした缶を奪うと、シンクに捨てた。

「旦那が大変な時に、呑気に飲んでる場合じゃないでしょ?」
「アンタも、嫁の自覚があるなら、願掛けにお酒をヤメるべきでしょ?」
と、強く言った。

私も気が立っていた。

生理のせいではなく、彼が心配で、酔いに逃げようとする彼の妻に怒りを覚えていた。

(彼女を叩いてやりたい)
と思ったが、我慢した。

私は怒りを込めて、彼女を睨み付けた。

「まだ、一口しか、」
と言い訳をしようとした彼女は、言葉を飲み込むと、涙で瞳を潤ませていた。

「だって、だって、」

彼女は私の着ていたバスローブの胸ぐらを掴んで、何かを言おうとしていたが、言葉にならなかった。

病院では気丈に振る舞っていたものの、二人きりになった途端、弱い部分を見せてきた。

「彼の事、大好きなんでしょ?」
と訊いた。

彼女は黙って首を縦に振った。

私は彼女を寝室に連れて行き、部屋の灯りを消した。

暗がりの中で、彼女の啜り泣く声が続いた。

しばらくして泣き止んだ彼女が私に、
「色々と、ご迷惑をおかけして、すいません」
と話しかけて来たので、
「人に泣かれるのは、慣れてるから平気よ」
と答えた。

「そうですよね?りなさんって、Sですもんね」
と返してきた。

「その通り」

自分で言って笑えた。

彼女も笑った。

彼女は、自分の近況から過去の身の上話を始めた。

私は相槌を打ちながら、彼女の話を聞いていた。

夫婦生活、主従関係、過去の恋愛に、複雑な家庭環境まで、何でも話した。

私の話をする余地は無かった。

いかにもM女らしいと思った。

話終えて、スッキリした彼女は、私に
「今夜も抱いて下さい」
と言ってきた。

私は生理中。

「シーツや布団が汚れるよ?」
と遠回しに断ろうとしたら、
「私、昨夜オナニーしたんです」
と言ってきた。

昨夜も飲んで寝ようとした彼女は、眠れずにオナニーをしたらしい。

前の晩に、私に抱かれたのが、忘れられなかった、と言われた。

彼女の手が、私の下腹に伸びてきた。

このまま寝たら、彼女に何をされるか分からない。

「じゃあ今日は、私を旦那だと思って、抱いてみて?」
と言った。

彼女は私を早く、その気にさせようと、性器や乳首を責めてきた。

私は彼女を止めた。

「違う。男の抱き方じゃない」
と私は言った。

彼女は戸惑っていた。

「どうしたら、」
と言うので、攻守を逆転して、私が彼女の上になり、調教を始めた。

普段なら、男に女の悦ばせ方を教えている私が、彼女を男に見立て、テクニックを伝授した。


つづく
9
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/04 20:20:51    (7EUPcaaB)
私は、持参したロープを彼女の手首に巻いて、割を入れると、彼女を高手の状態にした。

結びを入れず、縄は簡単に解ける。

そして両手指の腹を使って、指先から肩を通り、両わき腹へ。

両脚も、爪先から脇の下まで、身体の側面を撫で上げて言った。

「あふぅん、」
熱い吐息を漏らしながら、身を捩らせ始めると、彼女の体毛に吐息を吹き掛けて行く。

乾いた身体が火照り始め、私の指も彼女の汗で湿りを感じる。
敏感な脇の下や、下腹の生え際を、鼻の頭で撫でながら、鼻息を吹き掛けたり、吐息を吹き掛けた。

鳥肌を立てて彼女は悶え始める。

「んん、ぐぅん、」

彼女が温まったのを見計らって、首筋に唇を這わせる。

時おり、喉笛に歯を立てながら、熱い息を吐くと、肉食獣に襲われてる獲物の様な恐怖に、彼女は切ない鳴き声をあげる。

痛みのない恐怖と快感に、彼女の身体はピリピリして行く。

ここまで来ると、毛先に息を吹き掛けるだけで、Mの身体は全身に電気が走ったようになる。

「あぁん、お願い、お願い、」
と口から呻き、アソコからヨダレを垂らす。

中指の腹で、彼女の敏感なクリトリスを下から撫で上げる。

「ダメ、だめ、」
と声をあげて、彼女は海老反る。

「とりあえず、こんな感じかな?」
と、手を止めて顔を見ると、彼女は瞳を潤ませて、
「お願い、最後までして下さい」
「私おかしくなりそう」

どこに触れても、どこに息を吹き掛けても、今の彼女は全身が性感帯。

手首に撒いたロープの縄尻を使って、縦に撫で上げて行く。

「あぁん、もう焦らさないで、これ以上我慢できない、」

泣いて欲しがる彼女の口に、ディルドをあてがう。

下から上へ、根元から先端へ、唇と舌で唾液を塗り込む。

ベトベトになったシリコンの疑似ペニスを首筋や肘や膝の内側で擦っては、彼女に舐めさせる。

「まだ?まだなの?」
「オチンポをちょうだい、」
「おまんこが、おまんこが、もう、おかしくなっちゃう」

はしたなく物乞いを始めた彼女に、
「挿れて欲しい?」
と尋ねる。

彼女は首を何度も縦にふり、
「お願い、何でもするから挿れて、」
「何でもするから、何でもするから、」
と急かし始めた。

「本当に何でもするの?」
と訊くと、
彼女は飢えた獣のように喉を鳴らして、最後のお願いをした。
「・・・」

「分かった。挿れてあげるね?」

私はディルドを回転させたり、角度を変えながら、彼女が一番悦ぶ方向を探り、奥を突いた。

イクたびに、ディルドの角度を変えて、膣の中を360度突いてイカせた。

最後は、声を枯らすまで鳴き続けた彼女は、ディルドを抜いてから、息を落ち着かせて、そのまま眠りに落ちた。


つづく
10
投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/04 23:06:11    (7EUPcaaB)
明日はいよいよ手術。

今日は彼の子供を学校まで送って行った。

帰りは、彼女の母親が迎えに行く。

病院へ向かう途中、助手席の彼女が、
「主人と寝ましたね?」
と言われた。

嘘を吐くつもりもないので、
「怒ってる?」
と訊いた。

彼と寝たのは、二人が復縁する前の話だし、それがバレても構わないと思っていた。

座席の下には、万一の為に用意しておいた護身用の武器もある。

「お嬢って、そういう人ですよね」

彼女は怒るどころか、上機嫌だった。

[お嬢]というのは、私の昔の呼び名。

今はサークル内で[姫]と呼ばれている。

元会員の彼女に昔の呼び名で呼ばれるのは、少し気恥ずかしいが、訂正しなかった。

「昨夜の事だけど、」
と話をしたら、彼女は笑顔で、
「恥ずかしい」
と言った。

大人の色気に、少し気負った。

車内には、彼女の発散している匂いが漂っている。

もう、この話は止めようと思った。

「今日は、彼の毛を剃るんだよね?」
「剃った事ある?」
って訊いたら、
「自分で剃るか、剃られるばかりです」
って、彼女は笑った。

「大丈夫かな?」
って聞くから、
「病院だし、万一切り落としても、くっつけて貰えるでしょ?」
と言って笑った。

お互い不安だったけど、悲壮感は消えていた。

無事に手術が成功すれば、あの人も彼女も子供も幸せになる。

そう願った。

そして祈った。

彼は午前中、検査で部屋にいなかったが、数日前に手術をした人が、家族と一緒に病室へ来た。

カーテンを閉めた向こうから、談笑する声が聞こえた。

手術が成功したらしい。

希望が持てた。

彼が戻り、昼食を食べている間、同室の人の体験談を聞かせて貰った。

術後は隔離され、無菌室で治療するらしい。

薬の副作用はキツイらしいが、我慢できない事はないという。

中の看護婦さんの方が、美人で優しいと聞いて、彼も楽しみになったという。

食事が終ると、同室の彼は眠り、家族も帰って行った。

看護婦さんが、道具を持ってきた。

ハサミとカミソリ、お湯と蒸しタオル等々、SMスタジオでも使う道具を持ってきた。

「出来そう?」
看護婦さんに聞かれたので、
「失敗したら、ナースコールします」
って言ったら、看護婦さんも笑ってた。

カーテンを閉めて布団を捲った。

「き、緊張する」
という彼に、
「早く脱ぎなさい」
と命令した。

恥じらいながらパンツを脱ぐ姿は滑稽だった。

(こんなに小さかったかな?)

先月お手合わせした時とは印象が違った。

彼女は陶器に入ったクリームを泡立てると、刷毛で彼の下腹に塗り込み、蒸しタオルを被せた。

「あっちい」

思わず悲鳴をあげた彼に笑った。

蒸らされたせいか、タオルを捲ったら、少し膨らんでいた。

彼女は彼のイチモツを左手で押さえると、右手に持ったハサミでチョキチョキと刈り始めた。

縮れた毛がゴッソリ刈られて行く。

一通り刈り終えると、彼女は一息ついた。

指が疲れたのか、右手を振っていた。

「私が代わろうか?」
って訊いたら、
「大丈夫」
と言った。

再びクリームを塗られた彼の股間に、いよいよカミソリの刃があてられた。

見ているコチラも緊張する。

気がつけば、彼の肉棒は太く怒張していた。

嫁に握られて、ピクピクしている。

しかし、彼女は剃る事に集中しているのか、ゲームのスティックを操るように、無造作に傾けていた。

傾ける度に顔を歪める彼が滑稽だったけど、カミソリを握る彼女には見えていない。

(今、彼女の気を散らせたら、マジで失敗するかも?)

私は必死に笑いを堪えた。

物音さえ立てないように固まった。

「ジョリ、ジョリ、」
カミソリの通った跡が、キレイになって行く。

あれほど繁っていた彼の下腹に、スベスベの肌が露になる。

私も思わず顔を近付けて、覗き込んだ。

「大丈夫ですか?」

背後から担当ナースの声がした。

奥さんだけならともかく、私が一緒だとバレたら大変な事になる。

狭いスペースで、私の逃げ場は無かった。

夢中で剃ってる彼女の耳元で、
「大丈夫って言って!」
と囁いたら、彼女も我にかえって、
「大丈夫です。まだ途中なので、終わったらナースコールします」
と言った。

彼の寿命を心配する前に、私の寿命が縮まる思いだった。



つづく
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投稿者:りな ◆0jVt1ao7Gw
2020/02/04 23:53:13    (7EUPcaaB)
けっこう、時間は掛かったが、なんとかキレイに剃れた。

彼にとって初めての剃毛プレイ。

せっかくなので、彼女のスマホで仲良くしている二人を入れて、記念撮影した。

一通り撮り終えた後、
「お尻の毛は、剃らなくて良かったのかな?」
と彼女が呟いた。

「もう、私の指も限界だよ」
「お尻も剃るなら、お嬢にオマカセしても良い?」
と聞かれた。

念のため、彼のお尻を見たら、意外と毛深かった。

しかも難しそう。

道具を返しに行った彼女が、
「お尻は剃らなくて良いって」
と報告してきた。

夕食まで時間もあった。

彼女は私に
「見張りをお願いできますか?」
と言った。

私は察して、カーテンの外に出た。

カーテンの中からヒソヒソ話が漏れてきて、沈黙の後にクチュクチュと湿った音が聞こえてきた。

明日、手術を終えた二人は、しばらく触れ合う事も出来なくなる。

声を出さないように我慢しながら愛し合う二人の音を、私は黙って聞いていた。

ギシギシと軋むベッド、粘膜の擦れあう音が、病室の外まで漏れていた。

「こんにちは」
人が通るたび、挨拶をして、私は二人に合図を送った。

「終わりました」

身支度を整えた彼女は、上気した顔でカーテンを開けた。

二人の残り香が漂っていたが、すぐに消えた。

夕方、彼女の母親から、息子を迎えに行った報告があった。

彼女は
「お父さんは元気だよ」
と、息子に宛てて返信していた。

面会時間が終わるまで病院にいて、今日は真っ直ぐ帰宅した。

欲求不満が解消された彼女は、私に迫る事もなく、今夜は早く寝ている。
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