イメプレ

旧館のトイレの盗撮、覗きの話は七不思議的に語られていたが誰も真意を突き止めようとはしなかった。
誰も実際に被害にあったり、公開された等の話をしないからだ。

「…。へぇ…。」

日課のように教務を終え、帰宅するとPCを開く。
１日１回のバッテリー交換で済むように、解像度等を極力抑えながら何よりも奇跡的にそこで用を足す女が現れた時に漏らさないことを優先して設置している。
かれこれ数か月は映り込む女は現れなかったが、ついに、そこにやってくる女の姿。

生徒か…。
教員ではないことは恰好から明らか。
しかし、現状ではそれ以上のことはわからなかった。
そして、次の段階へと移行する。

「見てるよ…またおいで…同じ時間に…。」

時間帯を限定し、そのような文字を打ち込むとそのまま出力する。
翌朝、早々にそこへとやってくると
少女が入った個室、しゃがんだ目の前に確認できる位置にその張り紙をし、その場を後にする。



【よろしければお願いいたします。
36歳。貴美香さんのクラスも担当している教員です。
希望のイメージは確認いたしました。】

翌日も家からおしっこを我慢して登校します。
躊躇いも無く旧校舎に入ると、トイレに向かいます。
『何を期待っしてるんだろ？』
何て考えながら個室に入ると昨日は無かった真新しい張り紙が
〈見てるよ…またおいで…〉
その文字にドキドキし
『見られてるんだ…貴美香がおしっこするところ…
でも、同じ時間にって…来るまで読めないのにね』
少し笑ってスカートを捲り上げ今日はピンク色のショーツを下ろして
しゃがみ込み黄色いおしっこを勢いよく放尿していきます。
カメラがどこにあるのか解らないのでそのままおしっこを拭いて教室に向かいます。

【机とかに手紙を入れてもらうのも有りです。〈昼休みに〉とか〈放課後に〉とか〉】

2日続けて撮影できたことが決め手となった。
この子は来る…、そう確信すると。
違う形で仕掛けていく。

古い旧館はボロボロであちこちに穴が開いており、カメラを仕掛けることは難しくなかった。
都合よくも、和式トイレに、便器にしゃがみ込む女の姿はどの角度からも撮影できそうなほどに劣化が激しくなっていた。
まずは誰かを突き止めなければ…。
そう考えると、個室内、頭から足元までができるだけ大きくはっきりと映り込む位置、正面に隠しカメラを設置して改めて撮影を試みる。

「貴美香か…あの子がそんな性癖を持っていたとはね…。」

2度目の盗撮で対象生徒がわかれば、そっと机に置手紙を忍ばせる。

「君だったのか…次はお昼休みにおいで。待ってるよ。」

誰かは完全に知っている。
そんな風をにおわせながら、貴美香の反応を楽しみに次の昼休みを待った。

誰からとも書いて無い手紙
さらにお昼休みに来る様に書いてあるけど、何処へとは書いて無い…
それでも貴美香は手紙の内容を理解する
差出人は解らない
けど差出人は貴美香を知っている…
知っている人におしっこしている姿を見られている…
授業も耳に入らず頭の中でグルグルと色んな思いが巡る
『どうしよう…』
考え込んで出した結論
昼休みになると貴美香は旧校舎へ向かう…

【遅くなってごめんなさい】

昼休み。

半信半疑の貴美香が旧校舎を訪れれば、あいかわらず静まり返っている。
昼間で日差しこそ入っているが、日が落ちれば不気味に感じるかもしれない。
そんな雰囲気の持つ旧校舎。

具体的な指示は出さなかった。

しかし、足を運ぶ貴美香の期待感はなんとなくイメージできていた。

遠くから聞こえる水の流れる音。
ここ数日使用している例のお手洗い。

手洗い場の鏡に貼られた一枚の紙。

「昨日と同じ個室に入ってね。」

そして個室の中には改めて張り紙が。

「いつもより大きく足を開いて…。
ぱんつをずりさげたら、スカートをめくって…。
立ったまま…してくられるかな。

貴美香、今日も観てるからね。」

そう書かれた張り紙。
もう後戻りできないよ、とでもいうかのようなその指示。
従えば従うだけ、見られていることは明白、つまりどこかで撮られているはず。
弱みの材料は増え、ますます引き返せなくなっていく。



【お気になさらず、お時間のある時で大丈夫ですよ。】