私はこの人と決めたたった一人の男の人の加虐願望の捌け口になりたいです。されたいことをねだったり、こちらから加虐してほしいと言う資格など、M女たる私にはないのです。相手の加虐したいときに適当に呼びつけられて、されることにただ喜ぶ女でいたいのです。
Kさんとは、前に会ってからもう一ヶ月以上が経ってました。しばらく忙しくなることは伝えられていて、必ずまた連絡すると言われていましたが、私は会えない日々が続き、以前にしてもらったことを思い出しては、さみしい気持ちに浸る毎日でした。
会いたい気持ちに痺れを切らした私は、その日、ついに自分から連絡をしてしまったのです。たった一言、「会いたいです」と。そして自らそんな連絡をしてしまう自分にM女としての資格のなさを感じながらも、なにか禁忌を犯してしまったような興奮を覚えていました。
Kさんは忙しく過ごしている中、時間をつくってくれて、次の休みの日に会えることになりました。
最寄り駅まで車で迎えにきてくれたKさんの、道路の反対車線の脇に止めた車を見つけただけで、私は身体が疼いてしまいます。
横断歩道を渡って車へ近づくと、窓からKさんが見えて、私はドアを開けます。
「久しぶりです。迎えに来てくれてありがとうございます」
私は平然を装い、笑顔を浮かべてそう言います。顔を見ただけで以前してもらったことあれこれが思い出されます。Kさんの声を聞くだけで、もうおかしくなりそうです。早く痛みつけてほしくてたまりません。
途中でコンビニに寄りながら、一時間ほど車を走らせますが、Kさんは私が頭の中でいっぱいにしているようなことの話はなにもしません。他愛もない話をして、おだやかな時間が流れます。私は今すぐにでも信号待ちにそのハンドルを握る手で首を絞められたり、乳房を乱暴に掴まれたりしたいのに、今すぐでもKさんのおちんちんを咥えたいのに、そんなことは叶いません。
せめて「会いたかったの?」などと聞いてくれたらモジモジできるのにと、私は頭の中で被虐妄想をしながら、口では他愛もない話を続けます。
結局ホテルへ着くまで、そのような話は一切なく、悶々としながらホテルへ入りました。
しかし、ここからも焦らしプレイは続くのです。