もう、20年以上前のことで、記憶も朧気なのですが思い出せることだけでも書いてみます。当時は、ツーショットダイヤルと伝言ダイヤルが出会いの常でした。それこそ、全国津々浦々まで電話番号が設置されておりまして、私の場合は愛媛県のSM専門番組を使っておりました。そうなる前に暇つぶしに、ノーマルな男女の出会いの番組で主にツーショットで遊んでいた当時の話です。
ツーショットというのは、男性が電話をかけるとしばらく待たされます。その上で女性が電話をかけてくると男性に繋がるという仕組みです。一応、希望毎に振り分けられて、例えばテレフォンセックスがしたい男性は1番を押して待機、同じくテレフォンセックスを希望する女性からの電話がかかってきたら順番に繋がるというとてもプリミティブなのんびりとした遊びでした。
私が初めてM女さんと繋がったのは、ごく普通の番組の暇つぶしにエッチな会話を希望という場所でした。先に入った私が待っていると、ピンポォーンとけたたましい音が鳴って、「お相手の女性が見つかりました。優しくエスコートしてあげて下さいね。では、どうぞ」って感じのアナウンスの後、何とも気まずい雰囲気の沈黙が訪れます。
こういうときは、出来るだけ明るく、でも軽すぎないように声をかけるのが良いのかなと思ってました。今と違ってマニュアルとか、参考となるサイトとかが無かったので、男女ともにどうやって遊ぶかは人それぞれだったのです。人によっては、男性は自分がお金に困っていないと訴える人が居たり、セックスが如何に上手か、何回できるかというようなことをいきなり本当に人それぞれだったようです。何故かというと、一分いくらという課金だったので、話し込むというよりは相手の女性が冷やかし、またはサクラさんだと思ったらチェンジする、または、ガチャ切りが当たり前だったんだそうです。素人の本当に会話を楽しみたい女性から何度もこれの愚痴を聞かされたモノです。
私は、会うつもりはまるきり無かったんです。ただ単に、エッチな会話を素人の女性と楽しみたい。ある意味、会いたいと言われてもノラリクラリとかわすって感じでした。そのため、逆に着られることもしばしばありましたが、気を取り直して素人さんとの会話を楽しみたいとお金を捨てていたって感じで遊んでました。
そうした平日の午後、一人の女性と会話が繋がった後のことでした。
その女性は、ちょっとはすっぱと言いましょうか、後から聞いたら若い時はヤンキーだった、そのまんまの口調で話し始めたのです。もちろん、本人はそれが普通。周りもそう言う話し方の人らしく、方言混じりでヤンキーが若く結婚して、その後はお約束で離婚したシングルマザーの元ヤンママになるとこんな感じになるのかって言うサンプルみたいな女性でした。
最初はノリが良い、滅多にお話しすることがない相手で戸惑っていたのが正直なところでしたが、そのうち、あけすけにセックスに絡む話にはなかなかならないのがもどかしく、と言いますのは、サクラさんは特に、そうでないだろうという女性もここぞとばかりにエッチな会話に走るのが常だったのです。思うにタクシーに乗ってメーターが上がっていくような課金を意識していたのは、男性だけではなく、その相手をしている女性もドンドンと無用にエスカレートしていたのでしょう。ものの数分後には、どんなセックスをしたことがあるとか、経験は何人とか尋ねられて、そこから会話が拡がっていくのが常だったからです。会うつもりは無いけど、午後の暇を潰すのには格好の遊び時間でした。
その女性が何を求めて電話してきているのかは正直なかなか判らなかったのです。話はお子さんの話やら、現在は無職で同棲相手に食わせて貰っているとか、その相手がやはり元ヤンキーで現在は現場労働で浮気ばかりするとか、正直、聞きたいとは思わない話題がズラズラと続くばかりだったので、これは外れだなと、滅多にしない途中で着ることを考え始めたその時、私の口から出たのはなにも意識しなかった一言でした。
「そう、ところで、じぶん、えっちは、ノーマルなん?」
先ほどまでのはすっぱな口調が止んだと思ったら、しばしの沈黙。あ、しまった、怒らせたかなと思い始めたその時
「うーん、あぶ」
本当に同一人物か?って耳を疑うほどにかわいらしい声でささやくように言うんです。こちらは、ただ唖然とするばかり。あぶ?あぶって、なんだ?で、間抜けなことに、そのまんまを聞き返します。
「え?へ?あぶ?あぶって、なに?」
また、しばしの沈黙の後、
「あ、アブノーマル」
もう一度、思考が停止。アブノーマルって、なんだ?え?アブノーマルって、なんだっけ?
声がかすれてましたが、構わず問い返します。
「アブノーマルって、どんな、アブノーマル?」
この頃になると、この女性、ちょっと入ってたんでしょうね。声が甘くなって、甘えたような声になって。本当にしおらしいというか、かわいらしい声で
「SMのM」と消え入りそうな声で応えるのです。
でも私にしてみたら、SMって、なんだぁ?だったのです。ええ、知らなかったのです。私がまさかSだなんて。そりゃあ、知りませんよ。それまで、一度たりとも自分のSなるが故の願望とか持ったことなかったし。
しかし、俄然、興味がわいてきます。そもそも、さっきまでの元ヤンママじゃあ無いんですから。乙女、っですから。どうなってんのよ、これはなに?ってな感じで。一転して大興奮の嵐ですもの。
続きます