結婚したての頃は、そりゃあ初心で可愛いもんだった。
なにをしても恥ずかしがるだけで、ベッドの中ではいつも泣いてばかり。
泣けば泣くほど可愛く思えて、益々虐めたくなるのは俺の性分。
結局、本格的な調教に入って、今じゃヨメは立派なメス犬様に。
結婚してから五年が経ち、娘も生まれて生活もだいぶ落ち着いてきたが、夜な夜なヨメが俺に責められて、妖しい媚態を繰り広げるのは今でも変わらない。
今日の休みに、そのヨメを責めるための道具を作っていたら、娘が近づいてきてなにを作っているのか訊ねられた。
日曜大工は俺の趣味で、ヨメを拘束するための枷や磔台なんかも自分の手で作った。
「えっと……、お馬さん?かな……」
ついこのあいだ、和室の天井を補強してヨメを吊り下げられるようにしたばかり。
せっかくだから、本格的な三角木馬も作って、天井からぶら下げたヨメをその上に乗せて遊んだろ、くらいに考えてたときだったから、娘に訊ねられて俺もしどろもどろに。
「わたしもほしいぃ!」
当然、そうなるわな。
仕方がないから、娘のも作ってやったんだが、そっちは当たり前のように普通の奴。
ちゃんと馬の形に板を切り抜いて、ゆらゆらと揺らすことができるようにロッキングまで作ってやったのに、一回乗っただけで飽きたらしく、すぐにヨメ用の方がいいと娘はごねだした。
ヨメ用のは、鞍の角度が六十度しかない超本格的な奴。
君が乗ったら、お股裂けちゃうから……、てなことを言えるはずもなく困り果てていたら、それを後ろで見ていたヨメが「乗せてあげたらいいんじゃない?」とあっさり。
お前、こら……、と心の中で叱ってみても、ヨメは可笑しそうに笑っているだけ。
まったく子どもみたいなあどけない顔をしているくせに、今じゃ、アナルフィストまでやってのける立派なメス犬に成長したヨメ。
娘はごねるだけで全然言うことを利きそうにない。
仕方がないから、ヨメと二人して娘を一度だけ凶器のような三角木馬に乗せてやったのだが、体重が軽いからなのか、尖った鞍に跨がせてもそんなに痛がってない。
痛がるどころか、鞍のところに両手を突いて自分の身体を支えながら、気持ちよさそうな顔をして股をスリスリ。
あらら……。
その気持ちよさそうな顔が、まだ年少さんでしかないのに、見事に「女」の顔。
「血は争えねえな……」と、苦笑いを浮かべてヨメを眺めてみれば、「ばか……」と、ヨメは恥ずかしそうに笑っていた。
可愛い顔をしたヨメによく似た娘で、将来が楽しみでもあるのだが、なんだかそんな姿を見ていたら心配になり、こんなことなら他人にやる前に俺が喰っちまおうかな、てなことを冗談まじりにつぶやいたら、「それもいいんじゃない……」と、ヨメがぽつり。
え?、とヨメに目を向けてみれば、いつまでも三角木馬を降りようとしない娘を妖しい瞳で見つめていた。
その瞳の冷たさにゾッとしながらも、ヨメと成長した娘をふたり並べて狂い泣かせている自分を想像したりして、ほんの少しだけワクワクとしてしまった日曜の午後でした。