美晴の住む町と俺の住む町は、車で約一時間半ほどの距離、都合のつく週末に会い、中学二年冬休みは、夏同様、親戚のお姉さんをダシに、泊まりにきました。
転機が訪れたのは、美晴中学三年の夏休み、同じように俺のアパートに泊まりにきていたときです。
『本格的受験シーズンに入るだろうから、会うの、難しくなるだろうね?』
俺がそう言ったときです。
『そんなことないよ』
美晴はあっさり言いました。
『だって受験勉強、大変だろう?』
すると美晴は言いました。
『高校、行かないから』
『え?』
そりゃもう驚きました。
『私にはハッキリした目標が出来たから』
そう言いました。
『目標?』
『そう。私は勝司さんの奥さんになる』
『なに~~~?』
確かに炊事洗濯、よくこなす美晴、でもまだ15才です。
『まだ15だろうが』
『あら、女は16で結婚できるんだよ?親の承諾あれば』
『親の承諾とったんか』
『まだ』
慌てました。
『そうゆうのは俺や親の気持ち、考えてからにしろよ』
『勝司さんは、私がお嫁さんじゃ不満?』
不満なんかあるわけありません。
可愛いし、泊まりにくればほんと奥さんみたいによく働くし、嫁さんになって欲しい、でもまだ15才なんです。
せめて高校くらいはと、親じゃなくても俺だって思います。
『すぐ結婚とは誰も言ってないよ?とりあえず家を出て、この街に住みたい、勝司さんのすぐそばにいたい。もちろんバイトでも何でも働くよ』
少し冷静になりました。
『親が許さんだろう』
『問題はそこ。でも許してくれそうな感じはある』
ますます手がかかる弟、変な視線から逃れるため、お父さんとの関係はより悪化していた美晴。
お母さんもそれを薄々感じとっているらしく、高校は地元以外でもと言ってるようでした。
冬、美晴はお母さんを伴い、俺のアパートに来ました。
『美晴が親戚のとこにやっかいになってないのは、なんとなくわかってました。どうされるつもりですか』
そう聞かれました。
『美晴がここにきて、ここに住んで、仕事したいなら、私は受け入れます。もちろん責任を持って』
『ではお任せします。美晴をよろしく』
意外なほど、お母さんはあっさり引き下がったのです。
中学を卒業し、ボロアパートに越してきて、バイトを始めた美晴。
一応二十歳までまって、籍入れました。
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