次の日、俺はキスが出来るという期待ともしバレたらどうしようという不安が入り混じって朝からドキドキしっぱなしだった。
うちの学校は一時間目が始まる10分前に教室で小テストをする「朝学習」という時間があった。
プリントが配られてみんなが静かに取り組む中、俺はボーッと自分の席から窓の外を眺めていた。
頭の中はまきちゃんのことでいっぱい、こんなプリントなんて手につかなかった。
すると外の渡り廊下を歩く人を見つけた。
朝の職員会議に向かうまきちゃんだった。
まきちゃんはいつもジャージとTシャツという格好だったが、そんな服装でも分かるくらいスタイルは良かった。
胸はそこまで大きくなかったが、体育教師ということもありウエストはキュッとしてて何よりおしりがプリンとしてた。
サバサバした性格なのであまり周りの目は気にせず、クラブ中も汗でシャツがひっついてブラのラインが浮き上がってもお構い無しだった。
そういう点だけは男子の間でオナネタになってたと思う。
そんなまきちゃんがおしりをプリプリさせながら歩いていた。
渡り廊下を歩き終わって向かいの校舎に入りかけた時、一瞬俺と目が合った。
俺はずーっと見ていたので急に目が合ってドキッとしてすぐに顔を伏せた。
で、10秒くらいして顔を上げるとまだまきちゃんはこっちを見てて、ニコッと笑って口をチュッとして立ち去った。
それだけで俺は心臓バクバクで朝学習の時間は机に伏せて過ごした。
その日は珍しく廊下や階段でまきちゃんに遭遇することが多々あった。
でもいつも他に誰かいて、手でチョンとつついたりイタズラをする機会は無かった。
まきちゃんも俺に気づいているけど全然普通で涼しい顔をしていた。
俺だけが挙動不審になっていたと思う。
そんな感じで6時間目の授業まで過ごして、
「今日一日何も無かったな。あれは冗談だったのかな。」
と思っていると、突然教室にまきちゃんが現れた。
六時間目の先生がその日は家の事情でお休みらしく、自習監督に来たのだ。
女子「え?高井先生が授業すんの?」
まき「いや、自習監督に来ただけです。」
女子「えー、そんなんいらんから先生の恋バナとか聞かせてーや(笑)」
まき「しょうもないこと言わんと静かにしなさい。」
こんな感じでいつも通りのそっけない対応だった。
で、まきちゃんは自習の時間だが来学期の体育委員を今のうちに決めたいと言い出した。
みんなはやりたくないので急に喋るのをやめ顔を伏せた。
まき「誰かやりたい人はいませんか?」
みんな「シーン・・・」
まき「べつに体育委員になったからといって何もありませんよ?」
男子「内申あがる?」
まき「上がりません。」
男子「じゃあやらんわ」
みたいな会話があって、
まき「体育委員として私の雑務と体育大会などのとこをしてもらうだけです。」
と言った。
みんなは早く誰かに決まってほしいという願いからか、他の人になすりつけるように名前を挙げだした。
そして俺の名前も挙がり、
「そうや、けいはクラブ一緒やからちょうどいいやん!」
「ホンマや、決まりやな!」
と言われ、俺が「まぁそれくらいべつにいいけど。」と言うとまきちゃんは一瞬ドキッとしたような顔をして、
「田中くんか・・・じゃあこれからよろしくね。」
とニコッと笑った。
そしてすぐに真顔に戻り、
まき「じゃあ早速雑務と引き継ぎ業務がありますので放課後教官室まで来てください。」
と言った。
自習が終わってまきちゃんが教室を出ると、数名の男子が俺の机に来て、
「なぁ、高井先生笑ってたやん。見た?」
「見た見た、感情あってんな(笑)」
「けい、お前好かれてるんちゃう?(笑)」
と言われたので、
「遠慮なくコキ使えると思ったんやろ。」
とダルそうに答えて誤魔化した。
そして教官室に向かった。
この後起こる事にドキドキしながら。
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