私の授業はあまり寝ないようになりました。
彼女の受けている授業の内 2教科を受け持っているのですが、
教科ごと成績順で席が変わるので、
成績の悪い彼女は 最前列の席。
授業中目が合う。
眠そうなMの顔。
眠さを堪える表情が可愛い。
頑張れM、あと数分で終るからな…
気づいたら、かなり私情を持って彼女を見ていた。
放課後、眠りに来る彼女との会話も増えていった。
校内カウンセラーを挟んで、児相にも話が行き、施設に入る提案が出た。
「一時保護施設はね、●市と●市にしかないんだって。
で、私に被害が出ないように学校とかも行けなくなるんだって」
「そうか…」
何人かそういう生徒もいたので なんとなく解ってはいたが、動揺していた。
それを隠そうとコーヒーに口をつけると
「学校はどうでもいいけど…先生に会えないの、嫌だなぁ…」
「え」
「寝れないじゃん」
「眠れるだろ、安全なところだし」
「ダメだよ、先生いないと…アレだもん」
「いないと…?」
Mの顔が近寄ってきた。
思わず何かを期待してしまう。
「M、そんな近寄るとドキドキする」
冗談めかして言ったが、顔が熱い。
「先生いないと、心が安心しないの
ずうっとこのまま先生といられたらいいのに」
ついにMの頬が肩に触れる。
柔らかい。本当ならそのまま抱き締めたい。
教員って損だ。
「M、相当眠いだろ。
寝なさい」
「うん…先生、一瞬だけ顔かして」
「?顔?」
「うん」
なんのこっちゃ、と困惑していると顔に、顔が近づいてくる。
もしや、と思った時には唇に柔らかい感触。
「おやすみの、キス」
にっこり笑って私の膝を枕代わりに横になる。
「先生、怒らないの?」
「叱るべきなんだけど、怒れない」
「なんで?」
「…ドキドキしすぎてそれどころじゃない」
「へぇ…」
それ以来、おやすみのキスが始まった。
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