心の中で、そんなの映すな、やめてくれと思ってました。
でも二人を憎たらしいとは思いませんでした。
俺は単なる負け犬なのだを、ひたすら噛み締めてました。
披露宴が終わり、私が新郎新譜に見送られながら退場となったとき、克夫は涙ながらに何度もごめん、ごめんと私に謝りました。
美保子も泣いてました。
克夫、美保子の気持ちはわかってました。
三人はほんと仲良しだったんだ、そしてこれからも仲良しでいようね、そうゆう気持ちだったんだと思います。
勉強、スポーツ、両方出来る、スーパーエリートの克夫と比べられたら私なんか、笑いのタネにしかならない、そう思いました。
やがて二人には子供、幸せそうな二人を仲良し縁で間近に見てると、ますます私は惨めになっていきました。
でもやはり二人が憎いとは思えないんです。
克夫は私に数回、女性を紹介しようとしました。
でもそうなると、お前の世話になんかなりたくない、そんなプライドが私にわいてきたりして。
ズルズルと冴えない中年男にまでなってしまいました。
不思議ですね。
あいつら別れてくれたら、美保子俺がもらう、そうゆう気もないんです。
克夫も美保子も私に親身になってくれてるからなんでしょう。
美保子を自分の手元に、それはもう何十年も前に、叶わぬ夢と知りつつも、やはり私は呪縛から抜けてないんです。
幼なじみ三人、お互いが別々な道を歩いていたら、それはそれなんでしょうが、二人は同じ道、一人は違う道だと、難しいことになってしまうんだな、そう思います。
もし私が高校のとき、美保子に告白しないでいたらどうなったか?
二人にプレッシャーを与えることもなく、二人が私に気を使うこともなく、もっと違う関係になってたか?
もしかしたら美保子が克夫に告白もしなかったのかも知れない。
私の告白に美保子は自分の気持ちに、素直になろうと決め、克夫に告白したような感じです。
惨めな負け犬の予想ですが、もしかしたら私の告白により、二人に火をつけたのかも。
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