2012/03/17 21:44:16
(Pz7kS3WR)
「見た?」
一体いつから見られていたのだろう。この時は「便璃が男の身体に興味ある」なんて思いつきもしなかったけど、当然、彼女なりに好奇心はあったんだろうな。
「はい」
てっきり恥ずかしそうに首を横に振るのかなと思っていた俺にとって、その返事は意外だった。
「男の人がしてるの、初めて見ました」
そう言って、ニコっと笑いながらゆっくりとカーテンを開ける便璃。彼女の白い裸体が、再度俺の目に飛び込む。
「それは大変お見苦しいものを」
などと余裕ぶっていた俺だったが、この時の便璃の態度で俺は、相当精神をかき乱されていた。
こうやって文字にすると「なんだ痴女か」って感じだけど、この行動は、「○○くん(俺)の恥ずかしい場面を見てしまったお詫びに、私も隠したりしませんよ」という便璃なりの気遣いだったように思う。
「そうか、見られたか……」
大げさに恥ずかしがってみせる俺、これで便璃が少しでも申し訳なく思ってくれればしめたものだ。
「あ、あの。ごめんなさい」
やや演技過剰か?とも思ったが、案外俺の想像通りの動きをしてくれる便璃。本当にこの子は人を思いやることができるいい子なんだな。と、つくづく感じた。
「……じゃあさ、お願いがあるんだけど」
「はい」
その便璃の優しさにつけこむ俺。
「髪洗ってるとこ、見たい」
「えっ」
おいおいその注文はがっかりだよ。と思われる方もいるかと思いますが、あんな艶やかな髪が水を滴らせている場面を見れば、こう願いたくもなるってものです。
「エロスが足りない」は重々承知しております。開き直るようで申し訳ありませんが、現実なんてこんなものだと思います。
「……」
しかし、今でも俺はこの注文で良かったと確信している。
俺の要求に対し便璃は、恥ずかしそうに下を向き、音が聞こえるくらいに思いっきり息を吸って、吐いた。
「……いいですよ」
笑いながら恥ずかしそうに、フルフルと震える便璃。これは比喩じゃない、「シャワーを止めて寒くなったのか?」って程に震えていた。
そんな便璃の緊張が伝わってくるようで、俺も全身に鳥肌が立つくらい緊張した。そして髪を洗い始める彼女の姿を見て俺は、「あ、やっぱり髪を褒めると嬉しいんだ 。でも、本当はすごく恥ずかしいんだ」と理解した。
髪を洗う便璃は「綺麗という言葉で言い表せないくらい綺麗」だったのだが、その時の俺の感激は省きます。今回は他にも書きたいことがあるのです。
続きます。