2012/03/01 16:09:25
(hKYennL1)
明らかに緊張し始める便璃だったが、逃げようとしたり俺の手をどけようとしたりはしなかった。
「そうか、じゃあシャワーも寝るのも無理か……」
一応そう納得した俺は、苦し紛れに便璃のアソコの方に手を伸ばしてみる。押し黙る便璃。多分、この時俺は相当怖い顔をしていたと思う。
(電話……くるなよ……)
この時の俺は、便璃をホテルまで送り届けるまでに兄貴から連絡が来て、せっかくの時間がなくなってしまうことを恐れていた。我ながら逆切れもいいところだが、やはりこの展開は面白くない。
とは言っても、そういうきちんとした理由があるのなら仕方ないということで、とりあえずホテルに向かう俺と便璃。
先ほどの仮眠が効いたのか、今度は便璃も起きていた。雑談は楽しかったが、ホテルに着く直前で便璃が「部屋の鍵持ってない……」と言い出した時は、なんかもう本気でキレそうになった。
「……いや、意味がわからんわ」
「ご、ごめんなさい……」
年下相手に、つい素の声を出してしまう俺。しかし戻るのもしんどいので、ダメ元でフロントの人に事情を説明して、遙さん姉の電話番号を教えたりして、ようやく合鍵で部屋を開けてもらえた。時間が時間だったこともあって、向こうも相当渋い顔をしていた。
明らか迷惑そうな表情の従業員さんを横目に、無言のまま部屋に入る俺と便璃。便璃は俺が不機嫌になってしまったことで、かなり居心地が悪そうにしていた。
「あの、ありがとうございます……」
確かに便璃にはムカついていたが、こう感謝されてしまうと俺も結構弱い。この一言だけで疲れがとれたし、そんなカワイイことを言う便璃に、これ以上悲しい顔をして欲しくないとか考えていた。
「まぁ俺も忘れ物する方だったから、あんま強く言えないけどさ。便璃ちゃんも疲れのせいで忘れたんだろうし」
しかもその疲れの半分は、俺のせい。
ただ、便璃が大人しく家に入ってくれれば、こうはならなかったのも事実。いつまでも怒っていても仕方がないので、俺が優位に立っている(?)この状況を利用して、このホテルの一室でできそうなエロいことを、必死に模索する。
「とりあえず風呂入ってきなよ」
一番ベタなパターンとして、「うっかり裸を見てしまう」が思い浮かんだ。そこで、せっかくのユニットバスという地の利を活かさない手はないと考え、
「トイレ行きたくなったら困るから、鍵開けっ放しにしてもらえる?」
などと稚拙な提案をする俺。
続きます。