2016/03/30 05:19:41
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私は、達した後の余韻でぼーっとしながら
「これでいい。これで、真人にも、最後まで責任を取らせたことになるし、私のムズムズも解消された…」
もう、身繕いをして帰るか…と、ふと真人を見ると、股間を押さえたまま、熱い眼で私を見ている。
「ゆ、ゆあさん…僕、もう…」
彼の辛そうな、すがるような表情を見て、私はハッとさせられた。
『そうか… いきさつはともあれ、これは性行為なんだ。女はイケば終わりだが、男は射精をしないと終われない。それをしないうちに終わりにされたら、それはしんどいのだろうな…』
ずっと男の中で過ごしてきた私には、そうした男の生理が分からないでもなかった。
しかしどうやって?
スケベな女友達の自慢気な経験談には、よくフェラとか手こきとかいう言葉が出てくる。
それがどのような行為なのか、想像がつかなくもないが、今から自分にそれができるとはとても思えない。
また、彼が今求めているのも、それではないと分かっていた。
だとすれば…
私は頭の中で
『次の排卵日は何日ごろだっけ?』
と計算してから
『…まあ大丈夫か…』
真人に
「いいよ。おいで」
と声を掛けてやった。
私にとってロストバージンというのは、それほど大きな意味を持っていなかった。
女なら誰でも普通に経験することだし、その相手が必ずしも、理想的な恋人や、将来の伴侶ではないことは、周りの女たちを見れば分かることだ。
さすがに、知らない男に力ずくで奪われるのは嫌だったが、時期が来れば、適当な相手と成り行きで経験することになるだろう、くらいに思っていた。
『思ったより早かったな…』
それがその時私が感じていたことだった。
真人は、主人に《おあずけ》を命じられていた犬のように、いそいそと私の足の方に回り、ショーツに手をかけてゆっくりと抜き取った。
私は少し膝を立て、弛く開いてやった。
真人はその膝頭を持ってもう少し開かせ、私の股間に入ってきた。
反り返った陰茎を上から押さえつけながら、先端を陰裂の下の端にあてがい、押し込んで来た。
…だが、入ってこない。
真人は焦りだし、腰を使って何度も挿入を試みるのだが…
角度が間違っているのだ。
仰向けに寝ている私の膣は、膣口から子宮へ、緩やかに昇っているのに、真人は斜め下に押し込もうとしている。冷静に考えれば、違うとわかりそうなものだが…
仕方ないので私は、襞の間に彼の亀頭を挟んだまま、ほんの少し腰を持ち上げてやった。
するとそのとたん、私の全身を鋭い痛みが貫いた。
「うっ! ぐっ!」
「えっ!?」
真人が驚きの表情で私を見つめていた。
私は、痛みを堪えることにかけては自信があった。
フルコンタクトの格闘技では、痛いのは日常だったし、そのたびに泣いたり、悲鳴をあげたりしていたら練習にもならない。
それに、膜を破られる痛みなど、そのへんの弱っちい女でもみんな経験してる事だから、たかが知れていると思っていた。
でもそれは… 予想よりはるかに痛かった。
それで、驚いて思わず声をあげてしまったのだ。
まさかこんな坊やに悲鳴を聞かれることになるとは…
「えっ? あの、ゆあさん、なんで?…」
うろたえる真人。
どうも彼はこの瞬間まで、私のことを経験者だと思っていたらしい。
まあ、この部屋に来たあとは、こっちから誘ったようなものだし、そう思われても仕方なかった。
「なによ? …そう、処女だよ。ダメ?」
「め、めっそうも!…でも…あの…」
「ちょっと!変なとこでやめないで!やるなら最後までちゃんとして!」
「は、はい!」
真人は接合部に意識を集中させ、慎重に、ゆっくりと押し込んだ。
奥まで入ってくる時も痛みはあったが、やり過ごすことができる程度のものだった。
やがて、彼の先端が奥の壁に当たるのが分かった。
だが、それっきり真人は動けずにいる。
一番奥までつながる、という目的は果たしたものの、射精のために動くことで、私にさらに苦痛を与えることを気遣っていたのだ。
「いいよ、動いて。大丈夫だから」
「…はい。」
真人はゆっくり、前後に動き出した。
もうそれほど痛くはなかったが、かといってさすがに、快感を覚えるということもなかった。
ただ、自分の中の空虚な場所を、暖かい物で埋めてもらっているような、充足感とでもいうのか… それは、この時から感じていたと思う。
『いくら気持ちよくても、ひとりでするのは物足りない。やっぱり、男に抱かれたい』
などと言う女友達もいるが、その気持ちが少し分かる気がした。
程なく真人は、一番奥に挿し込んだ所で動かなくなったので、彼が射精を終えたことが分かった。
彼はのろのろと、私の体から出ると、そのままベッドの端に座り込んでしまった。
『まったく…喪失して呆然とするのは、普通女の方だろうに』
私は苦笑しながら、ティッシュでそこを拭い、ショーツを履いた。
簡単に身繕いしてから、私は立ち上がり 、まだ座り込んだままの真人に
「いいか?もう二度と痴漢はダメだからね!分かった?」
と念を押した。
真人は頷いた。
しかし彼は、私が部屋から出ようとすると
「ま、待って、ゆあさん。あの…す、好きです!」
と叫んだ。
初めての男の子からの告白、しかも、私には全く釣り合わない可愛い子…,
なのに私はその時、彼の方を振り向くと、思い切り嫌な顔をしてしまった。