2015/09/30 19:01:25
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絶頂を迎えたあと、りおはしばらく目をつぶったまま、肩で息をしていたが、やがて右腕を目の上に乗せて、泣き出した。
「りおちゃん?」
僕が声をかけると、
「あ、あたし… 先生に恥ずかしいトコいっぱい見られちゃって… もう生きていけない…」
「……」
「もし先生の言葉が嘘だったら…あたし、もう…」
「嘘じゃないって!ほんとに、好きなんだ。本気だ!」
僕がそういうと、彼女はゆっくり身を起こして僕の首に両手を回して来た。
僕は彼女を強く抱き返した。
「裏切ったら…許さない…」
彼女の呟きに、僕はゾクッとした。
夜が明け、みんなが起き出す前に、僕は自分の部屋に戻らなければならなかった。
僕は本気の証として、りおに個人携帯の番号とアドレスを教えた。
これは、学園の教師にとって決してやってはならないこと。
露見したら解雇されても文句は言えない。
つまり僕は、中1の女子生徒に、これからも教師を続けて行けるかどうかを委ねたことになる。これにはりおも驚いたようだった。
高原学校から帰ったあと、僕と彼女は毎日携帯メールで話した。
教室でも職員室でも、常に敬語で話す彼女だったが、メールの中では気さくな友達言葉だった。
それがまた、僕には嬉しかった。
メールの中で、僕たちは色々な話をした。
お互いの家族のこと。友達関係の悩み。将来の夢など…
彼女のことを知れば知るほど、愛しさが募って行く。しかし、学校では飽くまで教師と生徒として接しなくてはならない。
二人きりで会いたい
切実にそう思うようになった。
彼女も時折メールの中で、『さみしい』とか、『会いたい』とか、書いてよこすようになった。
しかし、学園やりおの家がある街は狭く、どこかで待ち合わせしようにも、いつ誰に見られるか分からなかった。そのような危険は冒せない。
そこで僕は、彼女に僕のアパートのある街までパスで来てもらい、僕がバス停まで迎えに行く、という方法を思い付いた。
彼女に話すと賛成し、
《家族には、先生の街にある図書館に行ってくる、と言って出てきます》
と言ってくれた。
約束の日。
僕は朝からそわそわと落ち着かず、予定より15分も早くバス停に着いてしまった。
りおが乗ったバスがやってくる。
約束通り、彼女はそのバスに乗っていた。
しかし、バスを降り立った彼女はなぜか、ひどく沈んでいた。