2011/05/24 22:39:41
(pPfVAgim)
私の様子がおかしいのを、電話口で既に感じ取っていたのでしょう。やたらと明るい、いつもとは違うアヤでした。
『あのな…。』
「デートしよ(笑)」
『…。』
「アタシ行きたいとこあるんだよねぇ!(b^ー°)」
『ああ…。』
私はアヤに手を引かれ、バイト先のボウリング場に来ました。明るく振る舞うアヤと、どんよりとしている私。
3ゲーム程遊んだ後、次に連れて来られたのは前に二人で買い物した雑貨屋でした。なにか真剣に選んでいるアヤ。どんよりとしている私。
雑貨屋で、可愛らしいキャラクターの付いたネックレスを買ってあげて、次に連れて来られたのは駅でした。電車に乗って着いた駅は、あのライブハウスのある駅です。そして…私は気付きました。
アヤは…私との思い出の場所を巡っている…私が何を言おうとしているのか解っていて、ワザと…。
『アヤ…。』
「ん?」
『お前…感付いてるな…。』
「……うん…。」
4ヶ月前は朝早くに二人で立った駅に、今日は夕方に電車を降り立った所で、私はアヤを呼び止めました。
「アタシ…勝てなかったんだね…。」
『…。』
ホームの片隅で、私とアヤは向かい合ってお互いに俯き、そのまま会話が続きます。
『アヤ…。』
「…悔しいな…でも、勝てなかったんじゃしょうがないよね?」
『アヤ…。』
「いいんだよ。けんの元カノに負けたんなら仕方ないよ。」
『…。』
「…もっと…二人の時間…作りたかったなぁ…でも…でも…けんに戻ってきちゃたんだね…(泣)」
『アヤ…。』
「けん…アタシやだ…もっと一緒に居たいよ…二股でいい…二番目でいいから…だから…行かないでよ…(泣)」
私は泣きじゃくるアヤを抱き締めずに居られませんでした。ホームの片隅とは言え、帰宅ラッシュの中…。
『俺は…二股なんか出来ない…そんなに器用じゃない…わかってんだろ?』
「…うん…そうだよ…だからけんが好きなんだもん…でもヤダ!負けたくない!」
周りの好奇の眼差しを気にせず、二人の世界は続きます。
「…けん…。」
『ん?』
「今日までは…アタシのけんだよね?」
『ああ…。』
「じゃあ…あのホテル…行こ?」
『…。』
「あのさ…。」
『ん?』
「妹分なら…近くにいて良い?」
『え…?』
「彼女じゃなくていいから…こんな事も…今日までで良いから…サヨナラは…ヤダよぉ(泣)」
『アヤ…お前が…辛いだけじゃないのか?』