2018/03/07 21:44:59
(EK9oI/38)
仕事。まずは仕事。
そしてその仕事を、、、どこでする。大阪か。それともまた東京へ行くか。。。。
もう親父のところへは行けない。かといって確執状態の母親のところに戻る訳にもいかない。
何人か、東京のホスト仲間を当たってみよう・・・。
そして俺がたどり着いたのは、埼玉浦和駅に住んでいるホスト仲間の家だった。こいつはホスト業界でそこそこ有名であり、なにより女よりも男のほうに好かれているんじゃないか。っていうくらい、気前のよい男だった。
俺はそいつの家に上がり込み、(水商売してたら一緒だ。車の免許を取った意味がない)その考えのもと、俺は(大工・・・・もう一回やるか)と、結局、大工と水商売しか知らない俺は消去法で大工を選んだに過ぎない。
しかし、務めた先にいい出会いがあった。そこの親方は年齢が37歳で若い人だったが、背中に和彫りがある元ヤクザモンで、俺の面倒をよく見てくれた。趣味も旧車が好きということで、俺と気が合った。
俺は大工の仕事はできないが、水商売の底辺の生活で培った、人より早く現場に着く。(今でもやってる) トイレ掃除や、ゴミ出しを率先してやる(今でもやっている)この2点だけは徹底的にやってのけた。
すると親方から俺はかわいがられ、いろんな現場に連れて行ってもらい、何より、
「大工っていうのはな、頭をつかうんじゃ。ただトンカチ叩いてたらいいってもんじゃねーぞ!」と、叱咤激励を受けながら、「ハイ!!!」と俺は厳しくも温かい親方の元で必至のパッチで仕事をした。
気が付けば、俺はいつしか難解な建築図面も読む事だけは出来るようになり、親方からも簡単な現場なら任せてもらえるようになった。
家も敷金礼金0の、六畳一間のボロアパートに住み、とりあえず誰かに寄生して生活するということはなくなった。
とにかく、仕事をしている間だけが、唯と連絡が取れなくなったかな悲しみと、寂しさを忘れる事ができた。仕事をしている間が一番俺は嫌なことを忘れる事が出来たのだ。
すると月日が経つのは早いもので、気が付けば唯と連絡を取らなくなって1年半が過ぎていた。
このまま何度も唯の事はあきらめようかと思た。でも、時折夢に出てくる夢の中の唯の姿を見る度に胸が苦しくなって(目的を忘れちゃいけない。)と自分に言い聞かせた。
そんなある日。。。
俺が親方と現場が終わって浦和にある俺の家に送ってもらう帰り道。親方が「ちょっと寄り道していいか?」といったその先は、1階建ての元婦人服店。ここの店主が店を閉めたので、建物を資材置き場にするために買い取った。とのことだった。
そして親方はここを、資材置き場として買い取ったはいいのだが、この建物にまずなにを搬入するか。。。という現場の下見だった。
俺は親方に、「高いんですか?」と聞くと、「そりゃ、オメーの給料で考えたら高いだろうよw」と鼻で笑っていた。
そして親方は「しっかしな~、、こんな(高低のない)ぺっちゃんこの床だったら、逆にどう使うかセンス問われるよな」とつぶやくのである。
(これだけの敷地面積、、そして1階のみという建物。。ぺっちゃんこの床・・・・バリアフリー!!!バリアフリーだ!!!!)
今から帰ろうと車の運転席に乗りかける親方に、俺は背後から声をかけた。
「親方。俺の話を聞いてください!」今までにない真顔と低い声で問いかけた。
「なんだ、いきなり」という振り返る親方に、俺はガバッ!!と土下座し泣きそうな悲鳴まじりの声で言った。
「この建物を俺に譲って下さい!!!! 俺、この建物を自分でなおして、全部バリアフリーにして、車椅子で生活している唯の為に・・高さの無いキッチンがある家を作りたいんです!!!!」
すると暫く沈黙した親方は口を開いた「順序だてて話せ」
それから俺は小学校の時の事、今までの人生、唯との再会の事、そして唯の親父の事、親方に拾われた事。全部を赤裸々に話した。
「・・・・。わかったよ・・。そのかわり長いローンになるぞ。逃げるなよ?。。。 よし。総がかりじゃ。これを機にウチは、身障者用設備の内装工事も手掛ける事にする。まずはこの現場を使って、全社員研修ということで、今からノウハウを作っていくぞ。 この現場を仕切るのは酒井、お前じゃ!」と言ってくれたのだった。
そして「ありがとうございます!!でも、俺、、そうとうお金かかるんじゃ。。。」
親方「バカヤロウ!! こういう事はな、助成金があるんだよ!助成金!!いつも頭使えって言ってるだろwww!」
「じょ、、助成金!!??」
すべて人との出会いだった。人との出会いが俺のすべてを変えていった。
それから会社の全ての職人が、現場帰りなどその元婦人服店の内装工事、外壁工事へとしかかった。
本来ある現場をこなしてからの合間の工事。みんな残業だった。そして何より、その現場をやっているときの親方は特に俺に厳しかった。
ある日は寝ずにハンマーをたたいた。 ある夜は、コックリコックリしながら墨だしをし、全部間違えてた事もあった。
そして家具をいれて、最後の点検の時、、親方が言った。
親方「酒井。お前、車椅子用意してこい。」
俺「え・・?車椅子?」
親方「この工事、全部お前の目線で作ってるだろ。俺が車いすにのって、どこが足りないが見てやるっていってんだよ」
俺「は、、はい!!!!」
それから俺は職人の先輩の祖母が車いすを持っていたということでそれを借り、俺は親方に差し出し、俺は車いすに乗る親方を後ろから押しながら、キッチン、風呂場、ベランダ、あらゆる場所を動き回った。
そして、玄関からベランダまで、1度も段差を通る事なく動ける床。普通よりも高さの低いベッド、車椅子用の取っ手があるクローゼット、自分で移動できる手すりのついた風呂場、トイレ、あらゆる職人技の細かいものが親方の指示で取り付けられた。
そして3か月後・・・・。あのボロボロの婦人服店から、まるで見違えんばかりの家が完成したのだった。
だが、俺は怖かった。この1年半の間、唯が待ってくれているだろうか。。。別にこれをすれば、唯と復縁していい。なんていう望みがあるわけじゃないのに、、、。もし、失敗したら、俺は笑いものだ。。。そんな不安が残っていた。
数日後、俺は髪の毛を短いスポーツ刈りにし、落ち着いた紺のスーツを着て、、、
〇〇内装 現場主任 酒井某 という名刺を持って、そして俺は唯の家の玄関の前に立っていた。名刺に現場主任という、本来〇〇内装には存在しない職責を書いていいぞ。と言ったのは、親方の真心である。
アポなし訪問だった。
「ピンポーン」
母「はい」
俺「お休みのところ申し訳ありません。〇〇内装の酒井と申します。荒木〇〇様はご在宅でしょうか?」
母「内装やさん?少々お待ちください。」
すると、唯の親父がドアから顔を出した。そして俺だと分かった瞬間、玄関にすら入れたくなかったのだろう。そして唯に俺が来た。という事すらも知られないまま、追い返したかったのだろうか、すぐに玄関から出てドアを閉めた。
親父「酒井君だね、何の用だ」
俺は「〇〇内装の酒井と申します。お休みのところ突然訪問し申し訳ありません。本日、お尋ねしたのは荒木さんに、、ぜひとも見てほしい場所がありまして。。。」と俺は両手で名刺を差し出した。
それを片手で取った父親は、「見せたいもの?」と聞いてきた。俺は「はい」と答えた。
後で言うのは、唯の父親は、「あの時、名刺を差し出した〇〇(俺の下の名前)のボロボロの手を見て、この1年間、ハンパに過ごしてたんじゃないんだなってわかった。チャンスをやってもいいと思った。」と回想している。
唯の父親は「その場所というのは遠いのかね?」と言ってきたので、「お車を用意してます」と親方からかりたクラウンを指さした。
「ほぅ・・」とうなずく唯の父親だった。
そして俺がクラウンを運転し、無言で車を走らせること1時間、俺はその現場に連れてきた。
親父「ここか。この建物がどうした」
俺「中を見てください。」
そしてカギをあけ、、、ドアが開いていった。
親父「こ、、これは・・・!」
俺「私の唯さんへの誠意です。玄関のこのスペースに手すりをつけたのは、ここが車いすを乗り降りする場所だからです。そして、この建物は玄関からベランダまで、すべてバリアフリーで段差は1つもありません。あらゆる家具に車椅子用の高さの取っ手を取り付けました。天井照明のスイッチも、通常の高さと、車椅子の高さの2通りあります。ご覧ください。これが風呂場です。浴槽と外壁に手すりを入れています。トイレも同じです。このとおり、これなら右からでも左からでも移動する事ができます。またキッチン、ベッド、全てに車いすで移動しやすいよう、高さを調整しました。カーテンは左右開閉式ではなく、ブラインド式を採用しております。これなら、左右に移動することなく、日光の調整と上下操作が可能です。」
親父「君が作ったのか」
俺「いえ、みなさんの力を借りて作る事ができました。」
親父「そうか・・・。」
俺「はい・・・」
親父はそれから数10分、家の中を見て回った。そして「わかった。いいもの見せてもらったよ。そろそろ帰ろうか」と言ってくるのだった。
そして帰り道の車の中どこかに電話をする唯の親父だった。「ああ、唯は起きてるか?なんだ、まだ寝てるのか。起こしなさい。酒井君が来るから」(電話の向こうで奥さんが何か言ってるが聞き取りにくい)
そして電話を切ったのだった。
無言で走り続ける俺と唯の親父だった。ただ、
やっと唯に会える・・・という安堵の気持ちが俺を優しく包んでいた。
そして唯の家に到着。玄関のドアが開く。。するとドアの開閉音で俺の到着がわかったのか、唯が床をはいずりながら、「酒井くん!!!!!」と泣きながら接近してきた。
俺は「唯ちゃん・・」としか言葉が出てこなかった。
そして、唯の親父は「よかったな唯。酒井君が来てくれて」といった。唯の母は「ね、だから待ったほうがいい。って言ったでしょ?w」となにか、俺の知らないところで盛り上がっているのである。
それは、俺と連絡が取れなくなって半年後、唯の職場で、唯に猛烈なアプローチを仕掛けてくる男がいたらしい。その男の事を唯は母親に相談したら、「あなたがそれでいいならいいけど、、もし酒井君が必死に今頑張ってたら、あなたが酒井君を裏切った事になるのよ?」と言われたらしい。
そして唯は「やっぱり待つ・・」と決めたそうだ。
そして俺達は4人で、また俺達が作った家を見に行った。そして玄関を開けた唯と唯の母は、、、「わあ・・・。 すごい・・・」と絶句していた。そして唯は号泣した。
唯の母「お父さん、もう認めてあげていいよね?」
親父「ああ。。そうだな。いあ、しかし・・よくやった。本当によくやった!!」と、柄に合わず、俺の頭をヘッドロックして抱き寄せてきた。
俺も涙で顔がクシュクシュだった。
そして数か月後、再々会からのスピード結婚が決まった。
関西方面からは、俺の小学校の同級生。5年6年の時の車椅子係の島田。その他の唯と仲のよかった女子。そして先生。そして、、仲の悪かった母親、そしてドラゴンボール筆箱の真の持ち主、弟の弘明が来た。そして関東からは、世話になったホスト(ちゃんとした人格を持っている人)親方、職場の職人たち。たくさんの人が来てくれた。
そして、俺達は無事、結婚式を終わらせ、初めてその日に2人で、あのバリアフリーの家へと入っていった。
家に入るとき、唯の車椅子は玄関に置き、俺はベッドまで唯をだっこして運んであげた。
これから二人がこの家で生活を始める。その事実をお互いまだ夢のような面持ちで感じていた。
それから俺は唯にキスをし、、、俺達はおそらく、この先、これほど燃え上る事もないであろう、そんな情熱的なSEXを展開させていくことになる。
そして、その時も俺は中出しをしてしまった。
「唯、結婚してすぐ子供できた。ってなったら、なんか恥ずかしいねw」
唯「大丈夫w 出来たらできたでよし。できなかったらそれもよし^-^」
唯「あああーん、、久しぶりだからきもちよかった>< ねぇ、もっかい入れてwww」
俺「えええええ!!!! 今日何回目~~~!!!!!!????><」
そんな感じが今でもずっと続いていますw
今度こそ完! 読者の皆様、コメントを頂いた皆さま、本当にありがとうございました。心から御礼感謝申し上げます。ありがとうございました。