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空色の手紙

投稿者:タクヤ ◆UxLDGHbgQ
削除依頼
2014/08/30 02:42:34 (h9SxTk5i)
一昨年、母親が亡くなり、実家に誰もいなくなったので、家を処分することになった。
それで、家財の整理に、久しぶりに郷里へ戻った時のことだった。
押し入れの奥に仕舞ってあった、僕の小中学校時代の荷物の中に、空色の封筒に入った手紙が二通、きれいなお菓子の空き缶に、まるで宝物のように納められていた。
忘れてはいけないことを忘れていた。
もう30年以上も前のことだ。




僕なんて、ずっとモテることなかった。
別にデブでもチビでもないけど、顔の造りが平凡なんだろう。
不細工って言う訳じゃないとは思う。
華がないんだ。
小学校の時に、好きな子がいたんだけど、その子のことは僕の黒歴史になっている。
僕の取り柄と言えば、人がいいことぐらい。
頼まれるとイヤと言えないタイプだ。
ヤスオカの“ヤス”は安請け合いの“ヤス”と言われるほどだった。

でも、中学に入ると、いろんな小学校の子が集まってくる。
物好きがいたんだ。
僕の下足箱にラブレターが入っていた。
オープンタイプのただの棚みたいな下足箱にだ。
誰からも見ることができる、そんな場所に、よく入れようなんて思ったもんだ。
一応、上靴に突っ込んだ形で、人目にはつきにくい状態にはなっていたが、そのせいできれいな空色の封筒が、シワだらけになっていた。

とりあえず、勇気ある行動に敬意を表して、人気のないところで開いてみた。
人気のないところで読むのは、僕の顔がニヤケているからにほかならないが。
簡単に言えば『好きです。付き合ってください』
と言うようなことを、一生懸命考えたんだろうか、僕がまるでハリウッドスターのような書きぶりで綴ってあり、ふだん余り本を読まない僕には、便箋7枚はきつかった。
「せめて、自分の名前ぐらい書けよ……」
直接渡すつもりだったのかもしれないけど、名前を書き忘れるドジぶりと文面から、相手が容易に推察できた。
同じクラスの、キムラさん。

あれは先々週の美術の時間だった。
造形粘土で向かいあった人の頭部を造る課題で、僕は、ヤマグチの突き出たデコをデフォルメしたような傑作を造っていた。
授業が終わって、次の週まで制作途中の課題を置いておく棚に仕舞い、美術室から教室に戻ろうと廊下を歩いているとき、キムラさんが走ってきた。
「ヤスオカくんごめん。課題、ぶつけちゃって……」
「ああ、いいよ別に」
ちょっとぶつけたぐらい、来週手直しすればいい。
「でも……」
よくみるとキムラさん、顔色が悪い。
ひとまず、美術室に引き返すことにした。
美術室の棚の前にはまだ何人かが残って、成り行きを伺っていた。
話を聞くと、キムラさんが自分の課題を棚に置こうとしたとき、誤って僕のに手が当たってしまったらしい。
「気にせんでいいよ。すぐに言ってくれてありがとう」
僕は、手が当たって棚から落ちた後、慌てたキムラさんに蹴飛ばされて足形のついた課題を棚に戻して、その潰れた粘土塊を指差した。
「ヤマグチのやつ、こっちの方が男前なったんちゃう?」
回りにいた連中が笑ったので、キムラさんも少し頬を緩ませていた。

僕としては、壊れたものをとやかく言っても仕方ないし、ちゃんと謝ってくれたわけなんで、ほんとになんとも思ってなかったんだけど、ラブレターによると、キムラさんは、ずいぶん感動したらしい。
そんなので感動するなんて、あの黒歴史の女の子に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたかった。


僕は、読み終えた手紙を学生服の内ポケットに突っ込んで、教室に戻った。

教室にキムラさんがいる。
僕が入っていくと、それだけで彼女が緊張感しているのが伝わってくる。
放課後までの一日、キムラさんを観察することにした。
実際、今までそれほど意識してみたことがなかったからだ。
体型はポッチャリ、いや太ってる?
でも、デブと呼ばれる範囲までは行っていない。
身長は僕より10センチ以上は低いけど、きっと体重は上回ってるだろう。
コロコロしてる。
前髪パッツンで、肩甲骨までの黒いストレートヘアは風にサラサラと揺れて、キムラさんにはもったいない。
焦げ茶色の樹脂フレームの大きな眼鏡を掛けてて、余計に顔が大きく見える。
まあ、余り美人ではないと思う、だいぶ抑えた言い方だけど。
鼻が上を向いてるのがウィークポイントなのかもしれない。
その体型なのに、他の子と比べてもオッパイは未発達に見える。
まあ、中1ではその点は仕方ないかもしれない。
それで、自分への自信のなさのせいか、何となく暗い。
キムラさんの回りだけ、教室の照度が二分の一になってるような気がする。
そんな感じで、親しい友達はいないみたいで、近くの子と何かおしゃべりする以外は、たいてい図書室で借りた本を読んでいる。
文学少女なのだろう。そう思うと、あんなラブレターを自力では書けた理由が分かるような気がする。
真面目、一途、ひたむき。
キムラさんのいいところは、男子にとっては面白味にかけるポイントばかりだろう。
昼のお弁当も一人で食べてた。
でも、いじめとか無視とかじゃあないみたいで、本当に一人が好きなようだ。
でも、それなら“彼氏”なんて要らないんじゃないかな?
僕は、キムラさんが本の中に出てくるような、恋愛に憧れてるだけなんじゃないか、恋に恋するってやつじゃないかと思った。


放課後、僕は人の少なくなった教室のすみでキムラさんに声をかけた。
その場所にキムラさんがいたのは、たぶん僕が声をかけやすい場所に誘い込む作戦だったんだろう。
僕は、内ポケットから空色の封筒をちらっとだけ見せて、
「これ、見覚えある?」
と、確認した。
「あ……」
キムラさんが震えるように頷く。
「名前、書いてなかったから」
「え、あぁ」
キムラさんは真っ赤になって俯く。
「それで、手紙貰ったのは嬉しかったんだけど、キムラさんのこと、今まで好きとか嫌いとか考えたことなくて、友達としか思ってなかったから……」
そこまで言ったところで、キムラさんは突然しゃがみこんで声をあげて泣き出してしまった。
「ちょっと、キムラさん」
僕がキムラさんをなだめようとするよりも早く、回りに女子が集まっていた。
「どうしたん?」
「ヤスオカくん、キムラさんに何か言ったでしょう!」
口々に責められる。
「何も言ってないよ」
「何もないのに泣くわけないやん。何かスケベなことしたんちゃうん」
「してないって!」
女子たちは、僕がキムラさんにブスとかブタとか言ったか、スカートを捲ったかしたと思っているようだった。
でも、まさかキムラさんにラブレターを貰って、それを断ったとは、みんなの前では言えなかった。
なので、僕は、理由のないまま、キムラさんが泣き止むまでひたすら謝り続けなければいけなかった。

それでも、まあ、これで、キムラさんも落ち着いてくれるだろうと、内心ホッとしていた。


その翌朝、通学路にキムラさんが立っていた。
「友達でいいから……」
ボソボソとした話し方が暗かった。
「うん、まあ、友達と言うことで」
僕の顔はひきつってたと思う。
そこから一緒に学校に向かったんだが、これって友達なのかと疑問が浮かんだ。
「私、友達、いなかったから」
キムラさんは、心なしかニコニコしているようで、勘弁してくれと叫びたかった。

それ以降、登下校時にはキムラさんが待っているようになった。
そんなことが3日も続けばみんなに知れることになる。
僕とキムラさんが並んで教室に入ると、デリカシーなんて持ち合わせていない連中が、あっさりと聞いてくる。
「おまえら、付き合ってんか?」
キムラさんがすぐに否定したんだけど、その言い方が微妙だった。
「そんなん、違うって。ウチらただの友達やから。ねぇ」
さらっと言えばいいのに、照れ笑いしながらこっちにアイコンタクトしてくると、逆に何かありますと言ってるように感じるもんだ。
僕は、告白されたのをちゃんと断ったはずだったのに、いつの間にか付き合ってることにされてしまった。

やるじゃないか、キムラさん。
でも、絶対に身の潔白を証明して見せてやる。






 
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8
2014/09/16 18:36:25    (FjaPtQ7M)
続編、ありがとうございます。続きが楽しみです。
7
投稿者:ファン
2014/09/16 10:36:04    (Scp/TvNc)
会いに行きましたね~

続き楽しみにしてます
6
投稿者:タクヤ ◆UxLDGHbgQ
2014/09/15 10:01:52    (ycTvx4uo)
キムラさんの車はやはり空色のラパンだった。
よほど空色が好きなのだろう、服が空色でないのが不思議なほどだ。
それにしても、いい歳なのに、スカートの短さがかなり気になった。
アクセルとブレーキ操作で足が動くと、スカートの裾がわずかにズリ上がる。
このスカートは下着を隠すハンカチ程度の役割にしか感じられなかった。
僕は股間にムズムズしたものを感じて、なるべく下の方は見ないようにした。
いつもは熟れた大人の下半身など、見たいとも思わず、見えても「悪いモノを見た」と萎えてしまうことの方が多いのに、十分に熟し柿状態のキムラさんにムズムズするのが不思議だった。
何とか気持ちを落ち着けて、横にあるキムラさんの顔を眺めた。
長い年月が、弛みとシワを与えてはいるが、化粧っ気が少ないのが好感が持てた。
なにより、眉がナチュラルなのがよかった。
小中学生好きの僕にとって、眉を剃ったり整えたりするのは典型的なオバハンを意味する最も嫌いなメイクだったからだ。
純粋可憐な少女は眉に手を入れたりしない(もちろん妄想だが)。
僕のチンコはそんなところにでも反応したんだろうか。
久しぶりに会った印象は、まあ、悪くはなかったが、この歳でドキドキ感を与えられるとは思わなかった。

ひとまず、僕たちの会話は、当たり障りのない世間話から入っていった。
今までどんな人生を歩いてきたかは、いきなりは重くて聞けなかった。
仕事も、家族のことも。表札が松田になっていたことも。
未婚か既婚か結婚歴など、あるいは子供の有無も、本当なら最初に確認すべきことなのかもしれない。

「どこか、行ってみる? この辺だと有名な鍾乳洞とかもあるけど?」
のどかな景色の農道から、賑やかな商業施設の並ぶ国道に出て、信号待ちの間、キムラさんがこちらに顔を向けて首を傾げた。
「久しぶりやし、ゆっくり話もしたいしなあ」
いきなり観光地っていう気分でもなかった。
「そうやねえ……」
キムラさんは、頭の中で観光マップを広げているんだろう。
「さっき、こっちの方にゆっくりできる場所もあるって、お母さん言ってなかった?」
「あ、ああ…… 行ってみる?」
せっかくなら、どこか、落ち着いた景色の良い場所で、すがすがしい気持ちで話したい。
「うん、そうしようよ」
そこから、キムラさんは10分ほど、やけに慎重に車を走らせた。
そして、遠方に見えた一枚の看板を指さした。
「あれやけど……」
「えっ」
ラブホテルの案内の看板だった。それもいかにもっぽい名称の。
「あの、もう少し先に、わりときれいな建物のところもあるよ」
ひょとしてお母ちゃんはキムラさんにラブホテルでくつろぐようにとアドバイスしていたのか?
お母ちゃんに聞いてみたいもんだ。
「じゃあ…… そっちのほうにしようか?」
危うく「そっちのほうでしようか?」と言いそうになった。
自分がどういう目的できたのか、考えがまとまっていないので、もうお任せするしかない。

お城のような派手な造りの建物の前を通り過ぎ、さらに先に進んで、ペンション風の明るい雰囲気のホテルの駐車場に、キムラさんは車を滑り込ませた。

車を降りて建物に入ると、パネルで部屋を選ぶシステムだった。
土曜日の昼間だが、結構埋まっている。
「えっと、どこがいい?」
「じゃあ、ここ?」
分からないので、明るめの部屋を選んだ。

部屋はエアコンが効いていて、快適だったが、背中には汗をかいている。
キムラさんも、額が汗ばんでいる。
赤い顔で恥ずかしそうに笑った。
ばたばたと勢いできてしまったが、よく考えると、再会してまだ1時間も経っていない。
まるで、出会い系の待ち合わせの流れのようだ。
キムラさんは珍しそうにきょろきょろと部屋の中を探検し始めた。
大きなベッド、開放的すぎるバスルーム、広く防水性のいいソファ。
一廻りしてソファにバッグを置くと、キムラさんはベッドの端に腰掛けた。
「わたし、こんなとこ初めて」
つぶやくような、ちょっと緊張した声だった。
堂々とホテルに入ったので、場慣れしてるのかと思ったが意外だった。
ベッドに座って壁や天井に首を巡らしているキムラさんを改めて見た。

薄いベージュのブラウスに、それに合わせたスカート。
歩きやすいようにか、足元はスニーカーだ。
落ち着きたかったのだろう、スニーカーと靴下を脱ぐと、脱いだ靴下をスニーカーに突っ込んで、ベッドの脇に押しやった。

その姿を見ていて、何かを思い出しかけた。
僕が腕を組んで自分の方を見つめていることに気がついて、キムラさんが立ち上がった。
「ヤスオカくん、覚えてる?」
キムラさんが両手を広げてくるっと回って見せた。仕草だけはアイドル並みに可愛い。
短いフレアのスカートの裾が広がって、太腿のかなり上までが目に入ってきた。
「あぁ」
あの日、僕の家を訪ねてきた時の格好だ。
もちろん同じ服じゃないだろうが、当時の雰囲気そのままだ。
それで、靴下にスニーカーという格好だったのかと、合点がいった。
当時のままなら当然脚もストッキングを履いていない生脚だ。

僕は上着を脱いでネクタイを外しソファに掛けると、キムラさんの前に向かった。
キムラさんも、僕も、十分過ぎるほど大人だ。
そういうことだろう。
ここはそういうための場所だ。
あとは、僕のが大人の女(キムラさん)で役に立つかどうかだ。

キムラさんの腰に手を回そうとした時、キムラさんは後ろに倒れるようにベッドに腰掛けた。
そして、自分の座った右隣を、
「ヤスオカくん、ここ、ここ」と手で叩いた。
僕が隣に座ると、キムラさんが少しくっついて、僅かに肩が触れる距離になった。
中学一年の時の、あの甘酸っぱい記憶が甦る。

「あの、ヤスオカくん」
「なに?」
「会いに来てくれてありがとう」
「ああ」
ただ逢いたかったのか、あわよくば深い関係を望んでいたのか、どっちだろう。
「わたし、すごく嬉しかった」
そういうときのキムラさんは満面の笑顔だ。
「僕も、逢えてよかった」
それは本当の気持ちだった。
「わたし、すっかりおばさんなっちゃった……」
お互い様だ、僕の髪も量がめっきり減っていた。
「そんなことないよ。キムラさんいまでも可愛いって」
確かにおばさんにはなっているが、あの頃よりも随分と明るくなったような気がする。
「うそ。あの頃、可愛いなんて思ってなかったくせに……」
キムラさんは僕の隣ですねたように唇を尖らせた。
「キムラさん……」
なだめるつもりで背中に手を回した。
「ヤスオカくん」
キムラさんが僕の顔を見つめる。
すぐ近くにきれいな二重瞼があった。
目があって、キムラさんはきゅっと瞼を閉じた。
僕は、キムラさんの肩を抱いて、唇を重ねた。
キムラさんの体は熱く微かに震えていた。
やがて、お互いに舌を絡ませ、むさぼるようにキスを続けた。
キムラさんは、ボロボロと涙を流し、鼻をすすりながらのキスだ。
そのうちに、僕の口の中にもキムラさんの鼻水が流れ込んできて、塩っぱいキスとなった。
キムラさんは、こらえきれなくなって、唇を離すと、両手で顔を覆って大声で泣き出した。
僕はキムラさんの体を抱いて、優しく背中をさすった。
「ごめん、キムラさん。会いに来るの、遅なってごめん」
「ほんまや。ほんまや。ヤスオカくんのあほぉ」
僕は、キムラさんの悲しみが消えるまで、何年でも背中を撫でてやりたいと思った。

しばらくして、キムラさんはようやく落ち着いてきた。
あの時は、キムラさんの両親が離婚することになり、母親と一緒にこちらに帰ることが決まって、矢も楯もたまらず、僕の家を訪ねてきたらしい。
精一杯のオシャレをして。

「わたし、あの頃どんな子やと思ってた?」
「文学少女?」
「やっぱりそうかぁ」
「違うんか?」
「あんな、わたしな、ホンマはエッチなことばっかり妄想しててん」
キムラさんが恥ずかしそうに小声になった。
「ヤスオカくんと、キスしたり、……んんしたり、色々…… そんなことばっかり…… へへ」
恥ずかしそうに笑う。
「それは…… その頃は僕もそうやったよ」
「ヤスオカくんも一人でヨシヨシってしてたん?」
「キムラさんがそんなこと言うって、意外やなぁ」
「お嫌いですか?」
「お好きです~」
「私ら歳、分かるわ」
僕らは声を出して笑った。これぐらいの方が肩が凝らない。
あの頃のキムラさんは、やっぱり僕なんかより数倍も大人だったんだろう。

「わたしね、ヤスオカくんの家に行ったでしょ? でも、思い出作りとは違うかったんよ」
「じゃあ、なんで?」
「子作り」
「えっ」
「赤ちゃんできたら、別れんで済むかなって、真剣に思ってん」
僕は、返事ができなかった。
あのとき、結ばれていたら、どんな人生だったんだろうか。
やっぱり恐るべしキムラさんだ。
「ビックリした?」
「したした」
僕はカクカク頷いた。
「ごめんね」
キムラさんは何を謝ったんだろう。
「あんとき、僕がもう少ししっかり突っ込んだらよかったんかな?」
キムラさんは首を振った。
「ヤスオカくんのすごい勢いやって、十分中まで届いてた。おうち帰ってからもじわっと出てきたし……」
「それやったら、なおさらちゃんとやっときたかったなぁ」
僕が残念そうに笑うと、キムラさんは頬を膨らませた。
「でも、すごい痛かってんよ。たぶん、入ったら死んでたと思う」
「オーバーやなぁ」
僕はキムラさんの頭を撫でた。
髪の根元がうっすらと白くなっているのが見える。
明日、美容院に行く予定って言ってたっけ。
「きっとヤスオカくんのおちんちん、大きすぎたんやわ」
「そんなことないよ」
実際そうだ。どちらかと言えば僕のは控えめなサイズだと思う。
「大丈夫かなぁ」
キムラさんは溜息を漏らした。
「心配いらんて」
そう言いながら、もう、することが規定路線になっているのが不思議な感覚だった。
「でも、反対におばさんなって、すっごいユルユルになってたらどうする?」
それは、いままでのキムラさんの経験次第だと思う。
「僕のが小っちゃすぎてガッカリするかもしれへんで」
笑いながら、僕のが役に立たなくてガッカリするかもしれない、とも思った。
「そんなことないよ」
キムラさんが唇を押しつけてきた。
僕も、舌を絡めて返した。
ゆっくりと倒れ込むように、キムラさんを抱きしめながらベッドに横になった。
いまの気持ちは、ただただ、キムラさんと結ばれたい。






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投稿者:タクヤ ◆UxLDGHbgQ
2014/09/13 17:26:26    (YN5HdXfJ)
空色の封筒と一緒に空き缶の中に入っていた一枚の絵ハガキを頼りに、僕はなんの計画も持たずに週末の夜行高速バスに乗った。
絵ハガキは引っ越して間もなく、キムラさんから送られてきたもので、裏には阿蘇の雄大な景色が印刷された、よく土産物屋などで売られているような観光絵ハガキだった。
表にはただ、住所と名前だけが書かれていて、なんの一言もなかった。
今になって見返せば、それが会いたいというメッセージなのだと気付くことができる。
だが、子供のころの僕にはそれが分からなかった。
なんの書き込みもないハガキはただの引越の案内にしか受け取れなかったのだ。と思う。
別れてすぐの頃は、僕も会いたく思うこともあったが、九州はあまりにも遠いところだった。
今は九州新幹線も開通し、随分と便利になったが、土日を有効に利用しようとすると、大阪からは夜行の高速バスになる。
キムラさんには久しぶりに逢うことになるかもしれないと、きちんとスーツを着てきたが、もうちょっとカジュアルな格好でもよかったかと思う。
まあ、財布や携帯などの身の回りのものを上着のポケットに突っ込んだだけの手ぶらスタイルは、身軽と言えば身軽だったが。
僕は、バスの振動にまどろみながら、「なぜ今さらキムラさんに会いに行くんだろう」「この旅行の目的は何なんだろうか」という自問を繰り返していたが、『結婚』や『SEX』、『謝罪』『思い出』といった単語がポロポロと出てくるだけで、はっきりとした答えのないままにいつの間にか眠ってしまっていた。


僕は、秋葉原のアイドルショップのイベント通いにも、高速バスを使う。
目当てのジュニアアイドルのイベントがある時は、必ず出かけることにしているからだ。
きょうも、高速バスを降りて秋葉原に着いたのは、まだ朝の7時過ぎだった。
時間潰しと朝食を兼ねて、いつも利用している軽食サービス付きのネットカフェに入った。
フロントでシャワーの予約をしてから仮眠も取れる広めの個室ブースに行くと、隣のブースの扉が開いて、女の子が手を振っている。
えっ?と思い、よく見ると、きょう、イベントのあるジュニアアイドルのりなちゃんだった。
「ヤスオカくん、こっち、こっち」
驚いたが、呼ばれるままに、りなちゃんの個室に入る。
いつもイベントで見るりなちゃんよりも、ずっとナチュラルな可愛さだった。
狭い個室に二人で入ると、くっつかないわけにはいかない。
前髪をきれいにつくった、サラサラヘア。
愛らしい二重に縁取られた瞳は、ネカフェのスポット照明できらきら光って見える。
ふっくらとした張りのある頬は、まだ中学一年生というほのかな幼さを誇らしげに示しているようだ。
「りなちゃん……」
僕もまるで中学生に戻ったようにドキドキしていた。
「ヤスオカくん、いっつも来てくれてありがとうな」
何度も大阪から訪ねて来る僕をりなちゃんは覚えてくれている。
傍にいるだけで、もうチンコがギンギンだ。
りなちゃんがリクライニングシートを完全に倒して、横になった。
「ヤスオカくん、わたし、ヤスオカくんのことずっと好きやってん」
りなちゃんが目の前でお尻を捻って、すっとパンツを脱いだ。
短いフレアスカートの奥に、青く幼い肌が…… ぼやけてよく見えない。
りなちゃんの突然の告白と大胆な行動に目眩がしそうだ。
僕も急いでズボンとパンツを脱いで、りなちゃんにしがみついた。
りなちゃんの割れ目をがむしゃらにチンコで突っつく。
先端に、ヌルッとした感触があった。
りなちゃんが僕の背中に両手を廻して、耳元で囁いた。
「ヤスオカくん、一緒になろ」
――『一緒になろ』――
全身に電気が走ったような衝撃で、僕は頭の中が真っ白になった。

「キムラさん!」
ハッとして目を開けると、僕は高速バスのシートで荒い息を吐いていた。
慣れないバスでの睡眠のせいか、普段とは違う夢を見たようだ。
慌てて股間を確認したが、漏らしてはいないようだった。
何か叫んでしまった気がするが、周りを見回すと、幸いみんな寝ているかヘッドフォンをしているようだった。
時計を見ると、この時間なら、まだ広島あたりの山陽道だろう。
もう一度深呼吸して、シートに体を沈めたが、チンコの先に妙にリアルな感触が残っている気がして、目が冴えてしまった。

小学校二年生のデビューから応援しているりなちゃん。
何度も何度も夢に見るりなちゃん。
横浜っ子のりなちゃんが、なぜか夢の中では流暢な大阪弁を操る。
いつもは公園で遊んだり、一緒にプールへ行ったり、普通のデートの夢ばかりなのに、今回はとんでもないことをしでかしてしまった。
くそっ! 夢の中でりなちゃんが脱いだパンツは空色だった。
「キムラさんか……」
僕が、ずっと小中学生の女子にしか興味を持てない理由が分かったような気がする。
僕の時間はきっとあのときから止まっているんだ。
若い頃の恋愛の失敗(勃たなかった)も、それが原因かもしれない。
まずは、キムラさんに会えば。とにかく、キムラさんに会わなければ。


キムラさんの住所に一番近い高速バスの降り場からJRの在来線とローカル鉄道を乗り継いで、最寄りの駅に着いたのは、昼をとっくにまわった頃だった。
僕は、駅前にたまたま居合わせたかのような一台きりのタクシーに飛び乗った。
ハガキにあった住所を告げると、15分ほどであっけなく彼女の家の前に着いた。
まあ、田舎の15分はかなりの料金だったのだが。

古い集落の民家という言葉が似合う家だ。
田舎暮らしに憧れるならぴったりだと思う。
広いだけの土地に平屋の家で、周辺は畑と田圃だ。
この家も農業に精を出しているのだろうか。
偵察がてら、家の周りを一巡りして、正面に戻った。
玄関のガラス戸の横に、小さなチャイムボタンがある。
念のために探すと、玄関の上に古い表札があり、掠れた文字で松田と書かれていた。
今は他の人が住んでいるのか、あるいは結婚して苗字が変わったのかもしれない。
躊躇われたが、ここまで来て恥を掻くぐらいどうってことはない。
先程、家の回りを覗いて、キムラさんがここにいるという、うっすらとした確信めいたものはあった。
庭に停めてある車が、空色のラパンだった。
僕は、チャイムのボタンを押した。
家の奥の方で「ピンポーン」と小さく聞こえる。
少し間があって、女性の声で「はーい」と返事があった。
パタパタと板の間をスリッパで走る音がする。
玄関が開いて、顔を出したのはキムラさんに間違いなかった。
「はい」
チャコールグレーのジャージにスッピンで髪は手で撫で付けただけのようにボサボサ。
ただの太った田舎のおばさんだが、上を向いた鼻とメタルフレームの眼鏡の奥の二重瞼は昔のままだった。
「あ」
キムラさんはこちらが名乗る前に驚いた顔で手で口元を押さえた。
「ごめん、ちょっと待ってて」
戸を開けっぱなしのまま、キムラさんは慌てて奥に戻っていった。
こちらがきっちりとしたスーツ姿なので誰かと勘違いしたのかもしれない。
声を掛けようかと思ったが、奥の騒ぎが聴こえてきた。
「おかあちゃーん、ヤスオカくん来た」
「えっ? 誰って?」
「ヤスオカくん、ヤスオカくん!」
「ええっ?!」
「どうしよ、どうしよ?」
「もう、そんな格好で。早よぉ着替えておいで」
「ああん! 明日、美容院行こう思てたとこやのにぃ……」
どうやら向こうも僕が誰か分かってるらしい。
そんなに僕の風体は中学から変わっていないのだろうか?
キムラさんとお母ちゃんは、終始怒鳴るように喋りっぱなしだった。
もちろん僕に聞こえているとは思っていないようだったが、まるで着替えの実況中継みたいで、何となくこちらが赤面してしまった。
どうやら、お気に入りのブラの背中のところが破れていたらしい。
キムラさんの名誉のために、聞かなかったことにしよう。

随分時間はかかったが、おかげで退屈することはなかった。
次に出てきたときは、こざっぱりしたOL風のおばさんになっていた。
「お待たせ」
言葉の後ろにハートマークの絵文字を付けたような可愛くつくった声で、少しはにかみながら、右手の中指でサラサラの髪を耳に掛けた。
少女のような仕草だった。
「久しぶり」
ようやく声を掛けたら、キムラさんは一瞬固まった後、突然しゃがみこんで大声で泣き出してしまった。
でも、近所の家は離れていて、回りに人が来ることはなく、僕が責められることはなかった。
家の奥ではお母ちゃんが、心配そうにこちらを伺っていた。

「ごめん、なんか…… 気にせんといてね」
しばらくして立ち上がったキムラさんが、まだ涙の拭き残しがある顔で微笑む。
「ちょっと、挨拶してく?」
キムラさんが、ちらっと家の奥に目をやった。
「ああ」
僕は、玄関から上がるものだと思っていたが、庭の方に回って、中庭に面した広間の縁側に案内された。
ドラマに出てくるような家だ。
勧められるままに縁側に腰掛けると、キムラさんが隣に座った。
タイミングを計ったようにお母ちゃんが奥から茶器を乗せた盆を持って出てきた。
年齢は80前ぐらいだろう。
見た目は農家のお婆ちゃんそのものだ。
小さく痩せた姿が枯れ木を思い出させる。
お母ちゃんが縁側に膝を突いて、盆を置くのを見計らって、僕は立ち上がった。
「初めまして、ヤスオカです」
こういう場合は、キムラさんが紹介してくれるものなのだが、余りの緊張感で待ちきれなかった。
こんなちゃんとしたお辞儀は久しぶりだった。
僕の緊張を感じて、お母ちゃんは微笑みながら三つ指を突いた。
「コトミがいつもお世話になってます」
お世話も何も、約35年ぶりだ。
暑い、汗が噴き出す。
次の行動に悩んでいると、キムラさんが声をかけてくれた。
「ヤスオカくん座って座って」
どうも、こういった挨拶は苦手だ。
よくよく考えれば、何の手土産もない。
だが、僕が何かを言う必要はまったくなかった。
二人は僕の予定など気にする風もなく、お茶を啜りながら、きょう、これからのスケジュールを決めていった。

二人の会話によると、まず、これから観光などを兼ねて外出し、地元の名勝の鍾乳洞がある方面へ出掛ける。
そちらの方面なら、その鍾乳洞に行ってみてもいいし、他にゆっくりできる場所もあるらしい。
その後夕方6時に帰宅し、家で夕食を摂り、そのまま宿泊する予定だ。
なんの計画もなかった僕にとって、なんの不服もなかったが、家に泊まるまでしていいのだろうか。
僕は、ひょっとして今夜の寝床はキムラさんと枕を並べるのだろうかと、想像を膨らましていた。






4
2014/09/11 13:54:40    (.po1sxbZ)
文章、構成、表現、総て素晴らしいです。
序章から推察致しますと、
キムラさんはほろ苦い想い出になってしまうんでしょうねぇ。
続きを是非御願い申し上げます。
3
2014/09/03 14:06:56    (f/LjuFgA)
いいお話でした。後日談でもあれば、お願いします。
2
投稿者:タクヤ ◆UxLDGHbgQ
2014/08/31 17:32:10    (3q8n6KyF)
昔と言っても、そんな遥かな昔じゃなくても、ストーカーなんて言葉、誰も言わなかった。
好きな子を待ち伏せしたり、家の前まで行ってみるたり、こっそり誕生日を調べて恋占いするぐらいのことは、誰だってやってた青春の特権だった。と思う。

なので、キムラさんの行動を特別に非難しようとは思わないんだけど、とある日曜日に突然家に来た。
親と姉二人はデパートのバーゲン、高校の兄は部活で、僕だけが留守番だった。
「ヤスオカくん、遊ぼう」
玄関を開けたときの一言は、小学生の誘いかただった。
「いや、俺、留守番やから」
キムラさんはこっちを向いたまま、固まって、動かなかった。


二階の和室二間が兄弟姉妹四人の部屋だった。
長方形のコタツを冬以外は布団を掛けず、ヒーターも外してテーブルがわりに使っている。
結局、上がり込んだキムラさんが僕の隣に座っていた。
七分袖のブラウスに、フワッとしたフレアスカート。
フェミニンなファッションと言う言葉は当時は知らなかったけど、ちょっと大人びた感じで、制服姿しか知らない僕にとっては、新鮮に映った。
でも、スカートは中学生男子の欲求に挑戦するかのように、やたら短かった。
膝を崩すと、太めの脚なので、白く見える面積が広くて、どきっとする。
スカートの裾も充分に気になる。

大体、この子はなんでいきなり隣に座ってるんだ?
普通は向かい側に座るんじゃないのか?

でも、時々触れるキムラさんの肩が男子のゴツゴツした感じと違って、ふんわりと心地よく、つい僕の方からさりげなく当たったりしてしまった。

さて、そんな時間を過ごしていたが、よくよく考えても、僕たちに共通の話題は余りない。
そういえば、ふだんも挨拶ぐらいしか話しはしてなかった。
せっかく家まで来ていただいたが、休日に一緒にいても、いつものように無言だった。
「あの、ヤスオカくん」
「なに?」
「友達になってくれてありがとう」
「ああ」
どう返事していいかわからない。
「わたし、すごく嬉しかった」
「俺も、キムラさんと友達なれて嬉しいよ」
精一杯の気遣いの言葉にキムラさんは首を横に振った。
「ゴメンね、私、可愛くないから……」
話題が暗い。なんとなく息苦しくなった。
「そんなことないよ。キムラさん可愛いって」
元気付けるつもりだったが、キムラさんはどう思っただろう。
変な期待を持たせたのは、まずかったかなと思ったが、仕方ないことだ。
キムラさんは僕の隣で下を向いたまま肩を震わせた。
「キムラさん……」
泣いているのかと不安になって肩に手を置いてしまった。
「ヤスオカくん」
キムラさんが顔を上げた。
近すぎる位置に茶色いメガネフレームが迫った。
二重瞼だ。
初めて知った。
きれいな瞳が潤んでる。
目があって、キムラさんはきゅっと瞼を閉じた。
(あっ)
いきなり顔が近づいたと思ったら、キムラさんの唇が僕の唇にぶつかっていた。
憧れのファーストキスだ。
不意打ちのような強引なキスだったが、不覚にも柔らかな感触に感動してしまい、キムラさんの背中に腕を回してしまった。
キムラさんの体はふかふかして、ぬいぐるみのようだったが、腕に力を入れると、しっかりとした弾力が伝わってくる。
これぐらいの距離になると、もうキムラさんの容姿、容貌、体型はまったく気にならなくなる。
かえって、太目な分、女の子の柔らかさや温かさが強く感じられて、僕はつい夢中になってキムラさんの唇に吸い付いていた。
キムラさんの方は、僕の積極的反応に逆に驚いたのか、一瞬、顔を離そうとしたが、僕の口が追いかけたので、結局は抱き合う格好になった。
僕は、唇を合わせるだけのキスで興奮し始めていたが、しばらくしてキムラさんは舌を差し込んできた。
ぬるりとしたキムラさんの舌が、僕の舌先に触れたとたん、全身がゾクゾクする感覚があって、なんて大人なんだと、自分もありったけのエロ知識で対抗しなければと、理性的な制御が効かなくなってきてしまった。
僕の方も、舌を絡ませると、キムラさんは誘い込むように舌を引っ込めていく。
追いかけて、入り込んだキムラさんの口中は、甘く、熱かった。
口中で暴れるように舌を動かす。
いつの間にか、口の回りは二人の唾液でベトベトになった。
いま、積極的に押しているのは完全に僕の方だ。
キムラさんは、バランスを崩してパタッと仰向けに転がってしまった。
その拍子に、絡み合っていた舌と舌が糸を引いて離れた。
口が解放されて、キムラさんは音をたてて荒い呼吸をする。
まるで、プールの端から端まで息継ぎなしで泳いだ後のようだ。
僕はキムラさんに覆い被さるようにして、また唇に吸い付いた。
キスに酔っていたのもあるが、僕は次の手を思い付かなかったのだ。
断片的なエロ知識はあっても、こういう場面で次にどうすればいいのか分からなかった。
ただ、寝転んだキムラさんに体を寄せて、キスをするしかなかった。
すると、キムラさんの脚が動いて、偶然なのか僕の股間に擦りつけるように大腿が当たった。
それで、僕は下半身に意識が行くようになった。
僕のチンコはいつの間にかガチガチになっている。
キスの合間にちらっと下半身に眼をやると、キムラさんのスカートが不自然なほどに捲れて、下着が見えていた。
空色のパンツ。
ラブレターの封筒を思い出した。
僕が押し倒したようなこの状況では、ミニのフレアスカートは、その空色の布地を全く隠しきれていなかった。
キムラさんが脚を動かすと、空色の三角の合わせ目が揺れ動く。
僕は、そんな女の子の中心部に、おそるおそる手を伸ばした。
脚の付け根の三角地帯にちょんと指が触れると、キムラさんがぴくんと体に力を入れた。
キスを続けながら、僕はキムラさんのパンツを丁寧に丁寧に撫でた。
撫でるのは、こんもりと盛り上がった柔らかな丘からお尻に向かっての部分だ。
キムラさんはキスに応えながら、僕の手が動きやすいように、そっと脚を開いてくれた。
でも、すぐに下着の上からでは満足できなくなってきた。
キムラさんの肌に直接触れたい。
いや、そうじゃなかった。
クラスの女子のオメコを直に触りたい。
ただの男子の欲望だ。
僕は、一旦、指先を股の間から引き出すと、そっとパンツのウエストゴムとふっくらしたお腹との間に中指を滑り込ませていった。
キムラさんが、体を硬くしているのが分かる。
キスをしていた舌の動きが止まったのだ。
僕の指がスベスベしたお腹の上を脚の付け根に向かって移動するのを、全神経を集中させて感じているようだった。
僕の指が、盛り上がった丘の上から割れたような肌の合わせ目に到達すると、息を止めて体を震わせた。
何かに耐えているかのようだ。
僕の指は、汗ばんだ肌の合わせ目をなぞるようにお尻に向かって動いていく。
でも、合わせ目はしっかりと閉じて、まるで口をつぐんでいるようだった。
そこを、優しく何往復か撫でながら、さらに奥へと進んでいくと、ちょうど脚の付け根の真ん中あたり――少し窪んだようになった部分――で、指先にヌラリとした感触があって、するっと指先が割れ目の中に飲み込まれた。
とたんに、キムラさんが大きく息を吐いた。
一旦、湿り気を帯びた指先は、キムラさんの大事な部分を難なく、滑るように移動することができた。
この割れ目のどこかに、チンコのように敏感なお豆があるはずだった。
僕は、優しく探りながら、何とかそのクリトリスの存在を確認した。
柔らかな肉の間にあって、コロッとした小さな粒に感じたが、そこに触れると、キムラさんは捻るようにお尻を動かした。
キムラさんの割れ目は僕の指の動きに合わせるように、中から湧いてくる粘液があふれだし、僕の掌だけでなく、お尻やパンツも濡らしていく。
キムラさんが、せがむようにキスをして、舌を突っ込んできた。
僕がそれに応えてキスをしている間、キムラさんが、体を捻るようにして、僕の体の下敷きになっていた右腕を抜くと、ごそごそとパンツを脱いでしまった。
僕は、動きを制限していた空色の布がなくなったことで、もっと自由に手を動かせるようになった。
でも、パンツを脱いだ後、キムラさんは僕の頭を押さえるようにキスをしてくるので、パンツのなくなった下半身を見ることはできなかった。
いま、下を見ることができれば、そこにむき出しの女子のオメコがある。
そう思っただけで、チンコの突っ張りが一段と強くなる。
しかし、キムラさんのキスは長く続いた。
どれくらい、キスは続いただろうか。
僕の指先で、キムラさんの割れ目はもうぐしゃぐしゃになって、時折、痙攣したかのように脚を震わせる。
少しして、キムラさんは、ようやく唇を離し、左手で僕の頭を視線を逸らさせないように押さえて、薄く目を開けた。
「ヤスオカくん、わたし、ずっとヤスオカくんが好き」
喋ってる間も唇は触れあったままで、キムラさんの気持ちまで伝わってくるようだ。
きれいな二重の目の周りが熱があるように紅潮している。
何か言わなきゃと、思っていると、チンコに何かが触れるのを感じた。
気持ちを集中すると、キムラさんがズボンの上からチンコを撫でているようだった。
女の子が自分からチンコをさわりに来るとは信じられなかったが、確かに、勃起に沿って手を動かしている。
僕は、キムラさんから視線を逸らさないまま、片手で何とかズボンとブリーフを脱ぎ捨てて、キムラさんの掌に、カチカチのチンコを握らせた。
キムラさんの掌は、温かで、柔らかで、優しかった。
つい先月、オナニーを初体験した僕にとって、これはもういつ溢れてもおかしくない状態だった。
キムラさんは、掌のチンコを確かめるように、二、三度扱くような動作をして、僕にチュッと軽くキスをすると、泣きそうな顔でゆっくりと頷いた。
何を頷いたのか、頭の中では分からなかったが、僕も頷いてチュッとキスを返すと、体を起こしてキムラさんの開いた脚の間に体を置いた。
初めて、目にした女の子。
でも、ほとんど緊張で目に入らなかった。
僕はチンコをキムラさんの割れ目の中央にあてがった。
そこがたぶん、いままでエロ知識でしかなかった、オメコの穴に違いなかった。
チンコを突き出すと、ニュルッと亀頭までが割れ目に咥えられるように入り込む。
位置を合わせてから、キムラさんの顔を見ると、切なそうに頷いていた。
僕は、照準を固定したまま、前に倒れてキムラさんを抱きしめた。
「ヤスオカくん……」
耳元で、あえぐようなキムラさんの声。
「キムラさん……」
僕も、名前を呼んでいた。
「うん」
もう一度頷いたキムラさんが、僕の動きの合図になった。
初めてのセックス。
もうキムラさんの中心地は捕らえている。
後は、このチンコに力を込めて送り込むだけだ。
僕はチンコをほんの少し進めた。
「うっ! いたいっ!」
キムラさんの声に慌てて腰を引いた。
「大丈夫か?」
まだ、僕は全く入っていない。
「うん、大丈夫。ごめんね、一緒になろ」
「うん」
僕は、もう一度キムラさんにあてがった。
チンコの先端に伝わる、濡れたキムラさんの温もり。
チンコの先を摘まむような、狂おしい刺激
『一緒になろ』といった震えるような声。
これで、女の子と一緒になれる。
そう思っただけで、頭の中が真っ白になった。
ビクン!
「あっ」
キムラさんが小さく声を上げた。
僕は、キムラさんの入り口に、大量の精をぶちまけてしまった。
チンコからの放出は、何度も何度も繰り返され、次第に力を失っていった。
キムラさんも、何が起きたのか理解できてたみたいだった。
「あぁー……」
キムラさんは大きく溜息をついて、僕は強く抱きしめてくれた。


僕の漏らした精液があまりにも大量で、キムラさんは少し驚いていた。
キムラさんの体とスカート、それに僕の体や部屋の畳など、バレないように後始末するのが大変で、この日は二度目にチャレンジすることができなかった。
初体験はあえなく失敗に終わって、お互い童貞・処女のまま、もう少しだけエッチな触りっこをしてキムラさんは家族が戻る前に帰っていった。



それから、まもなくキムラさんは“家庭の事情”で遠方に引っ越し、転校してしまった。
僕たちに、結局二度目のチャンスはなかったわけだ。

最後の日、キムラさんから手紙をもらった。
いつの間にか下足箱に入っていた、空色の封筒。

『ヤスオカ タクヤくんへ
友達になれて本当に嬉しかった。
いつかまた逢えたら、そのときはちゃんと付き合ってください。
いつまでも忘れません。
キムラ コトミ』

「文学少女のくせに、なんやこの雑な手紙は」
キムラさんはこれ以上書けなかったんだろうな。
そして、僕もこれ以上は読めなかっただろう。





急に、彼女に会いたくなった。






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