この2年、本当に我慢して我慢して・・・ミキにもマイコにもよい『おとーさん』でした。
誓って疚しいことはしていません。
けど・・・僕は昨晩、またあの頃のヒロキに戻ってしまった。
娘のミキも中学へ進学し、部活も忙しいせいか、会うのは数ヶ月に一度ぐらいになっていた。
けど、パソコンを買ってもらってから、ミキは僕のところによくメールや写真なんかを送ってくれて、以前よりもコミュニケーションをとってるぐらいでした。
特に娘は僕と同じ吹奏楽を始めたので、共通の話題があって、ここ最近は毎日のようにメールしてました。
ミキが一生懸命やってるのはわかっていたので、僕も無理に会おうとはせず、夏のコンクールが終わってから会おうか?と話していました。
なので、4月の連休に会ったきりで、やっぱり寂しくて人恋しい気分になっていました。
コンクールや定期演奏会があるから、今年は旅行はなしとミキが言ってました。
「そっかー、マイコにはちょっと可哀想だな」と何気なく言うと、
「ママとマイコは今度、帰省するって。あたし、パパとお留守番(´・ω・`)」とミキ。
もう関本のばーちゃんがなくなって随分経っていました。
13回忌もとっくに終わってるし、てっきりミキの義父の実家へでも帰省するのかと思ったら、なんと僕らの故郷へ帰省するとのことでした。
僕はミキから帰省の日程を聞き出すと、すぐに飛行機の予約を取りました。
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僕の実家も、今では別の家族が住んでいて、両親は弟夫婦とそう遠くない近くの街で暮らしていました。
越野も結婚して、今では双子のママ。
スレンダーだったのに、ぽっちゃりしちゃって隣の市に住んでいます。
越野と過ごし、ヒカルと出会った街もけっこう色褪せて、拠り所もなくなっていました。
ヒカルが来るのは、ばーちゃんの墓か銭湯の親戚のところかと思い、ばーちゃんの墓へ行くと、もう花が添えられて誰かがお参りした後でした。
僕はがっかりしましたが、関本のばーちゃんとの思い出を反芻して、ほんの少しだけ生えた草をむしったり、お墓を綺麗にこすったり・・・銭湯でばーちゃんの背中を流したり、閉店直後のサウナで僕に恥を忍んで挿入を懇願するばーちゃんとセックスしたことなんかを思い出してました。
そういえば、おまんこで初めて射精したのは、ばーちゃんだったので、僕の本当の童貞喪失は・・・
天国のばーちゃんも身体を洗われて喜んだのか、僕に思いがけないプレゼントを送ってくれました。
「えー?なんで、お父さんいるの?」
聞き覚えのある明るい声・・・マイコでした。
その後ろから、日傘をさしたいい女。僕がヒカルに会うのは、この十何年で二回だけ。
「ヒロキ?」
ヒカルたちは、親戚のうちではなくホテルに泊まっていました。
僕も知らなかったのですが、銭湯もずいぶん前に廃業して、親戚はばーちゃんが住んでたアパートを管理してるんだそうです。
関本のばーちゃんはあんな小さなアパートに住んでいたのに、実はけっこう資産家で他にも不動産を所持しており、それらの多くをヒカルが受け継いでいました。それで時々、こちらへ来ているようでした。
地方の小さい都市なので、少し大きなホテルというと2件ほどしかなく、やっぱりというか僕とヒカルたちは同じホテルでした。
元気いっぱいのマイコはホテルのプールで遊んでいるようでしたが、僕は墓参りで汗だくになったので、大浴場へ行き、さらにサウナで一汗流して、心地良い疲れのまま部屋へ戻りました。
ドアにメッセージが挟んであったので、ヒカルたちが泊まる部屋へ行くと、ヒカルが出迎えてくれました。
「久しぶり・・・ヒロキ」
ヒカルは僕の記憶よりは少し太った感じですが、逆に若く見えてグラマーになってました。
メールのやり取りはあったのですが、ヒカルからしばらくメールやめるねと連絡があり、またしばらくするとメールのやりとりが続く・・・そんな感じでした。
僕らの話題はミキのことがほとんどで、たまにヒカルのことを聞いても少しだけ教えてくれるだけ。
僕はヒカルがあの日からずっと怒ってると思ってました。
マイコはプールで疲れたのか、ベッドで眠ってました。
この地だからか、ヒカルと久しぶりに昔の話をしました。
ヒカルと出会ったのは今のマイコと同じ年。
たった2週間でセックスまでした。
僕たちはジェットバスでのH体験や釣りや海水浴なんか花を咲かせて、お互いに子供も頃に戻った気分でした。
そして、ばーちゃんの話題になったとき・・・ヒカルは元気をなくして、僕の手を握って来ました。
ばーちゃんが死んだこと、僕らの再会、妊娠、別れ。
大学生になってからは苦い思い出のほうが多かった。
僕はヒカルの顔を持ち上げると、唇を重ねました。十何年かぶりのキスは、ずっと甘く互いの舌先が恐る恐る触れました。
ヒカルの手がためらいがちに僕の背中に回って来ました。
「久しぶりにさ・・・あれやらないか?」
「ダメよ・・・マイコ寝てるもん」
ヒカルは口調まで子供の頃に戻ったみたいでした。
「セックスじゃなくてさ、あの触りっこやろうよ」