「ヒロくん…?」
返事もなく玄関開けたまま何度か呼びかけると、「亜里沙さんこっち」って
奥の部屋から聞こえてきました。
「大丈夫、ヒロくん」って、恐る恐る扉を閉めて中へ入って行きました。
靴を脱ぎ玄関を閉め、電気も付いてない薄暗い廊下を歩いて…
広い大きなリビングに出て「ヒロくん?どこ?」って聞いたらリビング横の扉
が開いていて、そこから声がしました。「こっちだよ」
コンビニ袋を持ったままヒロくんの部屋へ。
大きなベット(ダブルベット?)で布団をかけて寝ているヒロくんを見たら怖
がっていた気持ちが少し安心しました。正直怖かったです。
いつもはカッコつけてるヒロくん。
今はベットで身動き出来ず、目だけで私をみて「ありがとう。ごめん…他に頼
める人いなくて…」って。凄い可愛いって思いましたよ♪
「喉乾いてて…ポカリ頂戴」
ベットから少し上体起こし、ペットボトルのポカリにそのまま口を付けて飲も
うとするから「コップ持ってくるから待っていなさい」って言ったのですが…
そのまま飲んじゃって^^;
「ペットボトルのまま飲んだら、唾液から雑菌が入るのよ。コップ使わないと
駄目だよ」って話をしたら「お母さんみたいだね」って頬笑み。
辛いからって又布団に横になり、私も買ってきたものを横で説明して「御飯少
し食べないと駄目だよ」って言ったら「ヨーグルト食べたい」って言って、見
ていると辛そうってか、何か嬉しそうな感じでした。その顔を見て居たらこち
らまで嬉しくなってきました。
「ちょっと台所と冷蔵庫使うね」
大きなリビングに出て改めて部屋の中を見渡しました。
あとで聞いたら4SLDK、築年数は10数年経っているがヒロくんが使うからっ
て父親が内装完全リフォームしており、白い綺麗なシステムキッチンが目を引
く綺麗なLDK。大型冷蔵庫内には飲みモノが大半であとはバター等…贅沢な使
い方(笑)冷蔵庫にペットボトルやヨーグルトなどを入れて、戸棚からコップを
出してヨーグルトとスプーンをもって又ベットに戻りました。
ベット横のテーブルに飲みかけのポカリとコップを置いて「ココに置いておく
からコップ使ってちゃんと飲みなさいね」
ヨーグルトの蓋を取って渡そうとすると「起きるのが面倒だから食べさせて
よ」「甘えるんじゃないわよ」って言いつつも。。。。
ベットに腰掛け、寝ているヒロくんに「あぁーんして」て言いながら食べさせ
ていました(笑)
食べ終わって
「何かお母さんみたいだね、母親が居たらこんな事して貰えるのかな?」って
ちょっと寂しげに言ってきました。
「小さい頃だけだよ、こんな事されるのって。もうこんな大きな子供にはしな
いよ、普通」突き放すように言いました。
「そうなんだ、もう高校生だと風邪ひいても食べさせて貰えないんだね、知ら
なかったよ…」なんか寂しげに言い続けて「俺、お母さんが3歳のころにオヤ
ジと別れて母親って居なかったらな…わかんないや」
いつもは生意気で、カッコつけているヒロくんが寂しげ。
身体も私よりも全然大きく(因みに私155、ヒロくん175)いつも明るい
のに、家庭的に問題があるって言っていたけど、寂しい幼少時代を送っていた
んだな。。。って思っていました。
布団に入り目を瞑ってながら…
「…亜里沙さん、俺ね亜里沙さんがお母さんなら良いのにってずっと思ってい
た。義理母は殆ど会った事ないしね、会うつもりもないけど。オヤジに悪いか
ら俺から家を出てやるって言ったんだよね」
「…そう」
私はその一言しか言えずに、何んて話をしたらよいのか分からずいました。
「お母さんが居たら、風邪引いて寝て居たら抱きしめてくれたりするのが普通
だと思ってたよ、知らなかった」笑いながら言いました。
「普通、高校生の男の子はお母さんは五月蠅いだけの存在だよ、抱きしめたり
したら、子供が嫌がるわよ」こちらも笑いながら話をして。
ベットに座る私の方を向き見ながら「ねぇ、抱きしめて欲しい」真剣な眼差
し。
ドキドキしながらも
「まったくしょうがないわねぇー、こんな生意気で我儘な息子は私は要らない
わ」て動揺を隠すために笑いながら言い、布団の上から、ほんの数秒ほど抱き
しめてあげました。物凄いドキドキです。
「…今ので終わりなの」
抱きついて又離れてからのヒロくんの一言。
「もうそれ以上は、だーめ!当たり前でしょ!」
ドキドキした気持ちを抑えて笑いながら。
「やっぱり本当のお母さん居てもそんなもんなのかな…」
私に背を向けて…
「