奈津美と出会ったのは今日みたいに暑い夜だった。
薬物中毒者は世の中には沢山いる。
奈津美は幼いころから施設でそだって,社会に馴染めずに薬物に依存したのだった。
彼女は自らこの更正施設にやってきた珍しいタイプだ。
一緒に暮らし始めつ二年がたつが,奈津美は今でも薬の欲求と戦っている。
とくに眠れない夜は泣きわめくしかない。
僕にできることは,人間らしい快楽をあげることしかないんです。朝まで絶え間無く続けるには,バイアグラを服用します。これは副作用で頭痛と動悸が伴いますが,一時でも苦痛から忘れさせたい。
彼女は「ごめんね,ごめんね」を繰り返します。
これ以上言わせないように,口で口を塞いで,体を重ねるんです。しばらくして気持ちよくなったのか,喘ぎ声が聞こえてきた。
安心しろよ,お前ひとり苦しませないからな。涙目でコクンと,うなずくんです。
気持ちよさを感じてる彼女の顔は,安らいで見えます。
朝までしますから激しくなどできません,ゆっくりとした動きです。
僕は朝までに5回はイキます。それからは感覚があまりなくなります。薬で萎えることはありません,僕には拷問です。
奈津美は何度もかるいオルガズムに達します。大きい波はあたえません,彼女の体が持ちませんから。
想像して下さい,朝まで数回コンド-ムを交換してSEXし続けるのです。
僕は気持ちよさを通り越して拷問ですが,彼女の最後の数時間は高次元の領域にいます。誰にも見せられませんが,女性に生まれた彼女に嫉妬を覚えます。
今,僕の体は鍛えられた肉体に変化してます。指圧や針治療院にでは,スポ-ツ選手に間違えられます。
本当のことはいえません。
まだ奈津美との生活は,長い人生で見たら始まったばかりです。
ハッキリいうと辛い事のほうが多いんですが,好きあって暮らしたんです。
尋常じゃない苦しみを除けば普通の男女です。
秋には婚姻届けを提出します。