聡美さん(Sさんはもうまどろっこしいので…)は信頼していた旦那さんに裏切られた事がとても悔しいらしい。俺には話を聞いてあげる事くらいしかできなかった…帰り、チャリを置いた場所まで送ってもらった時だった。「今度、どっか行こっか?オバサン相手じゃダメかな?」と聡美さんから誘われた。俺には断る理由がなかった。聡美さんが俺の中でどんどん大きくなる…時折見せる可愛い表情…普段バイト先では年上の主婦の顔なんだが…基本的に昔はモテたんだろうな~と色々考えながらチャリをこいで家に帰った。
数日後…俺と聡美さんは本当にデートする事になった。待ち合わせ場所は俺らの町から電車で二駅行った所。人目につかないように…という事だった。俺は待ち合わせの時間よりも一本早い電車に乗って着いてしまった。気持ちが高ぶっていたせいか…聡美さんの車が来た!俺が駆け寄ると気づいてロックを開けてくれて乗り込んだ。運転席にはいつもの聡美さんと別人の聡美さんがいた。メイクバッチリで薄ピンク色のキャミとミニスカにサンダルを履いていた。いつもはTシャツにGパンスニーカーの聡美さんが…髪も束ねてない。俺の鼓動は急に高鳴った。
俺が聡美さんのいつもと雰囲気の違いに見とれていると「そんなにジロジロ見ないでよ~変?」と少し照れた。俺と聡美さんは更に遠くへ来た。とても気持ちのいい山の中腹にある公園。そこら中でカップルがイチャついていた。「なんか…場違いっすかね…俺たち」「そう?」となにくわぬ顔で俺に腕を絡ませてきた。二の腕に胸が…聡美さんの匂いが鼻をくすぐった。一つのベンチに座って時を忘れた…聡美さんと目が合った。聡美さんは目を閉じて俺の首に腕を廻した。俺のファーストキスだった。初めての唇の感触だった。柔らかい…何の味なんだろう…?
よく、…の味なんて表現するけどそんな余裕なんてどこにもなかった。俺のファーストキスが12歳も年上の憧れていた人妻なんて…「キスしちゃったね」俺にはその言葉の意味がわからなかった。相変わらず周りのカップルはベタついている。中には2人の世界に入ってしまっているカップルもいた。俺はどう反応していいのかわからなかった。すると聡美さんが俺の手を引いて歩きだした。公園内の散歩道を歩きながら突然「和幸君の最初の女になろうかな~」まさかの発言に俺は動揺を隠し切れなかった。逆に聡美さんの発言は思いつきにも聞こえた。