続きです。間が空いてすみません。
現在便璃は一人シャワーを浴びているという状況。本当は「お嬢ちゃん、僕も一緒に入っていいかなグヘヘ」という展開を夢想していたのだが、「兄貴達から連絡が入って、電話に出る人がいない」という状況は作れないし、「便璃と一緒のホテルで俺が風呂に入るのはあり得ない(と兄貴達に思われる)」と判断したことから、これは諦めた。
しかし、一度吸った蜜の味はもう一度味わいたくなるのが男心ってもの。便璃が何を考えているのか知らないけど(その時は何も考えていないと思った)、少なくとも先ほどの俺に見せる行為が苦痛ではないならば、もっと見せてくれてもいいのではなかろうか。
(とりあえず、トイレを理由に入室しよう)
まぁ誰でも(?)そうすると思うけど、トイレのドアを開けてこっそりと侵入する俺。
浴槽の縁に、便璃が持ってきたと思われる小型のソープ類が置いてあり、その付近のほんの一部分だけ、浴槽を仕切るカーテンが開いていた。湯気が部屋を満たし、女の子の匂い(石鹸の匂い)がモワモワと鼻をくすぐった。
(うわ……超いい匂い……)
蒸気のむせ返る香りに鼻血が出そうになるのを堪えて俺は、音を立てないように便座の蓋を上げ、ジッパーを下した。今ならむしろ「聞かせてやりたい」と思うところなんだろうけど、当時俺は、便璃にトイレの音を聞かれるのが、この期に及んでやたら恥ずかしかった。
(まぁいいや、しちゃえ)
結局そこまで思い悩むこともなく、普通に用を足し始める。すると浴槽の方から、軽い物が落ちる「カタン」という音が聞こえてきた。
びっくりしてそちらの方を見ると、わずかに開いたカーテンの隙間から、便璃の細くて白い腕が空中で迷子になっていた。恐らくボディソープを取ろうとして、誤って床に落としてしまったのだろう。このドジっ子め、なんてかわいい奴だ。
(……ん?待てよ。いや、ちょっと待て!)
そう考えたが遅い。止むシャワーの音、響く俺のお小水。
「……!」
カーテンの向こうで、俺の存在を確認した便璃が動揺しているのが分かる。
「うわ!すまん!」
尿を絞り出し、慌ててジッパーを上げ、何故か謝る俺。
こそばゆい静寂が浴室を支配する。ここで謝るくらいなら、もっと他に謝る場面がいくつもあったはずだ。
しかし、時すでに遅し。そこには、いつの間にかこっそりとカーテンを開けて俺の様子を伺っている、便璃の姿があった。
レスに続きます。