中学の修学旅行で、片想いをしていた志帆と同じ班になった。
堀北をロングヘアにした感じの可愛い子で、頭も良かったからテスト前はよく勉強を教えてもらったりしていた。
俺は志帆とは普段勉強の話が多かったから、班行動の時は色んな事が話せて楽しかった。
班行動でかなり仲良くなれたし、意外とノリの良い子でますます好きになった。
二泊三日の二日目の夜、同じクラスの不良カップルがHをするからって事で部屋を追い出された。
廊下で同じ班の女子と出会ったので、空いている女子の部屋を探して入った。
男女6人ぐらいで恋愛話大会をしていたが、志帆はいなかった。
2時間ほど話して、少し静かになった頃部屋の押し入れが時々ガタガタ鳴るようになった。
最初の2、3回は誰も気にとめなかったが、さすがにうるさいので男子の一人が襖を少し開けて中を覗いた。
しばらく中を覗いた後、その男子はひきつった顔で振り向き、小声で(ヤってる!)って言った。
その男子が廊下の方に逃げたので皆が後を追いかけた。
出遅れた俺に聞こえたのは「志帆」って名前だった。
えっ?えっ?って思いながらも俺は自然と押し入れに向かっていた。
真っ暗闇でわかるわけないだろって呟きながら。
数センチ開いた隙間から中を覗くと志帆と目が合った。
四つん這いで多分全裸。泣いた後みたいに目は腫れてて、枕に顔の下半分を埋めてた。
目が合ってる間も志帆の身体は前後に動いてて、相手の方は奥にいるからほとんど見えなかった。
数秒後に男の方に襖をピシャッと閉められ、俺はそれ以上開けられなかった。
押し入れの中からは開き直ったように遠慮なくガタガタ音が鳴り始めた。
他の皆にも気まずい空気が流れ始め、「逃げよう逃げよう」と言いながら散り散りになった。
俺も部屋に戻り、悪夢を掻き消すように半泣きで無理矢理寝た。
最終日は班行動が無かったせいもあって、志帆とはほとんど顔を合わせなかった。
志帆も一部の女子とだけ話す感じ。
修学旅行後、土日を挟んだ週明けは色んな情報が飛び交った。
何人かのカップルが部屋でHをしたという話はあったが、志帆については男子と付き合っていたという話はなかった。
あの時部屋から出てきた男子は他のクラスの不良だったらしい。
他にもカップルでもない女子がやられたという話もあった。
どういういきさつがあったかわからないが、あの時志帆がHをしていたのは事実。
結局志帆とはほとんど会話も無いまま卒業した。