大学で教員をしています。
丁度、ある過ちを犯してから節目の10年という事もあり、懐かしさもあって、当時の事を思い出しながら書き起こすことにしました。
当時、私は行き遅れのアラフォー女で、大学院生時代に交際していた同級生と別れて以降は誰ともお付き合いする事無く、当然、性生活の方もそれに合わせてご無沙汰となっていました。
(このまま、生涯独身貫くのも悪くないかな…)
そんな寂しい考えも浮かんでいた私があんなことになるなんて…
ある日、仕事が終わりキャンパスから出る所で、私のゼミ生であるM君とバッタリ会いました。
M君は元高校球児で大学でも野球部に所属。(ただレギュラーでは無いみたいでしたが…)今春には自衛隊への入隊が決まっていました。
「真弓ちゃん今から帰るん?途中まで一緒に帰ろうや。」
『こら、先生に対して真弓ちゃんとかタメ口で喋っちゃダメって言ってるでしょう。』
「はいはい(笑)でも真弓ちゃんは真弓ちゃんやん?」
こんな感じで馴れ馴れしい部分はありますが、授業態度は真面目で成績もそれなり、ゼミ内ではレポートや小論文等の提出物は1番早く出して、手こずっている友達に助言しているので、そんな彼を信頼してゼミリーダーを任せていました。
同じ電車に乗り、会話をしている中でもM君は相変わらずで、
「あーあ、真弓ちゃんに会うのも卒業式の日と謝恩会だけかー。」
『別に卒業してからでも遊びに来たらいいよ。』
「無理やって!自衛隊入ったら中々駐屯地から出られんって言うしさぁ…。真弓ちゃんに会いたいし留年したいなぁ(笑)」
『それは駄目だよ(笑)ちゃんと国の為に頑張らないと!』
そんな会話を繰り広げている内に私が降りる駅に着き、
『じゃあ卒業式でね。遅刻したら駄目だよ。』
と言って降りると、何故かM君も降りてしまいました。
そしてホームの端っこで抱き締められ、
「入学式で見た時から真弓ちゃんの事好きやってん。卒業したら学生ちゃうし、俺やったらアカンかな?」
思っていなかった告白に、腕の中で只々呆気にとられるしかありませんでした。
腕の中で感じる彼の激しい鼓動、相当勇気を出したんだろうなと思う反面、どうやってこの状況を乗り越えようか必死で思考を巡らせましたが、如何せん私自身もパニック状態で何も思い浮かびません。
「やっぱり、真弓ちゃんから見たらガキみたいなもんやしアカンかな…」
そう言った彼の目は心なしか潤んでいる様に見えました。
そんな彼の表情を見ると、とても断る気にはなれませんでした。
そうこうしていると、M君は私の手を掴み無言で歩き始めました。
(どこに行くんだろう?まさか…)
この時に拒否する事も出来たのかも知れません。
ただ、思い返すと久しぶりに異性として扱われた事、女性として恋愛対象と見られていた事が嬉しくて、心がときめいてしまいました。
そして予想通り、駅近くのラブホテルに入り、久々の男性の肉体を味わうことになるのです。