もう、既に10年以上前の話になる。
教育関係者が生徒と関係を持つという話は、私も聞いたことはあった。
当時、新任の塾講師として教室に赴任したばかりの私は、自分に限ってそんなことはないだろうと思っていた。
指導の対象が小学生ばかりだったこともあって、生徒は決して恋愛の対象に成り得なかったのだ。
そんな私も、過去に2回ほど過ちを犯してしまったことがある。
今回の話は、その1つだ。
彼女の名前は、ユイ(仮名)と言った。
入塾当初は既に高3年で、大学受験を控えてはいたが、国語も英語も成績は下から数えた方が早い方。
典型的なアニメ・ゲームオタクで、友達はいるが根は暗め。
母親に連れられて教室に来たときは、前髪で目元を隠し、ダサい眼鏡にダサい服といった、およそ年頃の少女としての可愛らしさは欠片もない格好だった。
そんなユイは、当然のことながら集団の授業になど付いては来れず、私が個別に面倒を見ることになった。
勉強嫌いなのかと思っていたが、以外にガッツだけはあり、宿題の量や問題の難しさに不平を言うことこそあれど、サボるということは決してなかった。
夏休みくらいになると、ユイは完全に私に懐いてしまい、よく甘えて来るようになった。
聞けば、家では長女で弟の面倒を見なくてはならず、父も母もサバサバした人間で、学校でも後輩に頼られることが多いので、甘えられる人間がいないのだという。
いつもおとなしく内気な感じの彼女だったが、どうやら塾の外では気丈に頑張っているらしかった。
そんなユイと私が関係を持ってしまったのは、夏も半ばに近付き、塾がお盆休みを控えた時だった。
その日、教室はお盆休み直前で、夏期講習の授業もなく閑散としていた。
自習に来たい生徒がいれば来てもよいことになっていたが、さすがに夜になると大半の生徒は帰ってしまい、気が付けば私とユイしか残っていなかった。
教室の閉めを任されていた私は、2時間後に教室を閉めることをユイに伝えた。
ユイは肩を大きく回し、「先生~、肩凝った~」と、いつものように私に甘えて来た。
この頃になると、ユイは私と1対1のときにに背中を押してもらうなど、妙にスキンシップを求めて来るようになっていた。
「どれどれ……うわ、こりゃ酷いな!」
「でしょ~♪ 5時間も座りっぱなしだと、さすがにキツくて……」
そんな他愛もない会話をしながら、私はユイの肩を押してやった。
当然、この時点ではやましいことなど何もなく、肩と首筋を中心にほぐしているだけだった。
「しっかし……これ、腕や脇の方まで凝ってるぞ、たぶん。少しは家でストレッチしろよ」
「え~、面倒臭い~。先生、そっちも揉んでよ~」
この台詞を言われたときは、さすがに少しドキッとした。
ユイは決してスタイルの良い方ではなかったが、それでも女生徒の、しかも女子高生の胸回りなど、さすがに解すわけにもいかなかった。
「さすがに、そんなとこ触れないよ!」
「別に、私は気にしないし~。……っていうか、マジで痛い。腕、上がんないかも……」
そう言って、ユイは私の手を取ると、まずは自分の二の腕を、次に脇を触らせた。
「おいおい……でも、確かに酷いな。仕方ない……ちょっとだけだぞ」
この時点で、既に私は彼女のペースに乗せられていたのかもしれない。
まだ罪悪感はあったが、それでも言われるままに腕や脇を解していたが、服で滑ってどうにも指圧が上手くいかない。
「先生~、もっとしっかり押してよ。肩とか首みたいに、直接触ってさ~」
「いや……さすがに、それは駄目だろ。下手すりゃ胸に手が当たるし……」
「だから、別に気にしないって! それに私、胸なんて全然ないしw」
揉んだら大きくなるかも、等と冗談を言いながら、ユイは私の手を自分の襟元から胸元に差し入れた。
「……っ! ほ、本気か、お前!?」
危うく胸に触れそうになり、私は思わず手を固めてユイに尋ねた。
先程までとは違い、ユイは軽く頷いて、私のされるがままになった。
ここから先は、正直なところ、よく覚えていない。
とにかく彼女の胸に触れないよう、私は首元のリンパと脇を中心に指圧した。
もはや理性など完全に吹っ飛んでいたが、それでも最後の最後で、性欲に任せて彼女を襲うようなことだけはしなかった。
しかし、それも時間の問題だった。
やがて胸回りが解れ始めるにつれ、ユイは「気持ちい~♪」と言って、なんともいえぬ笑顔を私に向けて来た。
はっきり言って、ユイは決して美少女ではなかった。
鼻は低く、化粧気もなく、髪も無造作に降ろしているだけだ。
それでも、眼鏡を外して恍惚の表情をしているユイをみると、もはや私の理性も限界だった。
「……ゴメン。これ以上は、本当に無理だ」
「え~、なんで? 折角、気持ち良かったのに~」
「お前が気にしなくても、俺が気にするよ。一応、俺も男だしさ……我慢できなくなって、襲っちゃうかもしれないぞ」
情けないことだが、既に今までの行為を通して、私の息子はギンギンになっていた。
それを知ってか知らずか、ユイは屈託のない笑顔を向けると、「だから、大丈夫だって~♪」と言って、服の中に入っている私の手を胸元に誘導した。
「なにやってるんだよ! こんなことしたら……本気で襲っちまうぞ!?」
「もう、ここまで触っちゃったんだし、今更でしょ~♪ 嫌だったら言うから、大丈夫だよ~」
その一言で、完全に私の理性は飛んだ。
今までのオタクっぽい雰囲気は今の彼女にはなく、未熟ながらも『女』としての彼女がそこにいた。
「よ、よし……。でも、嫌だったら本当に、直ぐに言えよ!」
それだけ言って、私はユイの胸に手を這わせた。
外から見ると小ぶりな胸だったが、以外に張りはよく、押すと心地よい柔らかな弾力が指先に伝わってきた。
「どうだ……気持ち悪いだろ?」
「そんなことないよ~。気持ちいい~♪」
マッサージを受けている時と同じ顔で、ユイは私の行為を受け入れていた。
我慢をしているといった感じはせず、私はそのまま彼女の胸を優しく揉みしだいて行き、やがて頭頂部の膨らみ付近に指を這わせた。
「……ここは? 嫌じゃないか?」
「……うん、気持ちいい……」
だんだんと顔が紅潮しているのが、私にも解った。
指先で蕾を優しく摘まみ、転がし、弾き……刺激を与えて行くと、どんどん固くなっていった。
(こんなに感じるものなのか……?)
自分のテクニックには、決して自信があったわけではない。
それでも、気持ち良さそうに身を委ねているユイを見ていると、もっと色々としてやりたくなってきた。
「悪い……俺も、もう我慢できそうにない。胸、見ちゃうかもしれないけど……いい?」
親指と人差し指で蕾を摘まみ、残る指で胸を揉みながら、私は尋ねた。
「うん、いいよ……。こんな感じ?」
そう言って、ユイは服をたくし上げ、ブラを外して胸を見せた。
やはり、胸そのものは小さかったが、思った以上に綺麗な肌と先端の蕾を見て、私の理性は今度こそ完全に飛んだ。
「ちょっと、口でしていいか?」
ユイが小さく頷いた。
ここまで来たら、もう最後まですることも覚悟していたのだと思う。
私はユイの胸に舌を這わせ、そのまま先端を口に含み、舌先で転がした。
途中で甘噛みや軽い吸引で緩急を付け、もう片方の胸にも手と指で刺激を与えて行くと、ユイの口から今までになく甘い吐息が漏れ始めた。
「……もしかして、感じてる?」
「解んない……。でも……変な感じだけど、気持ちいい……」
お腹の方もジンジンすると言って、ユイは再び私に身を委ねた。
私はそっと彼女の太股に手を這わせ、スカートの中に差し入れた。
もはや彼女は抵抗せず、私にされるがままだった。
下着のラインに沿って指を這わせて行くと、奥の方がしっとりと濡れていた。
「……こっちも、触っていいかい?」
「……うん……いいよ……」
指先で股関節を優しく押しながら、私は彼女の緊張をゆっくりと解し、やがて下着の上から花園に触れた。
先程よりも更に濡れており、私はそっと彼女の下着の隙間から指を入れ、突起を探しだして優しくはじいた。
「……あっ……」
自分では、直接触れたことさえ少なかったのだろう。
今までになく身をよじるユイだったが、それでも抵抗はしなかった。
私は彼女の突起を優しく弾きながら、やがて下の穴へと指を滑りこませていった。
痛がるかと思ったが、思った以上にすんなりと中へ入ってしまい、私の方が驚いた。
「痛かったら、言えよ」
「……大丈夫……。気持ちいい……」
指先で奥のひだに触れ、撫でるように刺激しながら、時折、軽く指先を振動させる。
そのまま中指だけをゆっくりと奥に入れ、残る手と口で彼女の胸を刺激する。
「……こっちも、いいかな?」
そっと顔を近づけると、ユイは私の服を握り締めながら、軽く頷いた。
顔と顔が重なり、自然に唇が触れ、やがて深いキスになっていっても、彼女は拒むどころか自分でも口を不器用に動かして私を受け入れた。
夜の指導室に卑猥な音が響き、ユイの身体がどんどん火照ってくる。
いつしか、私はユイの下の口に舌を這わせ、突起を舐めながら指で奥を優しく刺激していた。
残る片方の手は胸に這わせ、人差し指で先端を軽く転がす。
やがて、口で下の突起を吸いながら奥の方を刺激する中指を腕ごと電マのように震わせると、ユイは全身を軽く痙攣させて、そのまま力無く崩れ落ちた。
「……もしかして、逝った?」
「わかんない……。でも……なんか……凄く気持ちよくて……。先生……ごめんなさい……」
「おいおい、なんでお前が謝るんだ? むしろ、悪いのは俺の方だよ。こんなことして……先生、失格だな」
「そんなこと……ないよ……。私がお願いしたんだし……」
だから、自分にもなにかできないかと、ユイは私に抱きついて来た。
今から思えば、一線を越えたことにより枷がなくなり、互いに興味が理性に勝っていたのかもしれない。
「それじゃ……ちょっとだけ、触ってみるか?」
スーツの上から、固くなった自分のモノへと私はユイの手を導いた。
最初は驚いていたユイだったが、それでも嫌悪の表情を浮かべることなく、私のことを受け入れた。
「すごい……。私なんかでも、男の人って、こんなになるんだ……」
自分に自信がないのか、ユイは時折、そう言って自虐的な台詞を言う。
私は徐にズボンを降ろし、下着の上からユイに息子を触らせていたが、やがて我慢できなくなり、とうとう下着も降ろして直に握らせた。
「そのまま、上下に動かしてくれる? ゆっくりでいいから」
「うん……。マンガで読んだことあるけど……こんな感じかな?」
ユイのセックスに対する知識は、主にレディースコミックやBL本から仕入れたものだ。
しかし、男性向けの青年誌やAVとは違い、女性向けに描かれたそれらには無茶な体位で激しく何かをする描写は少なかったようで、優しく包み込むように動かされると、却って私も興奮した。
「ねえ、先生……。これって、口で舐めたりしてもいいの?」
「えぇっ! いや……確かに、それは気持ちいけど……さすがに、そこまでは……」
「うん……。やっぱり、私じゃ下手だよね……」
「いや、そういうことじゃなくて……」
気持ち悪くなったら、絶対に怒らないから直ぐに吐け。
それだけ言って、私はユイの口に自分の物を咥えさせた。
さすがに奥まで咥えるのは苦しかったようだが、慣れないながらも頑張って先を舐めたり強く吸ったりしながら、ユイは手も使って私のモノを刺激した。
大味に激しく咥えられるよりも刺激が強く、程なくして私は彼女の口の中に果ててしまった。
「……っ! ご、ごめん! 不味かっただろ! 吐いて、早く!」
私は慌ててティッシュを取り出し、ユイに精液を吐き出させた。
直ぐに水を持ってきてうがいさせ、二人とも慌てて身形を整えた。
それからというもの、ユイとはしばらく、セフレのような関係が続いた。
もっとも、本番をすることはなく、私も彼女も手と口で互いを逝かせ合うだけだったが。
私は責任を取って何でもすると言ったが、彼女にも負い目はあるようで、おまけに受験が近いということも相俟って、恋人のように出掛けたり遊んだりすることはしなかった。
それでも、ユイは私に今まで通り甘えて来ては、時にエッチなことをお願いするようにんなってきた。
この頃には私の罪悪感も吹っ飛んでおり、また彼女もエッチな気分が解消された後は自信が持てるのか、模試の成績が目に見えて向上し、勉強すればするだけ結果が出せるようになってきた。
受験勉強中に恋人を作ると、男は失敗し、女は合格するとは、こういうことを言うのかもしれないと思った。
やがて、受験が終わったところで、どちらからともなくホテルに誘った。
彼女は無事に第一志望に合格し、その御褒美ということで。
ベッドの上でも、ユイは相変わらず慣れていない様子だったが、それでもしっかりと感じて反応を示してくれた。
全てのストレスから解放されたからか、彼女は髪も茶色に染め、薄くメイクもするようになり、眼鏡もコンタクトレンズに変えていた。
その姿が私の心を更に煽り、私とユイは、その晩でとうとう一つになった。
「痛かったら止めるから、無理するなよ」
それだけ言って、私はユイの中にゴムで覆われた自分のモノを入れた。
彼女の中は今までに私が抱いたどの女性よりも温かく、そして狭かった。
「平気だから……動いて……」
やがて、中が私のモノに慣れて来たところで、私はユイに言われるがままに腰を動かした。
最初はゆっくり、とにかく優しく、少しでも痛みを与えないように。
それが幸いしたのか、ユイは特に痛みを訴えることもなく、出血することもなしに、どんどん奥を濡らしていった。
「先生……駄目……。なんか……来る……!」
「俺も……ヤバい……。そろそろ……イク……!」
先に指と舌で何度も逝かせておいたことで、ユイの身体も感じ易くなっていたのだろう。
信じられないことに、彼女は私と同時に達し、そのまま二人ともしばらくは動けなかった。
「……大丈夫か?」
「うん……。凄く……気持ち良かった……」
そこにはもはや、入塾当初のオタク少女の姿はなかった。
私と彼女はしばらく抱き合ったまま唇を重ね、その後も互いに力尽き果てるまで、若さに任せて何度も交わった。
そんな私とユイだったが、彼女の大学生活が本格的に始まってから、程なくして関係は解消された。
ユイは相変わらず私に好意を抱いており、私とのセックスも好きだと言ってくれたが、どうやら他に好きな男ができてしまったらしかった。
「ごめんなさい……。私、先生に酷いことしてますよね……」
「そんなことはないさ。それに、歳の差を考えると、お前だって歳の近い男を好きになるのは当然だろう?」
関係を解消することに、罪悪感を抱く必要は無い。
ただし、その男と交際するようになったら、私との身体の関係も終わりにすること。
何か不満があっても、決して私に甘えないこと。
お互い、一般的な恋人のようにはなれなかったけれど、だからこそ、ここでしっかりとけじめを付けた方がいい。
そのようなことを私はユイに伝え、彼女もそれを承諾した。
互いに人としても嫌いではなかったことを伝え合い、私は彼女の本当の恋が成就することを祈って送り出した。
あれから10年近く経った今も、私は塾の仕事を続けている。
さすがに妻帯者となった今となっては妻以外に欲情することもなく、女子高生を見ても自分の娘のようにしか思えず、当時のような感情は欠片も湧いて来ない。
ユイも、稀に教室を訪れてくれるが、当時のことは二人だけの秘密である。
「あの時、先生に出会えなかったら、私はず~っと自信がないオタクのままだったよ~♪」
だから感謝しているとユイは言ってくれるが、私としては複雑な心境だ。
タブーを犯し、彼女を少女から女にしたことは、傍から見れば決して許される行いではないだろうから。
そんな彼女も、今では1児の母。
外では肝っ玉母さんで通っているようだが、旦那とは家でラブラブらしい。
私とユイの関係は、互いに青春時代の甘酸っぱい思い出として、ぼんやりと残っているだけだ。