俺は49歳のある県の県立高校の体育教師です。担任のクラスは持たず生活指導を担当しています。
GWも終わり新入生も学校に慣れてきたそんなある日の放課後。
4・5人の女子生徒が1人の生徒を取り囲み何かもめているのを目撃しました。
私が近づくと取り囲んでいた生徒逹は、逃げる様に校門に向かって走り去りました。
独り残された生徒に声をかけると、その生徒は目に涙を浮かべ、うつ向いたまま何も話しません。これは【イジメ】だと確信し、その生徒の手を引き体育指導室に連れて行きました。
指導室には他の先生方は居らず、生徒と2人きりです。
まず学年とクラス、名前を聞くと素直に答えました。新入生で名前は瀬木 遥加と言いました。担任は私が密かに気になっている女教師でした。
『あんな所で何をしてたんだ? 先生に話してみなさい。』
でも遥加は口を閉ざしたままです。
『担任の高木先生を呼ぼうか?』そう言うと、遥加は『高木先生は呼ばないでください。』と言いまた黙り込みます。
『イジメか? そうなんだな?先生を信用しなさい。誰にも言わず解決してやるから。』
それでやっと重い口を開きました。
やはりイジメでした。しかし、その内容が酷いものでした。
リーダー格の女生徒とは出身中学が同じで何かにつけて文句を言い、逆らうと暴力を振るい、挙げ句の果てには金をせびる様になったそうですが、高校生では度々の要求には応えられず、断わると、援助交際をして稼げ。と言い、GW中に一度してしまった。とのことです。
そして今日も土曜にまたしろと迫られていたのだそうです。
その時遥加の携帯が鳴りメールが来たらしく読んでました。
すると、『先生。やっぱりいいです。聞かなかったことにしてください。』と言い指導室から出ていこうとします。
『待ちなさい。これはれっきとした犯罪だぞ。こんなことは許されないんだ。携帯を見せなさい。』
遥加の携帯を取りあげメールを見ると、リーダー格の女生徒からで、誰にもばらすな!そして土曜の待ち合わせ場所が指定されてました。『先生に任せなさい。土曜は行かなくていいからな。わかったら早く帰りなさい。』と遥加を帰らせ、指導室でどうしたものか考えてみたが、独りではいい考えも思い浮かばず、高木先生に相談してみようと職員室に行きました。
高木先生はまだ職員室にいたので事情を説明し、とにかく土曜に同伴してくれることになりました。