ふと思い出した。
30年以上も前になる。
一番の近所にみっちゃんという同い年の女の子が住んでいた。
顔立ちの整った子では無いが、どちらかというと線の細い、
スラッとした色白の子で、当時は割と珍しい感じの子だった
かもしれない。
みっちゃんの下に弟もいて、自分たちが小学校低学年の頃
までは割とよく一緒に遊んでいた。
それに、ギリギリ昭和の時代なので、その当時は子どもだけ
で留守番も当たり前のようにしていたものだった。
ある日、みっちゃんの母親が、弟くんをつれて買い物に出か
けた。私とみっちゃんは、普通におままごと(時代だなぁ)
などして遊んでいた。
おままごとの役柄は夫婦だったと思う。
そして、おままごとの中で「お昼寝をしよう」ということに
なった。
みっちゃんは自分のベッドがあって、寝るときは1人で寝て
いた。そのベッドに二人で横になって布団をかぶった。
布団の中に入って、二人で手を繋いだ。夫婦で寝るというと
何か仲良くいちゃつくようなイメージをお互いに持っていた
のかもしれない。
今思えば、お互い幼いくせにませていた様に思う。もちろん
小学校低学年なので、セックスなんてものは知らない。けれ
ど、男女で一緒に寝るということは、何か特別なものである
という感覚を持っていたのだろう。
しばらく手を繋いだまま横になっていたら、二人とも無言に
なった。
なんとも言えないドキドキ感があったことは、中年になった
今でも割とはっきり覚えている。
そして、何を思ったか、気がついたら僕はみっちゃんをギュ
ッと抱きしめていた。
みっちゃんは目をつぶっていた。
そして、あろうことか私は、みっちゃんの服に手を入れて、
胸を触った。
さらに、パンツの中にまで手を入れて、みっちゃんの・・・
を触ったのだ。
当時の私に、そんなHの知識があったとは考えられない。
・・・が、何か性的な本能が目覚めた瞬間だったのかもしれ
ない。
みっちゃんは、驚いたように僕を見た。・・・が、逃げなか
った。やめてとも言わず、ただされるがままに僕に触られて
いた。
しばらくそんな時間が続いたが、突然玄関から「ただいまー」
という声が響いた。
みっちゃんの母親が帰ってきたのだ。
僕とみっちゃんは慌てて服を整えて、ベッドから飛び出た。
お互い、何か悪いことをしたという背徳感に襲われていた。
だが、僕は気づいていた。みっちゃんは間違い無く、触られて
いる間、恍惚の表情を浮かべていたことを。
いや、正確にはまだ身体が性的な喜びを覚えていたわけでは
ないだろう。さすがに早すぎる。
それでも、きっとみっちゃんも何かに目覚めた瞬間だったと思う。
僕たちの秘密のお昼寝ごっこは、その後も何度も続いた。
いつしか、みっちゃんも、僕の・・・を触るようになった。
僕は、その時、勃起をしていたかもしれない…。
秘密のお昼寝ごっこは学年が上がるにつれ、無くなった。
男の子は男の子の、女の子は女の子の友達と遊ぶのが当たり
前になっていったからだ。
そして、一番の近所でありながら、中学に入る頃には、ほと
んど言葉を交わさない僕とみっちゃんになっていた。
思春期に差し掛かった僕は、時々、あの秘密のお昼寝ごっこ
を思い出し、今も続いていたら、と夢想することもあったが、
そのまま高校、大学と進学し、僕もみっちゃんも実家を離れた。
幼なじみとの、淡い思い出は・・・これで終わり・・・
・・・では、なかった・・・