まだセブンスターが一箱200円だった時代の話です。
家作住まいだった私には何人かの幼馴染みが居ました。
綾子はその中の1人で学年は一つ下。
腰の上くらいまで伸びた黒髪が綺麗な女の子でした。
その家作に住んでた子供の中で最年長は私で綾子の弟が一番下の小学校に上がったばかり。習い事などで出掛けてしまう子を除いても常に4~5人は遊び相手が居ました。
綾子の家は母親がかなりのケチで有名だったため、綾子もその弟も甘味品にかなりの執着を示す方でした。
食事は与えられていましたが、服などは誰かのお下がりが殆どで特に冬場に着ているものはかなり寒そうな物が多かったように思います。
ロングヘアと二重まぶたが特徴で笑うと右頬にできる笑窪がチャームポイントだった綾子。オシャレさせれ子役になってもおかしくないんじゃないか?という感じでしたが綾子の家は子供の身だしなみに無頓着で、ただ育てているだけという印象を今にして感じています。
時代はバブル経済の終盤ではありましたが、選り好みしなければ仕事に事欠く訳でもなく、共働きの家も多かったです。何軒かの家では共働きに加えて内職をしている所もあり、私の家は月に2~3回寝床すらのべられない程に内職の部品で溢れていることがありました。
そんな環境でしたので子供の遊ぶ場所は近所の空き地だとか公園がメインになります。天気に恵まれないと私は家で親の内職を手伝ったりしていましたが、綾子の家は共働きであった上に綾子の弟が・・・ってボヤを出しかけた(ライターで網戸を燃やして遊んだ)ため、親の留守中に在宅することを許されておらずランドセルだけを家に置いたら母親がパートから帰る18時前まで家の外で待たなければならないという、現代なら児相に通報されてもおかしくない方針の家庭でした。