2019/04/23 15:44:18
(nWk/5khQ)
先生も生徒という関係ではありませんが、新入社員の教育係として毎年新入社員に色々と教えています。特に会社内のそれぞれの場所の仕事内容やホウレンソウの必要性、学生までと違って行動一つ一つに責任が伴うなど社会人としての心構えや行動について教えている反面、新入社員から色々と相談を持ちかけられ、社会通念上のモラルには反する関係を持つことがあります。
今年もすでに1人の新入社員が相談があるということで先日、仕事後に2人で食事に行きました。私は35歳独身なので誰と関係を持ったところで他人からとやかく言われる筋合いにはありませんが、社内の女性を食い物にしているといった悪評が立ってしまうと社内での私の立場も悪くなることから、自ら新入社員を誘うことはありません。しかし、彼女らの方から私に声をかけてくるようには仕向けますが。
うちの社長はなぜか天然系の女性を採用することが多いです。今年私に相談を持ちかけた女性もやはり天然系でどこか抜けているところがありました。スーツのスカートの下には常識的にはパンストを着用するのですが、素足で出勤してきたり、胸のボタンが1つ開いていて少し前屈みになるだけで横からブラジャーが見えていたり、またサイズの合っていない大きめのブラジャーを着けていることから、カップが浮き上がって乳首がこんにちはしていたことも一度ではありませんでした。
そんな彼女、美咲の相談は社会人になって初めてした一人暮らしが不安であると言った相談でした。「普通は友達とか彼氏にするんじゃないの?」と聞いても「そんな友達とか彼氏はいませーん。」ってどんなけひとりぼっちやねーんって突っ込みたくなりました。美咲と食事をしていて気づいたことだが、仕事を教えている時は「はい」と言ってよく話を聞いていたが、このように会話をするとなぜか会話が噛み合わず、いわゆるコミュ障と言われる女子のように感じられました。
「私一人で寝るのが怖いんですよね。」
「じゃあ彼氏を作ったら?」
「えーっ、◯◯(←アニメのキャラクター)とかだったらいいですけどぉ」
「じゃ部屋にポスター貼ったらいいんじゃない?」
「いっぱい貼ってまーす。」
「毎日美咲のことを見つめてくれてて安心やん。」
「でも、抱きしめて寝たいんですよねぇ」
「もおぬいぐるみ買ってそれを抱いて寝な!」
「喘息になっちゃうよぉ」
ってな感じの会話でゴールがなかなか見えないところに私は少しイラつき始めました。
「そうだ。小林さん。◯◯に似てるから今日一緒に寝てくれません?」
「寝ません。一人で寝なさい。」
「えーーっ、私もう怖くて寝れないよぉ。」
「そんなこと言って毎日ちゃんと寝てるんでしょ?」
「まっ、それは確かに。」
「なら、大丈夫。今までみたいに一人で寝なさい。」
「そんなこと言われても、怖いものは怖いんです。」
「何が一体怖いんだ?」
「毎晩隣から「うー」とか「あー」とか苦しそうな声が聞こえてくるんですよぉ。それを毎晩聞かされてると怖くないですか?」
「うーん、それは確かに怖いよな。隣はどんな人が住んでるんだ?」
「なんかぁ、わかんないのよねぇ」
私はこの会話でかなりイラついていましたが、美咲の住む隣の住人のことは確かに心配になった。
「じゃあ今日だけだぞ。それにその声の原因が分かったら一人で寝るんだぞ。」
「やったー。はーい。わかりましたぁ。」
ほんまにどこまで分かっているのだか?私たちは食事を終えると美咲の住むマンションへと向かった。オートロック式て築年数の浅そうなマンションで防音もしっかりされているような作りに思えました。美咲の部屋は5階の角部屋だから、聞こえてくるのは片方の壁からしか聞こえてくるはずがない。美咲に案内されて部屋の中に入った。ピンクを基調にした女の子らしい部屋に、壁にはさっき聞いていたアニメのキャラクターのポスターが飾られていました。棚の上にはフィギュア。これは完全なオタクなのではと思った。
「小林さーん、そこに座っててくださぁい。」
美咲が指差したのは、低めのベッドの上だった。部屋の大きさには不釣り合いな大型テレビが部屋の大半を陣取っていました。さらに床には洗濯物が散らばっていて、これでは床に座るのは難しいよなと妙に納得した。ベッドに腰掛けるといい匂いがしてきた。私はベッドの上にある布団を少しめくって溢れ出てくる匂いを嗅いだ。若い女のいい匂いだった。
「小林さん、はいっ」
「なんだこれは?」
「美咲特製の青汁でーす。」
「こんなの飲んでるのか?」
「あっ、知らないんだぁ?健康になるんですよぉ。」
それにしてもいちいち癇に障る話し方である。
「そんな声聞こえないぞ。」
「うん、もう少し後になったら聞こえてくるの。」
時計の針が21:00を示していた。美咲と仕事の話をしながら、22:00頃から聞こえ始めると言っているうめき声の正体を探ろうとしていた。