三四日したらもう一度来るように言われていたので、学校帰りに病院に寄った。
この時は富子さんもいた。
といってもちょうど帰るところだったけど。
「お母さん、若いし綺麗ね」
静江先生が包帯を外しながら言う。
「若いって、先生と変わらないじゃないですか?」
「そんなことないわよ、五歳は違うでしょ。その差は大きいのよ…いけない、歳がバレちゃうわ」
怪我の経過は良好だけど、治りかけが一番怖いから完治するまでは安静と釘を刺された。
「やっぱり脚を引きずっての暮らしは不便だったでしょ…」
「本当に。階段の登り降りだけで修行かと思いましたよ。風呂も濡らさないようにしなきゃならないし」
「お母さんに入れてもらえばよかったのに。あのお母さんならいいじゃない」
「よくないですよ。確かに介助は欲しかったですけど。ずっと入院して先生に入れてもらえば良かった」
「私の方がおばちゃんなのよ」
「いや、先生ならいいです。親より」
「あら…笑」
先生は彼女はどうなのと聞いてきた。
いちおういる話はしていた。
「いや、全然ですね。なんか全然労られてない気がします…なんかドライだなあと思いましたよ。
お風呂入れてとか言ったら、甘えないでよって言われておしまいな気がする」
釈然としない思いをいつの間にかぶちまけていた。
先生の娘さんも例えば彼氏がそうなっても甲斐甲斐しく世話をしそうにないわねぇなんて呟いていた。
「でしょ!今時の若い女子なんてそんなもんですよ」
妙に覚めた発言だったからか先生はケラケラ笑った。
「あっ、お風呂で思い出した!貰い物なんだけど温泉の招待券があるのよ。昔からうちの父と懇意にしていた温泉宿の方がたまに送ってくれるの。昔父がずいぶん療養に勧めたりして患者さんを紹介してたから。あの界隈の加盟店ならどこでも使えるから行くならあげるわよ。本当に怪我には凄くいいから」
「先生は行かないんですか?」
「前は娘と行ったりしてたけどね…富子さんも年と共に出不精になっちゃったし」
「でも母親と温泉に行く高校生なんていませんよぉ。もしバレたらマザコンと罵られること確定です…でも、先生なら一緒に行ってもいいですけど」
「本気で言ってるの?撤回するなら今のうちよ」
「全然本気です」
先生は、男の人からそんな風に誘われることなんかないから、嬉しいけどなんか信じられないわあと言った。
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