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温泉紀行

投稿者:恭子 ◆wWQ0kHYmuY
削除依頼
2021/11/06 18:25:58 (xPzXRV2S)
カーナビの音声案内が、目的地に近づいていることを告げています。
駐車場が見えてきました。
思っていたよりも車があって、ちょっと驚かされます。
私は、けっこう名の知れた某温泉郷に来ていました。

長くなりますので、続きはレスの中に入れます。
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2
投稿者:恭子 ◆wWQ0kHYmuY
2021/11/06 18:29:00    (xPzXRV2S)
こんばんは。恭子と申します。

IDを使うのをやめました。
トリップも複雑なものに変更しました。

なかなか取得できずにいた有給休暇を使って、温泉旅行(場所は内緒)に行ってきました。
時系列のままに淡々と書き連ねていきます。
初めにお断りしておきますけど、大した内容ではありません。
過激な体験談をお好みの方は、読むのを控えていただいたほうがいいと思います。

一気に書くのは大変なので、書いたら続きを入れていくスタイルを取ります。
記憶が消えてしまわないうちになるべく頑張ります。

最後まで全部書くと、とても長くなる気がしています。
だから読んでいる人が少ないなあと思えば、途中でもやめるかもしれません。
そのときはごめんなさい。


カーナビの音声案内が、目的地に近づいていることを告げています。
駐車場が見えてきました。
思っていたよりも車があって、ちょっと驚かされます。
私は、けっこう名の知れた某温泉郷に来ていました。

(着いた)

天気は快晴でした。
車を駐めて、ここからはウォーキングです。
どの順番で温泉を巡るか悩みました。
ハイキングのような感覚で、山道をとぼとぼ歩いていきます。

(こんなに山の中なのに)
(そこそこ人がいるんだな)

私は、根っからの温泉好きです。
もともと、お風呂にのんびりつかることが大好きなのです。
その私からすれば・・・
昔から一度は行ってみたいと憧れていた有名温泉が、実はさっき運転中の道すがらにありました。
でも、あえてそこをパスしてこの地まで車で乗りつけてきたところです。

(久々の温泉旅行なのに)
(人が多いのはイヤだ)

あの有名温泉はきっと混雑しているに違いないと見越してのスルー判断でした。
それなのに・・・

(こっちも)
(わりと人がいる)

はるばるやって来た観光客として、純粋に温泉を楽しみたいという気持ちがあります。
そして、それとは別に・・・
心の中では、もうひとつの『やましい』願望がありました。
今日訪ねて来たこの温泉郷のいくつかには、混浴のお風呂もあるのです。

(素知らぬ顔のまま)
(心の中でどきどきしたい)

1つ目の温泉に着きました。
日帰り入浴の料金を払って、お風呂場に行きます。
余談ですが、ここは本当に素晴らしい温泉宿でした。
いろいろと気遣いが行き届いているのが伝わってきて、清潔感もあり・・・
いつの日かまた来ることがあったら、そのときはぜひ泊ってみたいと思うほどです。

赤いのれんをくぐって、女湯の脱衣場に入りました。
全裸になって、バスタオルを持ちます。
とりあえず女湯の露天風呂でお湯につかりました。
お湯の熱さに身を沈めて、ここまでの長旅の疲れを癒します。

(気持ちいい。。。)

それなりに人はいました。
でも、さっきの駐車場での車の数を考えれば思っていたほどではありません。

(ああ、いい気持ち)
(最高・・・)

やがて、額にじんわり汗がにじんできます。
いいお湯でした。

(やっぱり温泉って)
(最高に気持ちいい)

・・・・どうする?
・・行ってみる?

(よし、行っちゃうか)

お湯から出ました。
女湯の奥からさらにずっと通路を進むと、別の露天風呂に出ることができます。
その露天風呂が混浴でした。
バスタオルをからだに巻きます。
最初から調べてあったことでした。
ここの混浴は、バスタオルを巻いたままでの入浴が可能なのです。

(ふうう)
(緊張してきた)

私は、以前にも地方の混浴温泉(そこも場所は内緒)を訪れた経験があります。
あのときのプレッシャーは、尋常ではありませんでした。
女ひとりで混浴風呂に入るのは・・・
内気な性格の私にとっては、とてつもなくハードルが高いことなのです。

(でも、ここなら)

そのときのことを思えば、だいぶん気が楽でした。
あくまでも、からだにタオルを巻いたままでの男女混浴だからです。

いくつかの戸を抜けていました。
通路をずっと歩いていきます。

(ここだ)

混浴露天に出る直前で、もういちどバスタオルをきちんと巻き直しました。
異様に胸がどきどきしてきます。
きっと男性もいるはずでした。
あたりまえですが、タオルの中は身ひとつです。

(だいじょうぶ)
(ルールを守ってお風呂に入るだけ)

わかっていました。
30代の私ですが、これでも外見の容姿にだけはそれなりに自信を持っています。
しかも、連れの友達など誰もいないひとりぼっちでした。
きっと居合わせた男性の目を引くだろうことは、想像に難くありません。

(だいじょうぶ)
(気持ちを強く持って)

そして、私は露天に出ました。
タオルOKですから女性でも比較的ハードルの低い混浴のはずなのに・・・
見事なまでに、
(ひっ)
そこにいたのは全員が『男』・・・4・・5・・6・・
10人近くいます。
現れた私のことを、一斉に男性たちが見ていました。
年齢層は幅広いですが、みな私より年上のおじさまたちなのは間違いありません。
思わず足がすくみそうになります。

(混浴って言っても)
(女なんて、ぜんぜんいない)

木製の湯船が2つ。
大サイズと小サイズという感じで並んでいます。
すぐ目の前が少し谷のようになっているのですが、段々のような箇所にブナ(?)の大樹があって目を引きました。
天気にも恵まれて、素晴らしい開放感です。

(どきどきどき)

手前の『小サイズ』の湯船に足を向けました。
こちらの湯船は、ひさしのような屋根が張り出したその下にあります。
高齢の男性が2人入っていました。

「こんにちは」

からだにバスタオルを巻いたまま・・・
私も、
「こんにちは」
いっしょにお湯につかります。

いやでも注目されているのを感じました。
バスタオルを巻いているとはいえ、今いる女は私ひとりだけです。
でも、平和そのものでした。
みんな常識的というか・・・
露骨にじろじろ視線を向けてくるような人はいません。

「おひとり?」

「はい」
「温泉巡りをしてるんです」

ふたりが話しかけてきました。
特に深い意味などない、気さくな感じの会話です。

「へえー」
「どちらから?」

「○○から・・・」
「あちこち、車でまわってるんです」

ふたりは、宿泊客とのことでした。
到着したときからここの宿のことに興味がわいていたので、私のほうからもいろいろ尋ねてみます。

「お部屋はどんな感じですか?」

「まあ普通かな」
「悪くないよ」

初対面なのに、ごく自然に会話が繋がっていきました。

「お食事は、どんな感じですか?」
「山のものがメインとか?」

会話をしているのは私たちだけです。
向こうの大きな湯船では、誰ひとりおしゃべりしている人がいません。
風景的に、だいたい『大樹のある谷のほう』を向いている人が多いのですが・・・
誰もが、ときおりこっちをチラチラ見ていました。
聞き耳を立てるまでもなく、私たちの会話はそこにいるみんなに筒抜けです。

「えー、やだあ」
「ちがいますよー」

このシチュエーションにどきどきしていました。
目の前のふたりの関心が、私自身の個人的なことへと移ってきています。

「いやいや、そんなことないです」
「いないから一人旅をしてるんですよー」

「でもよかった」
「こうして温泉に来るの、久しぶりなんです」

そして、
「ざば」
お湯からあがりました。

(どきどきどき)
(どきどきどき)

もうひとつの大きいほうの湯船に歩み寄りました。
長方形の木の湯船に、男性が6~7人もいます。
そのほとんどが谷のほうを向く感じで、湯船の同じ側のふちに並んで腰かけていました。
誰も言葉を発しませんが、明らかに全員が私の存在を意識しています。

(どきどきどき)
(どきどきどき)

白いバスタオルを巻いたまま、無言でお湯に入りました。
・・・が、
(うわ、熱っちちち)
意外と高めの湯温にびっくりです。
こちらの湯船は、濃い黄土色のにごり湯でした。

(ふうう、熱ちぃ)

どきどきと、恥じらいの気持ちでいっぱいです。
露天のお風呂を満喫しているかのように、お澄まし顔をしてみせていますが・・・
周りは男だらけでした。

(そんなに注目しないで)
(緊張しちゃうよ)

決して、自意識過剰なんかではありません。
全員が全員、バスタオル姿の私を目で追い続けているのがはっきりわかる状況です。

(いやあん)
(恥ずかしすぎる)

内心で被虐的な興奮を覚えていました。
まぎれもなく、この場の今の『主役』は私です。
この高揚感は、
(ああ・・・馬鹿・・・)
何物にも代えがたい非日常の興奮そのものでした。

(ねえ、おじさまたち)
(私のことが気になっちゃう?)

皆、マナー(?)をわきまえています。
あからさまにじろじろ凝視してくるような人はいません。
でも、感じ取っていました。

(私のこと)
(キレイな子だなあって思ってるでしょ?)

お上品な表情をつくったまま、
「ざばっ」
お湯から立ち上がって・・・

私が巻いているのは、生地の薄いバスタオルでした。
隠れているのは、胸の上から股下10cmぐらいまでです。
お湯を吸って重くなっていました。
からだにぴったり張り付いて、細身のボディラインがまるわかりです。

(ひいん)
(恥ずかしい)

湯船の中を歩いていきました。
谷にいちばん近い、まさにみんなが目を向けている側のほうへとです。
歩きながら、
「ざぶっ、ざぶっ」
タオルがずり落ちないよう両手で引っ張り上げました。
無自覚を装って・・・
お尻の下がぎりぎりになるぐらい『わざと』位置を高くします。

(あああ、きわどい・・・)
(お尻が出ちゃいそう)

棒立ちのまま、向こうの大樹を眺めるふりをしました。
自分のわずか数メートル後ろには、男性たちが並ぶように腰かけています。
どきどきしていました。
だって・・・
いまにもお尻が見えそうなこんな格好です。

(ああん、私)
(恥ずかしいよ)

心の中で、
(馬鹿・・だめ・・・)
理性がどこかに追いやられていきました。
かなりの躊躇いがありますが、わきあがるよこしまな気持ちを抑えきれません。

(だめえ、だめえ)

目の前の谷を見下ろそうと・・・
立ったまま、自然な感じで目の前の湯船のふちに両手をつく私・・・

(あああん)

偶然を装っていました。
前かがみになったことで、わずかに寸足らずになったバスタオル・・・
この子のお尻が、
(ひいいん)
微妙にタオルの下からはみ出してしまっています。

(恥ずかしいいぃ)

私は痩せていて、もともとお尻にボリュームがありません。
まして、両手を前についています。
見えているはずでした。
はみ出した下尻の真ん中に、慎ましくも『こんにちは』している股間の割れ目が。
そして、そのことに自分でまったく気づいていない彼女・・・

(ひいん、ひいいん。。。)

後ろの皆さんに見物させてあげました。
ずらりと居並ぶおじさまたちの前で、タオルからはみ出した下尻が左右に開きっぱなしの彼女です。
あろうことか・・・
こんなにも見目麗しい女が、絵にかいたような『赤っ恥』でした。
かわいそうに、まだ本人はわかっていません。

(見えちゃってて)
(かわいそう)

「ざぼっ」

再びお湯につかりました。
くるっと反転する感じで、おじさまたちに向き合います。

(どきどきどき)

楚々とした表情で、自然体を装っていました。
そこにいるおじさんたちの誰もが、素知らぬ顔をしてくれています。

(見たくせに)

もうだめ・・・
みんなの視線が痛い・・・

(どきどきどき)

恥ずかしすぎて、とてもその場にいられませんでした。
それでも、
「ふうーーー」
お上品そうにくつろぎの表情を浮かべてみせている『私』です。

(ばくばくばく)
(ばくばくばく)

・・・見たんでしょ?

(私のあそこ)

あなたも・・・あなたも・・・

(もうだめ)
(恥ずかしすぎる)

立ち上がって、
「ざぶっ、ざぶっ・・・」
お湯の中を、出口に向かって歩いていきます。

(ううう、恥ずかしいよ)

「ざぱ」

湯船から出ました。
最後にもういちど、何食わぬ顔をみんなのほうに向けて景色を一望します。
そして・・・
そのまま『すっ』と通路へと姿を消してみせました。

(ばくばくばく)
(ばくばくばく)

ほっと安堵して、その場で腰が砕けそうになります。

(みんな、のんびり温泉を満喫してたのに)

ああ、私・・・
(あんなことして)
皆さんに迷惑をかけたのかもしれない・・・

ごめんなさい・・・
(本当にごめんなさい)
そんな後ろめたい気持ちでいっぱいでした。


続く・・・
3
投稿者:のん ◆hAKnaa5i0.
2021/11/06 19:07:45    (.W6xyq3t)
なんと良いタイミングか,書き込み直後に遭遇することができました。

例によって,また何日にも分けて少しずつ読ませていただきますが,IDを削除されるとのこと,人の心を踏みにじる輩の多いこの場では仕方ないことなのでしょうが,恭子さんとの細い糸が切れてしまうような寂しさを感じています。この先,恭子さんにきちんと出会えるのか不安です。
それでも,なんとかして恭子さんをフォローしていきたいと思っています。

アンチの人へ:
お願いです。私の心の宝石を奪わないで。
4
投稿者:ジュニア ◆7j3XM2vCaw
2021/11/06 19:22:12    (9fByefn6)
続き 楽しみに待ってます
最後まで読みたいです
5
投稿者:774
2021/11/06 19:41:27    (6gLn2JQg)
恭子さんへ
いつも拝見させていただいております。
臨場感あふれる文章でまさに自分がその場に居るような感覚ですね。
続き楽しみにしております!
6
投稿者:   torasan7777 Mail
2021/11/06 19:41:49    (SKTyZahX)
下手な投稿よりリアルで素敵です
続き、楽しみにしてますね
7
投稿者:ゆう
2021/11/06 19:46:46    (rzvW9KRC)
いつも拝見しています。
素晴らしい投稿を楽しみにしていることをお伝えしたくて。
8
投稿者:   031825
2021/11/07 00:24:46    (D/R2W1f3)
女神の降臨ですね。女神は裸か薄物しか身につけないものなので、まさに恭子さんです。続きが愉しみです。早く時間が経たないかな。
9
投稿者:OK
2021/11/07 05:28:04    (dHU4pURC)
新しい投稿素直にうれしいです。
きっと混浴にいたおじさまたちも、迷惑どころが、
思わぬアワビも見れて 大喜びだったと思いますよ。
ワニもいたのかなあ~。うらやましいです。
恭子さんの投稿があると、とってもうれしい反面、元気な姿が浮かびほっとする気持ちもわきます。
続きがあるようで、どんな展開があるか、不安なようなうれしいような
そんな気持ちで楽しみです。

PS…おめでとうございます。





10
投稿者:恭子 ◆wWQ0kHYmuY
2021/11/07 08:41:42    (z7xy80cN)
ハイキング気分で、どんどん山道を歩いていきます。
次の温泉を目指していました。

(どっちにしよう)

自分の中で、候補地が2つあります。
どちらに行こうか、まだ迷っていました。
でも・・・
さっきの興奮の余韻で、内心のテンションは完全にマックスです。

(よし)
(決めた)

候補にしていたうちのひとつを、2つ目の温泉に決めました。

(暑っつい)

空気はひんやりしているのに・・・
歩きながら、だんだんと汗ばんできてしまっています。

さっきのおじさまたち・・・

(よかったね)
(いいもの見えたでしょ?)

思い出すだけで、恥ずかしさがこみあげていました。
次の温泉にも混浴があることは下調べ済みです。

(どきどきどき)

しかも事前情報によると・・・
今度のところのは、けっこうハードルが高い・・・

プレッシャーがのしかかっていました。
でも、さっきの混浴露天のおかげで舞い上がるぐらい気持ちに勢いがついています。

(どきどきどき)

到着しました。
幸か不幸か、人は少なそうです。
受付棟で料金を払って、簡単に説明を受けました。
外に出て・・・
ここで最終的な決断をしなければなりません。

混浴風呂の建物に行くなら、出て左へ・・・
男女別風呂の建物に行くなら、出て右へ・・・

さっきのところのように、普通の女湯からの延長線で混浴に行けるわけではありませんでした。

(せっかく来たんだ)
(行くしかない)

躊躇しながらも混浴のほうへと、砂利道を歩いていきます。
私にとって、第一のハードルでした。
傍から見れば、この時点で・・・
私は、あえて『わざわざ』混浴のほうのお風呂を選択した女ということになってしまいます。

(いやあ)
(どうしよう)

誰も同じ方向に歩いて来ていませんでした。
男女別温泉のほうへと行く人が圧倒的に多数派だということです。

(でも、でも・・・)
(だいじょうぶ)

ここも、わりと名の通った温泉でした。
混浴の温泉棟のことも、女性向けに雑誌で紹介されているのを見たことがあります。

(どきどきどき)

木造の建物でした。
開きっぱなしの入口から、中に入ります。

(いやあ)
(すごい)

左側に、男女別になった脱衣室の入口がそれぞれ並んでいます。
右側は、狭い壁の向こうに内湯・・・
人の気配がありました。
真正面に突き抜ける方向には、露天風呂への出口がそのまま見えています。

(どきどきどき)

女性用脱衣室に滑り込みました。
緊張して、心臓が破裂しそうです。

(どきどきどき)

ものすごいプレッシャーを覚えていました。
だって・・・
ここの温泉は、さっきのところとはルールが違うからです。
お湯に入るときには、ここではからだに巻いたタオルをとらなければなりませんでした。
それは女の私にとって、とてつもなく高い『第二のハードル』です。

(いま確かにいた)
(内湯に男の人の気配があった)

胸をばくばくさせながら服を脱いでいきます。
狭い脱衣室でした。
全裸になります。
薄っぺらいバスタオルをからだに巻いて、胸からお尻までを隠しました。

(私は悪くない)
(そういうルールのお風呂なんだから)

(ここではあたりまえのこと)

やはり私は、気の弱い人間です。
後ろめたいことをしているわけではないのに、足がすくみました。

(よし)
(行くぞ)

勇気をふりしぼります。
脱衣室から出ました。
そのまま真っ直ぐ、狭い壁の横から混浴内湯へ・・・

(きゃっ)

湯船に親子がいました。
私と同世代に見えるパパさんと、小学生ぐらいの娘さんです。
私もですが・・・
そのパパさんも、私を見て『どっきり』しているようでした。
思わず、
(ひいん)
湯船の横をそのまま通り過ぎてしまいます。
隣に、横だけが仕切られた洗い場ブース(?)がありました。
ちょこんと腰かけて身を隠します。

(どきどきどき)

必死に気持ちを落ち着かせました。
バスタオルをからだに巻いたまま、呼吸を整えます。

(だいじょうぶ)
(落ち着いて)

人がほとんどいないのは、幸いでした。
もし、狭い内湯に男性がごった返しているような状況だったら・・・
私にはとても無理だったところです。

大丈夫・・・

(やましいことはない)
(私は、ただお風呂にはいるだけ)

あとは自分の勇気ひとつでした。
自分の娘といっしょにいる男性が、不審なことをするはずがありません。

(だいじょうぶ)
(ここはそういうお風呂)

覚悟を決めて、
(どきどきどき)
湯船のあるほうに戻ります。
そこは、まるで時間が止まったかのようなレトロなつくりの空間でした。
パパさんと目が合います。

(どきどきどき)

下手に演技はしませんでした。
素でどぎまぎしながら、お互いになんとなく目礼します。

(どきどきどき)
(どきどきどき)

背を向けました。
からだからバスタオルを取って、手すりのようなところにかけます。
すっぽんぽんのまま、
(ひゃあああ)
振り向きました。
片腕で胸を、もう片方の手で股をおさえながら湯船のふちをまたぎます。

「ざぶ」

肩までお湯につかりました。

(どきどきどき)
(どきどきどき)

緊張しすぎて死にそうです。
まともに相手を見ることができませんでした。
恥じらいの顔を隠せずに、
(どきどきどきどき)
お互い無言のまま、静かに時間が流れていきます。

(どきどきどき)

パパさんも若干緊張しているようでした。
見ず知らずの『美人』(自分で言ってごめんなさい)と、いっしょにお風呂に入っているのです。
この人の奥さんは、きっと男女別の女湯に行っているのだろうと思いました。
自分の娘の手前、何食わぬ顔を装っているようですが・・・
明らかに私のことをチラ見しながら、目線が泳いでいます。

(どきどきどき)

乳白色のお湯でした。
こうして肩までつかっていれば、からだは見えません。
光の加減なのか、青みがかるように光って見える美しいお湯でした。
古い木造の建物と相まって、秘湯温泉の風情を感じさせます。
でも、内心それどころではありませんでした。

(恥ずかしいよ)

さらに脱衣室側から別の男性の話し声が聞こえてきて、どきっとします。
でも、彼らはそのまま露天のほうに出ていったようでした。

悪いことをしているわけではないのに、このハラハラ感・・・

(どきどきどき)

やがて、
「パパ、もう私あがる」
娘さんがお湯から出て、ひとりで脱衣室のほうへ行こうとしています。
パパさんは・・・
お湯から出ようとしませんでした。

「○○ちゃん」
「転ばないようにね」

私とパパさんのふたりっきりになってしまいます。

(どきどきどき)
(どきどきどき)

会話はありませんでした。
いっしょの湯船にいながら、
「・・・・・・」
お互いに、しゃべる言葉がみつからないのです。
恥ずかしさと気まずさに支配されて、私はもうギブアップ寸前でした。

(出るに出られない)

私の恥じらいの気持ちは、間違いなく相手に伝わってしまっています。
パパさんに非はありませんでした。
男女別のお風呂もある中で・・・
あえてこちらの混浴のほうに入りに来たのは私自身なのですから。

(いやあん)
(もう出る)

「ざば」

お湯の中から立ち上がりました。
胸もアンダーヘアも、一瞬まる見えになります。
パパさんの目線が、上、下、上、下・・・
私のヌードを瞬時に瞼に焼きつけようとする動きをしていました。

(ひいいん)
(恥ずかしい)

くるっと後ろ向きになって・・・
お尻まる出しのまま、内股気味に湯船のふちをまたぎます。

(ああん、今)
(ぜったい見えちゃった)

恥ずかしすぎて振り向けませんでした。
そのままその場で、バスタオルを手早くからだに巻きます。

(ばくばくばくばくばく)

もういちどパパさんと目が合いました。
軽く会釈して、
(恥ずかしいよ)
おそらく、顔が真っ赤になっていたはずの私・・・
じっと固まったようになっている相手の表情を、私のほうも自分の記憶に焼きつけます。

(恥ずかしい・・・恥ずかしいよ・・・)

おずおずと露天に向かう私でした。
11
投稿者:恭子 ◆wWQ0kHYmuY
2021/11/07 08:42:49    (z7xy80cN)
建物から露天への出口に踏み出した瞬間・・・
その光景に、
(う・・)
頭の中が真っ白になりかけます。

(無理・・・)

外に出てすぐそこに、露天の湯船がありました。
桝形の小さな木の湯船です。
いちおう、やぐらのような木造の屋根がかかっていました。
一辺2メートルぐらいしかない湯船に、すでに2人のおじさんが入っています。

(無理・・・無理・・・)

バスタオル姿の私を目にした瞬間、
『えっ、こんな可愛い子が?』
おじさんたちも明らかにそんな表情で目を丸くしていました。
決して自意識過剰なわけではありません。
足がすくんでしまっている『この女』の動揺を察したかのように・・・

「ん、行くか・・」

ふたりが気を遣ってくれていました。
お湯からあがって、
「ざばっ」
私に湯船を譲ってくれます。
そのまま建物の中に入っていってくれました。

(ほんと?)
(ありがとう)

やはり、名の知れた温泉地だからなのでしょうか。
居合わせる男性たちのマナー(?)のよさに、感心させられます。

きちんと声に出して『ありがとう』を言えなかった自分を悔いながら・・・
感謝の気持ちでいっぱいでした。

湯船自体は、ほぼ正方形の桝形です。
その小さな湯船の周囲に、やぐら屋根の柱が何本か立っていました。
天然材の横木が、手すりのような感じで四方を囲っています。

(素敵・・・)

からだに巻いていたタオルを取りました。
二つ折りにして、横木の部分にかけます。

全裸でした。
ひと目を忍ぶような気持ちでお湯に入ります。

(最高。。。)

岩がごろごろしている原っぱの一角にお風呂がある感じでした。
景色そのものは微妙ですが、開放感がたまりません。

お湯は、内湯と同様に乳白色のにごり湯です。
肩までつかって、足を伸ばしました。

(とてもじゃないけど)
(この小さな湯船で混浴はきつい)

そして、ふと気づきます。
非日常のどきどき感を味わいたくて、あえて混浴を選んだのに・・・
男性がいないことに胸をなでおろしている私です。
でも、これも悪くありませんでした。
こうして有名な露天温泉のお風呂を独り占めできているのですから。

(ふうう)
(いい気分。。。)

向こうのほうに、湯気をあげている源泉が見えました。
開放感を噛みしめながら、
(最高だな。。。)
ひとりぼっちで贅沢気分にひたります。

そんな時間を5分ぐらい過ごしたでしょうか。
男性の話し声が耳に届いてきました。
誰かが来る気配を感じて、胸の鼓動が一気に激しくなります。

(どきどきどき)

ああ、やばい・・・
こっちに人が来る・・・やばい・・・

「どうも、こんにちは」

背後から、声をかけられました。
振り向くと・・・
さっきとは違うおじさん2人組が、もうそこにいます。

(ひいいん)

喉がすぼまって、挨拶の声を返すことができませんでした。
無言で会釈だけして・・・
お湯につかったまま湯船の端につめます。

「よいしょっと」
「いい湯だねえ」

ふたりともそろそろとお湯に入ってきました。

この狭い湯船に、合わせて3人・・・
目の前のおじさんたちの顔をまともに見ることができません。

(ばくばくばく)
(ばくばくばく)

急に緊張したせいか、一気にのぼせてきました。

(熱い・・・もう出たい)

でも、
(だめ、むり)
お湯から出ようものなら、どこにも隠れ場などありません。
まる見えの覚悟が必要でした。

ふたりとも素っ気ない表情をしています。
やはり、女ひとりの私に気を遣ってくれているのか・・・
マナー的には100点です。

そもそもここは混浴です。
嫌ならば、最初から男女別の女湯に行けばいいだけの話でした。
このおじさんたちは何も悪くありません。
私が一方的に恥じらいを覚えているというだけのことです。

逡巡しながら、
(恥ずかしいよ)
でも、もう出なきゃ・・・

(熱い・・・もうだめ・・・)

演技ではありませんでした。
本当にちょっと泣きそうになります。
勇気を出して、
「あの・・・すみません」
蚊の鳴くような声で、ふたりに話しかけました。

(ばくばくばく)

「ちょっとのあいだだけ」
「目を伏せていていただけますか?」

初めてまともに相手の顔を見ていました。
ふたりとも、温厚そうな表情のおじさまたちです。

「え?」
「ああ・・・わかりました」

その言葉をもらって、乳白色のお湯の中から・・・

「ざば」

口では『わかった』と言っても、男の本能なのでしょう。
立ち上がりかけた瞬間、
(ひん)
全裸の私に、ふたりの目線が釘付けになっています。

まっ裸でした。
手で胸を押さえたまま、
「じゃば」
湯船のふちをまたぎます。

(ひいん、ひいいん)

立ち上がってから、わずか5秒か10秒のことにすぎません。
それでも死ぬほどの恥ずかしさでした。
すっぽんぽんのまま、横木部分にかけてあったバスタオルを取って・・・
無防備状態のからだに巻きつけます。

(ごめんなさい・・・ごめんなさい)

羞恥に胸をばくばくさせたまま、女性用脱衣室に逃げ戻っていました。
服を着て、帰り支度をします。
せっかくの有名温泉なのに・・・
けっきょく滞在時間20分ほどで混浴棟から出てしまった『私』でした。
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