『えっ?いいの?』と心の中で聞き返したが、本当に聞き返すと 『やっぱ ヤダ』と言われるかもしれなかったので、平然を装い、代わりに『じゃあ 行こうか。』と口にした。 行くといっても初めて降りた駅だ。何もわからない。適当に駅前の通りから外れた脇道に彼女を誘った。そのまま10メートルほど行った駅の敷地内に廃屋らしき建物があった。ここに決めた。幸い 駅の敷地と道路を区切っているのは、黄色と黒の縞模様になったロープだけだった。そのロープをまたぎ、彼女を導こうとした、その瞬間白い自転車に乗ったK官が視界に入ってきた。向こうもこちらの不審な動きに気がつき、表情が少し険しくなった。あわててロープの外へでて、そのまま後ろを振り向かず2人で駅前通りへ引き返した。K官は表情を変えずに付いてくる。これ以上彼女と一緒にいると危ないと思い、彼女に言った。『変な事 お願いしちゃって ゴメンね。やっぱ なかった事にして』そのあと券売機で行き先もろくに確認せず切符を購入しホームへ逃げ込んだ。もしK官が彼女に事情をきいたら、全てがバレてしまう。ホームからこっそり様子をみていたら、彼女の姿はすぐに見えなくなった。K官もしばらく駅前を巡回していたが やがてどこかへ行ってしまった。それでも落ち着かないまま列車をまち、来た列車に隠れる様に飛び乗り帰路についた。