仕事から帰ってきた私は、すぐに着替えていました。
私の趣味は、ジョギングです。
10代のころ、陸上をやっていたのがきっかけで続けてきました。
しばらくさぼっていたのですが、最近また再開したのです。
でも、走ることが目的というよりは・・・
今日は、すっかり『その気分』でした。
ほぼ、競技用の格好です。
その上に、ジャージの上下を着ました。
自転車に乗って、目的地に向かいます。
猛暑日が何日も続いていると、さっきニュースで言っていました。
もう夜なのに・・・
自転車をこいでいるだけでも、汗ばんできます。
30分ほどかかって到着しました。
住宅街の中の、そこだけ森のような一角です。
その公園のすみに自転車を停めました。
ジャージを脱いで、走る格好になります。
脱いだジャージは、自転車のかごに入れておきました。
自転車の鍵はコインケースに入れて、ある場所に隠します。
公園のわきへまわりました。
住宅街を通っている、細い川・・・
その両サイドは、遊歩道になっています。
私は、走り出しました。
走っている人、散歩している人・・・
たまにすれ違います。
もう何度も来たことがありますから、見慣れた光景でした。
走りながら・・・
ターゲット(?)を探します。
それにしても暑い夜でした。
空気が湿気を帯びていて、もわっとしています。
すぐに、汗びっしょりになりました。
私の服装は、ひと昔前の『競技ウエア』という感じです。
肌にぴったり張りついたランニングシャツと、ランニングパンツ・・・
ちょっとした緑地帯になっているあたりでした。
川を挟んだ反対側の歩道に、犬の散歩をしている男の人が見えます。
(どう?)
(いける?)
少し前から、誰ともすれ違っていません。
犬のリードを持った人・・・
つい先日の興奮の記憶が、頭の中にリンクします。
そのまま走り抜けました。
この先にも人の姿がなければ、チャンス『大』です。
とりあえず、大丈夫なようでした。
これなら、邪魔は入りません。
次の橋で、川の反対側にまわりました。
ランパンに手を突っ込んで、インナーパンツを片側にずらします。
Uターンするように・・・
今度は、上流方向に走っていきました。
(もうすぐ)
(すれ違うはず)
はるか向こうに、さっきの人が見えてきます。
50歳ぐらいのおじさんでした。
私は、走るスピードを急に落とします。
演技をはじめていました。
街路灯の真下・・・
なるべく明るい場所を狙います。
ふらふらとよろめきながら、立ち止まりました。
そして・・・
崩れ落ちるように、その場にしゃがみこんでしまいます。
おじさんとの距離は10m・・・
もう目の前まで近づいて来ていました。
「どうしました?」
声をかけられます。
「すみません」
「だいじょうぶです」
自分で書くのもなんですが・・・
まさかこんなに美人だとは思わなかったのでしょう。
私の顔を見て、おじさんの目が輝いています。
(うわっ)
(いやらしい感じ)
「どうしたの!?」
「熱中症?」
私は、つらそうに顔をしかめました。
「ちょっと・・」
「脱・・水かも・・・」
苦しそうに、肩で息をしてみせます。
「はあ、はあ、はあ」
おじさんの犬は、おとなしく伏せていました。
状況的には申し分ありません。
つらそうに・・・
とってもつらそうな顔で・・・
からだを倒しました。
耐えかねたかのように、
「はあ、はあ、はあ」
歩道の真ん中で、仰向けになってしまいます。
両脚を開いて立てていました。
ただでさえ、裾がぶかぶかの・・・
腰の横までトリミングの入った『競技用』のランパンです。
足もとに立ったおじさんに、中がまる見えの状態でした。
予想通り、
「あららら」
「大丈夫?」
思いっきり覗き込んできます。
インナーパンツを、極端に左に寄せてありました。
確かめるまでもありません。
はしっこが、あそこに食い込んでいます。
『縦の割れ目』の片側が、はみ出しているはずでした。
仰向けのまま、つらそうに顔をしかめるふりをします。
「はあ、はあ、はあ」
街路灯の光に、真上から照らされていました。
右半分はみ出した、恥ずかしい『あそこ』の膨らみ・・・
おじさんに、ばっちり見せてあげます。
「だいじょうぶ・・・大丈夫です」
私は、からだを起こしました。
よろよろと立ち上がります。
「すみません、ありがとうございます」
朦朧としながらもお礼を言うふりをして・・・
私は、とぼとぼ歩きはじめました。
(どきどきどき)
おじさんの視界から外れるところまで来て、
(ううう、恥ずかしい)
一気に感情が炸裂します。
男の人に、あそこを見せた私・・・
(恥ずかしいよぉ)
羞恥心に身悶えました。
(最高・・・最高・・・)
自転車を停めた公園へ向かって、走り出していました。