その1(2018年2月の出来事です)
昨日の午後、約1カ月ぶりに銭湯に行きました。
約1カ月ぶりの利用となったのは、新年早々に体調を崩し、肺炎と診断されて2日間の入院点滴治療を受けた後、パートの仕事も休んで自宅で療養していたからです。
午前中、主治医の先生から完治のお墨付きを貰うと、午後はお買い物を兼ねて、久しぶりに行きつけの銭湯に出かけました。
お店に入って時計を見ると3時過ぎで、番台にはいつものお爺さん。
洗い場には先客が2人いましたが、脱衣場は私1人でした。
服を脱ぐと番台の前に置かれた旧式のアナログ体重計に、いつものように素っ裸で載りました。
療養中も食事はきちんと摂っていたのですが、発熱や激しい咳でカロリーを消費したせいでしょうか、何と体重が2kg以上も減って50kgを割っているではありませんか!
久しぶりの銭湯で少しはしゃぎ気味だった私は、「うわー、体重が落ちてる!嬉しい!」と思わず声を上げてしまいました。
その声に呼応したのか、珍しくお爺さんの方から声をかけてきたのです。
「しばらく顔を見なかったけど、どこか行ってた?」
私は体重計から下りると、前も隠さず番台の方を向きました。
「ううん、肺炎で寝込んでたの。40度の熱が出て大変だった!」
「えー、まだ若いのに肺炎って?俺も10年くらい前に肺炎で入院したけど、年寄りだけじゃねーんだな!」
お爺さんは自分の目の前に全裸で立っている私を見ながら、喋り続けています。
乳首も乳房もヘアもお爺さんには丸見えでしょうが、イヤらしい視線は感じません。
素っ裸で番台のお爺さんとお喋りしているうちに、暖房の効いた狭い脱衣場とはいえ寒さを感じてきました。
「オジサンもまた肺炎にならないよう気を付けてね!」と言い残して、私はお風呂道具の入った籠を手に洗い場に入って行きました。
カランの前に据えた緑色の腰掛に座り、プラスチック製の黄色い桶に汲んだお湯でカラダを洗い流していると、以前に年輩のお客さんと言葉を交わしていたお爺さんが、「女の裸を見ても、俺はもう何ともないんだよ!」と口にしたのを思い出しました。
すると、お爺さんの目の前に素っ裸で立っていた、さっきまでの自分の姿を想像してしまい、思わず一人で笑ってしまいました。
<続く>
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